小説『リリカルなのはの世界へ飛び込んだ少年の物語』
作者:ryo()

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俺は九条結弦という。
俺は何でもできた何をしても上手く行くような人間だった。テストは基本満点だし、スポーツもできた。その上、容姿もいい方だったために男共からの恨みや妬みは当然あった。しかし、それを上回るほどに俺は金を持っていた。プライドなど無いかのように俺に好かれようとする者までいる始末だ。本当にどうしようもない。人間というものは本当に最低なものだと思い知らされた。それ故にだろうか、俺の周りには友達というものが居なかった。
 金は科学者である両親が送ってくるものだ。俺のことは忘れてはいないが研究の方が大切だという。そのため小さい頃から家に居るのは一人だった。自分はとても空っぽな人間だと自覚していた。人を信じることなどできないと思っていた。人との絆など忘れてしまった。
 そんな俺はある日トラックに轢かれてしまった。なぜ俺が死ななければいけない?こんな現実受け入れたくはない。この世に不要な人間など他にも居ただろうに・・・。
 そして、脳裏に浮かぶのは一人の少女。見たことがあるのに思い出せない。唯、わかるのは君との約束は守れなかったということだ・・・。そうして俺の意識は途切れた。



俺は死んだはずなのになぜ生きている?(死んだ記憶が無いのに死んだと決めつけるのもおかしな話だが)それにしても大きな部屋だ。しかし扉が存在せず、家具だけが置かれていた。明かりがついていないために見え難い。
 唐突に辺りが光り始めた。思わず目を閉じてしまう。光が収まり目の前に見えたのは、一人の少女だった。
 黒髪でまだ幼い顔立ちの14歳くらいの少女が笑顔で言った。
「ようこそ、わたしの部屋へ!九条結弦、あなたを待っていたのよ。」
 その少女は俺を見るなり話しかけてくる。何が起きたのかいまいち理解できなかったが敵意が無い事だけは確かだ。それだけでもまだマシだと言わざるを得ないだろう。
「君はいったい誰だい?なぜ俺の名前を知っている?」
 これは今一番の謎だ。これがわからなければ前には進めない。
「わたしは宮部露菜よ。気軽に露菜とでも呼んで頂戴。君の人生を見ていたから、名前はそこで知ったのよ。まだ記憶はあるだろうから忘れてないと思うけど、あなたは既に死んでいるわ。」
 疑問が二つ同時に解消するとは思わなかったが俺の考え道理だったというわけか。
「俺は死んだといったな。ならなぜ俺はここに居る?普通は成仏するんじゃなかったか?」
「それについては僕から説明するよ〜。」
 そう言い出てきたのは20くらいの女性だった。髪の色が水色という現実離れした人物だった。
「そのことに関してはまだ露菜ちゃんにも話してないからね〜。」
 説明をしてくれるというこいつは何者なのか。それは分からないが一応は聞いておこう。
「じゃあ始めるね〜。普通は成仏したりするんだけどいくつかの例外があるんだ。生きていても嬉しいと思えることが無かった、というのが一つある。そんなのはほとんどの人間がそうだと思うだろう?でも、違う。人は必ず幸せを感じる時がある。まあ例外がこうしているのだから必ずという言葉には語弊があると言えばあるんだけどね〜。要するに一例として、すべてを機械的にこなしている人を例外とみなすのさ。それが結弦君の事だよ。
もう一つの理由はどうしても叶えたい願いがあることなのさ。」
 大体の理由は理解した。で、結局俺はどうなるんだ?
「これから、君たちには転生してもらうんだ〜。世界は『リリカルなのは』だよ。なかなかハードな世界だけどくじ引きでこれが出たから仕方がないと諦めてね〜。大丈夫、ある程度戦える能力は提供するから!」
 俺たちは2人で1組なのか?だとしたらこの子がかわいそうだ。初対面の男と一緒だなんて。
「2人にはそろそろ出発して貰おうかな〜。能力なんかは世界に着いた後に本を置いとくから読んでね〜」
 大した説明もせぬまま、終了しやがった。俺たちはこの後何をすればいいのか分からない。
「じゃあ、セカンドライフを楽しめるよう頑張ってね〜。」
 そう言って俺たちを蹴り飛ばした。
「「え・・・?」」
 俺たちの到着点に穴が開いていることを確認し、一言だけ言う。
「テメエが何者かは知らないが次会ったら殴ってやるからな!」
 俺たちは穴に落ち、新しい世界へと転送された。

-2-
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