小説『魏者の成り立ち』
作者:カワウソ()

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 もし、未来を変えることが出来たなら、こんな結末を消せたのかもしれない。いや、知っていたのなら、変えていた。
決まった未来なんてない。何もかもが必然なんてことはない。だから、こんな結末を認めたくない。逃れられない結末なんてないんだ。
 少年は一人蹲る。暗闇の中、今が一体いつで、季節も寒さも分からない中、ただ一つ確かなものの前で。
彼の頭の中では今までの記憶が蘇る。ここまでに至った時まで、その時、いつも自分の光景に会ったものを思いだしながら。
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朝だと思う。どうも寝起きだとはっきりしない。体が重くなると言うのは良い例えだ。多分、目が覚めている筈なんだが、辺りが暗い。しっかり睡眠をとったと思ったんだが、まだ夜中なのだろうか? とりあえずは電気をつけたい。
 ベッドから起きることなくスイッチを入れる。暗かった部屋は明るく灯され光満ちている。
時間にして今二時、あまりに早すぎる起床。寝床時間十時であったのにも関らず。

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