小説『ソードアート・オンライン―黒の剣舞―【凍結】』
作者:バイタリティ()

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幕間『最強たる所以』




side:第三者

アインクラッド最強は誰か?と聞かれたら真っ先に上がるのは『疾風』のシュオンと『神聖剣』のヒースクリフの二人だろう


この二人が最強と呼ばれ始めたのは浮遊城アインクラッド第50層のボス攻略の奮闘によることが大きい


アインクラッド50層

100層からなる浮遊する鉄の城アインクラッドの半年という節目
だからそこに型破りのボスを配置するというのは考えてみれば有り得たことなのだ



アインクラッドの階層最深部に潜み、次の層へと至る扉を守護するボスの多くは人型だ

大きさこそ人間と比べるのも馬鹿らしいが彼らは人の形を取って前線プレイヤーの前に立ちはだかる


だが50層のボスは違った
50層のボスは大蛇というダンジョンでよく目にするようなモンスターの姿で現れたのだ

それもただのモンスターならば恐れることもなかった
だがボスである大蛇のサイズは大きく、さながらプレイヤーは捕食される餌のようだった

単純にサイズが大きいだけでも脅威であるそれのHPバーは5本
削るのも億劫になるほどの体力とサイズによるアタックレンジの広さ

『絶望』

その場にいた全プレイヤーを包んだ感情はまさにそれだった

いや、正確には二人を除いた全員はそうだった


崩壊する戦線―仲間が死に戦意を喪失する者、やってられるか!と転移し逃げる者


だがそれと同時だった、全員が目を見開いて驚愕したのは―



ボスの前に立つ二つの人影

片や紅い鎧、巨大な盾を構えた防御重視の重装備の者
片や朱のラインが走る黒いコート、右手に片手直剣、左手に短剣を構えたスピード重視の軽装備の者


神聖剣のヒースクリフと疾風のシュオンだ


この二人は戦意を喪失した者たちの前にまるで壁のように立ちはだかり、10分間もの大蛇の攻撃を食い止めたのだ

神聖剣が攻撃を受け止め、その隙に疾風が大蛇の体力を削る

日が暮れるように途方もないその戦法は最終的に3本のバーを削り、戦意を取り戻した攻略組にバトンタッチとなった



このことがアインクラッド中に響き渡り、シュオンとヒースクリフは最強と呼ばれるようになったのである








そして今日―



「さぁ!皆さん!ついに今日、真のアインクラッド最強が誕生します!神聖剣ヒースクリフvs疾風シュオン!最強はどちらだぁ!?」



最硬と最速がぶつかり合う

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