小説『ボーッとしていたら、過去に戻ってしまいました。』
作者:氷菓()

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「ただいまー」
靴を放り投げ、玄関に撒き散らす。
いつもの事。
「おかえり...」
しわがれた声が玄関に響き渡り、
リビングへと続くドアが開く。
そこに立っているのは祖母。腰を曲げながらいつも、
返答を返してくれる。有難いものだ。
でも、90歳近いのでどうにか無理は、しないで欲しいものだ。
私はもう一度ただいまと言い、リビングに行き、
ソファに座り込み溜息をつく。これが日課。
そして、少し冷蔵庫をあさって、階段を上り自分の部屋に入る。


全く嫌な部屋だ。
自分の部屋だがどうにも落ち着かない。
しかもそこらじゅうに教科書やら、ドリル類やらが無造作に部屋中を埋めている。

「少しだけ...片付けよっかな...........めんどくせぇ...」
などと言いながら教科書を集め、本立てに押し込む。
考えなしに押し込んだせいか、全く入らない。
「あああああああッ!うぜぇッ!」
今度はぐちぐち文句を言いながら本立てに入れる。
やっと入った。私はやはり天才だな。

次は、二宝石で買った小瓶やらのアイテムの処理だ。
捨てたくないので、クローゼットを全開にして、押し込む。
ここに隠しておけば誰にも見つからない。
そして、モノが落ちないよう、素早く戸を閉めた。

「完璧...................」
そしてドリル類を取ろうとしたら、ある箱につまづいた。
黒っぽい....箱だ。
「なにこれ....?」
その表面には、マークらしいが下手くそな彫刻が施されている。
私の趣味じゃない。
箱を揺すってみるとカラカラと音がした。
何か入っているようだ。
私がその箱のフタに触れると........................

-7-
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