「さて、君がここに喚ばれた理由も説明したことだしそろそろ転生について話そうかな」
そうだった…俺転生するんだ
「転生する世界は勝手ながら私が決めさせてもらった。君が行くのは『ソードアート・オンライン』という世界だ」
「……マジですか?」
「マジだよ。それも主人公が存在しない可能性の世界。つまりは原作主人公であるキリトこと桐ヶ谷 和人は存在しないんだ。その主人公が欠けた世界に君は主人公として転生する」
「えっとつまり俺がキリトになるんですか?」
「いや、これは憑依ではなく転生だからね。今の君があの世界の主人公になる。所謂オリジナル主人公というわけだよ」
そういうことか…って!?
「それじゃ原作通りに進まないじゃないですか!」
「その通り、アインクラッドからプレイヤーを生還させた英雄キリトはいない。既存の物語は意味をなさない。君だけの物語を謳歌しなさい」
俺だけの…物語
「さぁ、転生するにあたり物語を有利に進める便利な特典を決めてもらおうかな。制限はないからどんな願いでも一つだけ構わないよ。死にたくないなら『不老不死』をモテたいなら『イケメン補正』をあげよう(まぁ、君には必要無いだろうけど)それともチートを貰って無双でもするかね?」
特典…つまり願いが叶うのか
なら俺が願うのは…
「何でも…何でもいいんですよね?」
「あぁ、何でも構わないさ」
「じゃあ――
『絶剣』ユウキとその家族が病気にかからなかった可能性を下さい」
「!!………つまり、本来死ぬはずだった彼女が生きていたらというIFかな?けど彼女を生存させるとなるとどんなしわ寄せがいくかわからないよ?彼女がいたポジションに別の誰かがなったらそれでは意味がないだろう?」
俺の願った願いに神様はその穏和な顔を鋭いそれに変え問うてきた
その鋭い目は俺の心を全て見透かすかのように俺の目を見ている
「ユウキの生存させるために対価が必要なら払います。腕の一本や二本…なんなら俺が転生するという権利を剥奪してくれても構いません」
そこまでするかと面を食らったような顔になる神様
しかし直ぐに表情を鋭いそれに戻す
「どうしてそこまでして彼女を救いたいのかな?それは偽善だよ?それに生存させたからといって彼女が幸せになれるとは限らない。逆に生存することで幸せを逃すかもしれない」
「それでも…助けてあげたいんです!お願いします!」
「…………ふぅ、わかったその願い叶えよう。しかし忘れてはいけないよ?君がユウキくんを生存させたことで生じるしわ寄せは必ず君に行く。それは君が責任を持って受け止めなさい」
「…!はいっ!」
「ではこの本に手を乗せ願いなさい。君の人生のテーマを…」
目の前に本が置かれる
その本は真っ白だ
まるで俺のこれからの人生のように
そして手を本の上に置き念じる
空虚な人生だった
だから今度は誰かを護れるような…そんな人生にしたい
強く、強く、強く!願った
それに応えるように本が輝き出す
「さぁ行きなさい少年。君の幸せを楽しみに観測しておくよ。紅茶でも飲みながらね?」
「期待に沿えるか分かりませんが精一杯努力します。ありがとうございました!では行ってきます!」
その言葉までが俺が覚えている神―観測者との会話の全てだ
第三者side
少年がいなくなった書斎にて観測者である老人は少年が入っていった物語を慈しむように撫でた
その顔に浮かんでいるのは少年を問い詰めた時の鋭いそれではなく初めに見せていた穏やかな笑みであった
「ふふ、全く面白い少年だよ。さて彼には運命を弄る危険性を示したが…どんなしわ寄せ(幸せ)彼には送ろうか…?やはりこれが一番かな?」
穏やかな笑みを悪戯が成功した子供のような朗らかなものに変えまた白い本を撫でる
「君なら出来るさ。君の物語…ゆっくり読ませてもらうよ」
そう言ってティーカップに残っていた少しぬるくなった紅茶を笑みを浮かべながら味わうのであった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━すんません!触りだけ入れてみようかと思ってたんですがやはり次回に回します!あとプロローグ終わってなかったですね!それとコメント嬉しいです!やはり活力になりますね!ではまた次話で会いましょう!