小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

―現代 花茂芽―
「…あとはお前の推理通りだ。お前を呼び出した日、檸檬を死体安置所から引っ張りだし、お前に罪を着せた。それで終了だ。呆気なかったな…」
私は愕然とした。ありえない。私に世話をかけてくれたあの人が…殺人者…
アメリカにいた頃の…あの優しい帯夢が…
人としてあるまじき行為を…
そう思ったその瞬間!店のドアがバンと開き、そこからすごい剣幕の正治が入ってきた。
そしてその握られた右手が帯夢の頬を見事にとらえた。
「…ふざけるなよクソ親父。俺はお前の背中みて俺が育ってきたんじゃねぇか!!お前の背中を見て…警察目指して…必死に勉強して…警察になってからも…お前に憧れて成長してきたんだろうが!それを…お前は…」
倒れた帯夢に対してもう一度拳を振り上げた正治を、私は抑えた。
右手を私に取られた正治はこっちを向いた。そこにあの時の恐ろしい剣幕はもうなく、目にうっすらを涙を浮かべていた。
「…俺はお前の見本になった覚えはない。お前はお前らしく生きろ。少なくとも俺みたいにはなるな。無責任にもほどがあるとは思うがな…」
そう笑いながら答えた帯夢は、夜に光る赤色灯に連れられていた…

あの笑い顔の裏には何があったのだろう?
そんなことを考えながら車に乗ろうとしたそのときだった。
見知らぬ男性が私の目の前に立っていた。
「染月…花茂芽様ですね?」
「ええ、私ですが…」
「これを預かって参りました。お受け取りください。」
「え?あのちょっと!待ってください!」
男性は自分の用事を済ませるとすぐ去っていった。

渡されたのは封筒だった。
そのなかには…
なんだこれ?黒く細い万年筆だ。こんな形の物は見たことがない…
『…!これは…何故これがここに!?』
ジャームがひどく動揺している。一体なんなんだろう?
「ねぇジャーム。これ何?」
『それは俺が愛用していた特別な万年筆だ。これには俺の先祖代々の霊が取り付いていて、何かしら助けてくれたものだ。だがこれが何故…?』
「どんなふうな物なの?」
『それはこれからわかるだろう。まぁ楽しみにしておくことだ。』
「なによそれ…」
そんなやり取りをしながら私たちは家に帰った…
                                                -fin



この物語に出てくる人物、事件、関係等は全て架空のもので、事実とは何ら関係ございません。
                                           後日談に続く…

-32-
Copyright ©狂ピエロ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える