第三十三話
「ここであってるよな、フィル?」
オレは尋ねる。
『はい、時間もあってます』
オレのデバイスから返事が返ってくる。こいつはフィル。正式にはフィリールだ。
「アイツが十時にっつたんだろ?その本人が遅れてどうすん「なんかあったか?太刀風」げっ!?」
いつの間にか本人が現れていた。気配が全くしなかったぞ!!
「お前の力不足だ」
「知るか!!そんじゃ来たんならさっさと始めようぜ」
「待て、結界も張らないでどうすんだ?」
「なら早く張れよ」
オレはヤツを急かす。
「まぁ待て。いま来るはず「龍お兄ちゃ〜ん」ほら来た」
声がした方を見ると、なのは、フェイト、はやて、ヴォルケンリッターがやって来た。
「(こいつはチャンスか!!コイツを倒せばみんなオレに惚れるに違いない)良し!!そんじゃ始めようぜ!!」
「あぁ。ユーノ、シャマル、結界を」
「了解」
「はい。また今度お料理の方を………」
「わかってる」
シャマルとユーノが結界を張る。
「フィル、セットアップ!!」
『バリアジャケット、セットアップ』
「星、甲冑を」
『了解』
オレとヤツはセットアップをした。さぁショータイムの始まりだ!!
皆が見守るなか、俺と太刀風の戦いが始まった。彼のジャケットは灰色に黒が一部入っている紋付き袴の様な物で、袖が細くなっている。武器は一対の鎌だ。
「んじゃ行くぜ!!」
太刀風は無闇に突っ込んできた。俺は奴の顔を掠める程度にピックを三つ投げた。
「(さてどうするかな?)」
「魔力じゃねぇのかよ、なら切り捨てる」
奴は鎌で三つとも切り捨てた。まぁ予測済みだがな。
「オリャァァァ!!」
鎌を俺の首目掛けて無闇やたらと振り回す。
「遅すぎだろww」
小バカにしながら、紙一重でかわす。
「さっさと当たりやがれ!!」
「当たれと言われて当たるバカなんていない」
そう言い、無防備となっている腹を蹴る。
「グフッ…………」
太刀風は五メートルほど吹っ飛んだ。
「いってぇ………」
なんかはら抱えて踞っているけど何にも心配はいらないだろう。内臓とかは傷ついていないし、ましてや破裂などしていない。
「そろそろ立ったらどうだ?」
「ちっ……バレてたか」
「バレバレだ」
「あっそ。さてと、フィルあれやるぞ」
『はい』
あれ?なんか秘策でもあるのか?
「『ストームメイル!!』」
そう言うと太刀風が暴風の鎧を纏った。すごい風だな………
「連結鎌ハリケーン!!」
鎌の後ろ同士を繋げこっちに投げてきた。
「土星環!!」
俺も抜刀の勢いで刀を投げ飛ばす。
ガキン!!
刀と鎌がぶつかり、地面に刺さる。
「オリャァァァ!!くたばれ!!」
目の前に太刀風が迫っていた。
「いつの間に!?」
俺は殴り飛ばされた。と言うよりは風圧で飛ばされたと言う方が正しいか?
「へっ!!大したことねぇな〜」
「「「「「龍お兄ちゃん(さん)!!」」」」」
「「「「「龍お兄ちゃん(さん)!!」」」」」
これは倒したも同然だな!!
「石田龍音!!もう俺のなのは達に近付くん『マスター!!巨大な魔力反応あり!!』何!?」
何だと!?倒したはずだぞ!!何があったんだ!?
「ふぅ、間に合った〜」
「すまんすまん。なんか面白い戦い方だったからつい」
なんでレッドデーモンズドラゴンがいるんだ!?
「んじゃ頼んだぞ、ジャック!!」
レッドデーモンズがブレスを撃ってきた。
「そんなもん当たるかよ!!」
俺は軽くかわしてやった。余裕すぎるぜ♪
「アマちゃんだな、お前は」
「お前の方があまいだろうが!!お前なんかと一緒にするな!!」
「はいはい………んじゃここで問題」
何言ってんだ?こんなときに
レッドデーモンズを黙らせた!?
「気圧が高い所と低い所。どっちに風は流れる?これは中二の理科、地学の問題だ」
は?
「んなもん低い所に決まってるだろ」
「正解だ。んじゃ次」
だから何なんだよ!!
「超高温の熱によって熱せられた空気は何を作り出す?」
「低気圧……………まさか!!」
今の答えで俺は気付いた。ストームメイルがレッドデーモンズのブレスの着弾地点に出来た火柱に流れていることを。
「あの風圧は厄介だったからな退かさせてもらったわ」
「お前……………」
ふざけんな!!こんなやつにこの俺が負けるはず…………
「あるんだよ。我求めるは業火より出でし灼熱の龍なり」
「今ここに集いしとき」
「」
なんか呪文を唱えたと思うと、赤と紫の光が空に向かって飛んでいった。
「シンクロイン!!炎魔」
光から鎧を纏った石田が出てきた。肩から角みたいなのが生え、色は赤が主体の一部に黒が入っている(モンハン2GのモノブロU剣士)。
「我が力にて、この大地を灼熱の獄地へと変えよう!!」
石田が両手を挙げると、周りから魔力が集まって、紅い魔力球を創っていく。直径は二メートルはある。
「イービル・アポロ!!」
魔力球が放たれた。
「これくらいなら避けれ『プロテクション!!』はぁ!?」
直撃した。俺は意識を手放した。
「シンクロアウト。実験成功だな、ジャック」
「だな」
今回の戦いは俺が勝った。まぁ当然と言えば当然だが、やり過ぎたか?いや、大丈夫だろう。
「石田、今度さっきの姿で一戦いいか?」
シグナムが物凄い勢いで来たかと思うと、無邪気な子供のような目で試合を申し込んできた。なぜかその後ろにフェイトが居たがみなかったことにしよう。
「やっぱりすごいの♪」
「そうか?ほとんどジャックがやったようなもんだし」
「でもすごいですよ」
皆から賞賛される。まぁ五人組は太刀風を見た瞬間から嫌悪していたし。それ以外はわからないが………
「ジャック、先に戻っ「ふざけんな!!全部お前のせいで負けたんだぞ」戻っててくれ」
今の一言は聞き捨てならねぇな。
「もうお前とは契約解消だ!!」
『そうですか………わかりました』
太刀風はブレスレットを引きちぎり叩きつけてどこかへ走っていった。
「お前………大丈『ふぅ〜やっとアイツから解放された。アイツと一緒にいると疲れると言うか、下心丸見えでキモいと言うか………………あれ石田龍音さんではありませんか!!どうかしました?』………………大丈夫そうだな」
太刀風が去っていったあと、デバイスの元に行ったのだが、へこむどころか解消されてスッキリしている。
『はい!!逆にアイツといた方が苦痛でしたから♪』
「そ、そうか…………で、これからどうするんだ?いく宛は?」
『出来れば私を引き取って下さい』
「俺は良いが星がなんて言う『了承』だそうだ」
『ありがとうございます!!あと出来れば名前を変えて欲しいのですが』
『翠(すい)』
『翠………ですか?』
『ん』
『わかりました♪では石田…………じゃなくて、ご主人様、よろしくです♪』
「あ、あぁ………よろしく」
なんかすごい形で俺の新しいデバイス、翠が仲間に加わった。