小説『Gods ~舞い降りた女神様~』
作者:ダーク根暗フィア()

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第17話 俺は貴女が嫌いな能力者です






「お、俺もーー」

「お、俺もっ?」

「俺も話があるんですが・・・・」

(な、何だ・・・・。「俺も好き!」とかじゃ無かったんだ・・・・)

「ど、どうぞ」

「ーー静音さんは本気でそれを言っていますか?」

「へ?」

先程の照れまくっていた顔が一変。鋭さを帯びた目付きに変わり、静音と目を会わせる。

「俺と付き合って欲しいと言うのは本気で言っていますか?」

「と、当然てす!本気じゃなかったらわざわざ呼びません!」

「そうですか・・・・。静音さん、残念だけどその気持ちは受け取れない」

「どうして?私じゃ何が駄目なんですか?」

「静音さんが駄目なんじゃない。俺が駄目なんだ」

「光明さんが?」

ガシャン!
2人の会話を遮るようにフェンスが揺れる。

「ヴゥゥゥゥ!」

「何?犬?」

「いや・・・・これは・・・・」

ガシャン!

「アンデッドだ」

「アンデッーー」

ガシャン!ガシャン!

「ヴゥゥゥゥワォォォ!!」

「魂を失い、生ける屍となった“元”犬だ」

「光明さん何を言って・・・・」

「ヴワゥ!」

ガシャン!
遂にフェンスを破壊して次々と校内に侵入する犬のアンデッド。
アンデッドの狙いは大概目についた物だが、稀に魔力を求めて襲う奴もいる。
2人の前に現れた犬のアンデッドは剣介を狙っている。

「いやぁ!来ないで!」

「参ったな・・・・」



「アンデッド!?」

「知ってるの!?」

「剣介に教えて貰ったんです!どうしましょう!?」

「あの数はケンちゃんには無理!私達もーー」

麻理が竹刀袋から≪笹貫≫を取ろうとしたと同時、剣介が2人の居る場所に向かって人指し指を3回横に降った。

「待ってください」

「何?」

「剣介が来るなとサインをしてます。私達は待機しましょう」

「ちょ、何言ってるの!?」

「知ってるか?あの静音って言う女子、能力者大っ嫌いタイプだぜ」

何処からともなく現れたクラスメイトの裕二。誰から得た情報なのか静音が能力者を嫌うようになった経緯を話していく。

「それじゃあ」

「剣介は元々断るつもりだった。だから運が良かったかもな。今彼奴だけが戦って能力を披露すればお前はバレずに済む。何せ、剣介曰く魔法の記憶操作も完璧じゃないから何かの拍子に思い出すらしいからな。だからお前を巻き込まないように1人で戦うつもりだ」

「でもーー」

「大丈夫ですよ。今は、剣介を信用するのが一番です」

キリヤが冷静に言った。



(ありがたい。裕二には感謝だな)

「静音さんは下がって。俺が相手します」

「何言ってるんですか!?逃げましょう!早く!」

「来い≪レイヴニル≫」

キィィン。

「え?」

「変換ーー雷鳴」

バチバチバチ!
流れるような動作で≪レイヴニル≫を召喚、能力で魔力を雷属性に変換し、中段で構える。
≪レイヴニル≫の刀身に紫電が走り、青紫に輝く。

「光明さん・・・・?」

「すみません。俺は貴女が嫌いな能力者です」

「嘘・・・・」

「「ヴゥゥゥゥワォォォ!!」」

犬のアンデッドは全部で8体。その内2体が池を飛び越え左右から剣介に仕掛ける。

「雷ナメんな!」

ドンドン!
まるで爆発が起きたような音と同時に辺りが真っ白になり、視界が回復すると剣介の足元に大きく穴が開いた犬のアンデッドだった物が転がっていた。

「ヴワゥ!」

続いて残った6体の内5体が剣介に飛び掛かる。

「まず2体」

バチ!
横1文字に凪払った≪レイヴニル≫の刀身が紫電と青紫の残像を残しながら犬のアンデッド2体を両断。

「そして3体」

凪払った反動をそのままに1回転。剣介を囲うように3方向から襲ってきた残りの3体の上顎から上が地面に滑り落ちた。

「ラスト」

「きゃあ!」

「ぬ?」

静音の悲鳴。剣介が振り向くといつの間にか移動していたリーダー格の犬のアンデッドが静音の首に今にも噛みつこうとしていた。

「ヴゥゥゥゥ・・・・」

「剣を捨てろってか?・・・・まずいな」

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