「もう良いか?」
あきれたような顔で竜崎が聞いてくる。聞かれたことに答えたは良いが、僕が上の空だったので少々不機嫌になったのだろう。
「あぁ、うん。ごめん」
「いいさ」
そう言って竜崎は自宅の方向へ歩いて行く。何が起こるかわからないので家の中に入るまで見守る事にした。竜崎の家まで20メートルぐらいのところで声がした。
「おい! 危ないって!」
竜崎の隣の塀の向こうから少年の叫びが聞こえる。とたん、大きめの石が塀を越え竜崎めがけて飛んでくる。
「竜崎! 危な……」
最後まで言い切る前に石は竜崎の頭部に直撃した。竜崎は前のめりに倒れた。僕は凍りついてその場に固まる。
(まただ。…また竜崎が)