小説『Replay』
作者:カズィー()

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 ―――気がつけば布団の中にいた。めまいも無く、暗闇に墜ちることもない。「今日」と同じ朝だ。
(もう出てくるなって言ったからか?)
自分の言葉を思い返す。出てくるなとは言ったけどまさか何も起こらず時間が戻るとは思わなかった。とりあえず、奴と話さなくても済む事に少しホッとした。
 しかし、これで三回目だ。石が飛んでくるなんて偶然や奇跡としか言いようが無い。やはり今日竜崎が死ぬ事に変わりは無いのか…。
 でもそれなら奴が時間を戻す事に何の意味があるんだ。僕に竜崎が死ぬ場面を何回も見せて楽しんでいるのか。そんな事で神のような力を使うはずもないか…。
 三回も木曜日を過ごして分かったことは一つ。竜崎は外で死んでいるという事だ。石が飛んでくるに至っては、竜崎が自宅に入る事を妨げているとしか思えない。
(家だ。家に入らすことが出来れば)
 ほんの少し射し込んだ希望の光。明日を迎える鍵は、ここにあるのだろうか。

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