小説『幸せバレンタイン【蘭マサ蘭】』
作者:ポテサラ()

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―2月14日―
やっと、2月14日、バレンタインデーだ。

俺は朝からずっとそわそわしていた。
ちゃんと、チョコを持ったかとか心配になり、もう、10回以上は鞄の中をチェックした。
渡す時にはなんて言おうかとも考えたが、思いつかなかった。

当然、授業なんて頭に入ってこなかった。


授業が終わり、いつもならすぐに部室に行くところだが今日は、霧野先輩にチョコを渡すために二年棟まで行った。


廊下を曲がったところに霧野先輩がいた。

「あっ!霧野せんぱ・・・・。」
俺は、目の前の光景に止まった。

「あ、狩屋。いや、これは・・・。」
霧野先輩は女子からチョコを渡されてる最中だった。俺の胸の鼓動はどんどん早くなっていった。

「霧野先輩。部活始まるんで呼びに来ました。早く来てくださいね。じゃ、お邪魔してすみませんでした。」
俺は、何とかいつものように笑ってその場を去った。
はやく部室に行こうと走っていたが、途中で泣き出してしまった。

「なんだよ、結局誰でもいいんじゃんかよぉ・・・。」
俺は、廊下で泣くわけにはいかないと思ったが、駄目だった。
俺はその場にしゃがみこんで泣いてしまった。
生憎、廊下には誰も居なく泣いてるところは見られずにすんだ。

「俺、一人で、喜んでバカみたいじゃんかよ・・・。」
本当に、昨日から泣いてばかりいる。そして、その理由は全部霧野先輩だ。
こんなことになるなら、チョコなんて頑張って作らなければ良かった。
昨日、霧野先輩に呼ばれたのを無視しとけば良かった。


霧野先輩なんて好きにならなければ良かった。


弱虫な自分を守ろうと、俺は、霧野先輩は何も悪くないのに、霧野先輩のせいにした。
そんな自分が嫌で、さらに泣けてくる。


「・・・っ。」
昨日以上に涙が止まらない。

「狩屋!」
そう後ろから呼ばれた。
俺は、振り向かなかった。いや、霧野先輩だと分かって、振り向けなかった。

「狩屋、ごめんな。あの、ちゃんと断ってきたから。」
霧野先輩は本当に申し訳なさそうに謝ってきた。

「また、そうやって俺に情けかけるのやめて下さい。本気でも無いのにチョコ作って来いとか、もう言わないでくださいよ。俺のこと、好きじゃないんだから、もう、俺の事は放って置いて下さい!」
俺は、溜めてた悲しさと苛立ち、色々な気持ちが一気に出て、思ってもないことを口にしてしまった。

まぁ、これで嫌われるならいいや。

霧野先輩は俺のことをそっと抱きしめてくれた。まるで、ガラスを触るかのように優しく。

「霧野・・・先輩?」
俺は、びっくりした。
なんで、さっきの俺の話聞いてたのか?

「狩屋、ごめんな。俺、鈍感だからお前の気持ちなんて全然分かってなかった。俺、ホントに最悪だな。」
あっ・・・霧野先輩、泣いてる?

「俺はさ、自分の気持ちにすら気づいてなくて、お前を散々傷つけたと思う。けど、俺はお前が好きなんだよ。」
霧野先輩のその言葉はまっすぐで、嘘なんて入ってないって分かった。

「霧野先輩。あの、俺、勘違いしてました。霧野先輩は、俺のこと好きじゃないって思ってました。けど、今分かりました。霧野先輩が、俺のこと・・・好きだってこと。」
いつもだったらこんな恥ずかしい台詞言わないだろう。
けど、今だけは、霧野先輩だけは特別だ。

「狩屋、俺は、お前のことを手放そうなんて思ってないからな。」
そう言って、霧野先輩は俺にキスをしてきた。


「なっ・・・霧野先輩!いきなり、き・・・キスするなんて・・・・。」
言葉では、嫌がってるように見えるが、実際は嬉しかった。


「あ、もう、部活終わったなー。まぁ、今日は、いっか。」
そういって霧野先輩は俺に笑いかける。

「そうですね。」
俺も、笑った。今のは結構素直に笑えたと思う。



外に出たら、外は赤色に染まっていて、綺麗だった。

「狩屋、帰ろうか。」
霧野先輩は俺の手を握った。

「は、はい。」
俺は、素直に返事をした。



帰り道を歩いている時に、
「あ、そういえば、狩屋。俺に、チョコはくれないのか?」
と、霧野先輩はいたずら笑いをして聞いてきた。

「あ、あげますよ。味は保障しませんよ。」
俺は、そっぽを向いて霧野先輩にチョコを渡す。

「ありがとう。食べないで、保存しーとこっ♪」
霧野先輩は嬉しそうに笑ってくれた。


計画通り渡せなかったし、素直な言葉もかけられなかったけど、これが俺たちらしいから。

焦らなくてもいい。俺たちのスピードで、俺たちのやり方で恋愛すればいいや。







皆も、幸せなバレンタインになりますよに。ってね♪



―end―



途中からよく分からなくなった^q^

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