「あ」
「ん、どうしたの?」
照火が菫に問い返すと菫はある方向を指さしていた。そこには2人の少年少女がいた。中学生ぐらいだろう。二人は顔がどことなく似ていた。双子なのだろう。
「ん・・・あれは・・・、」
◆
「おっ、いた・・・。あれが最後の\"敵\"かな。どう思う?望美」
「んちょっと待って・・・」
望美はそういうと照火たちがいる方へ意識を集中させた。
(あれが残りの1チームかな・・・)
(んー戦うっていってもー・・・どうすれば・・・)
(ふっ、たった2人か、…勝てる)
照火たちの考えていることが、手に取るようにわかる。
望美の『力』は『読心(マインドリーディング)』。その名の通り、ある範囲内にいる人間の思考を読み取る。発動条件も簡単。ただ集中するだけ。ただそれだけで相手の考えていることすべてがわかる。
「そうね・・・、そうみたい。じゃあ今回はどうする?」
「うーん・・・そうだな。前回は僕が殺(や)ったし、今回はよろしく」
幸希がそう望美の肩をたたいた。
望美はコクリと頷くと、手を前に出し集中し始めた。
◆
「なぁ照火、なんかあいつら話してるみたいだし、今がチャンスじゃない?」
「え・・・あぁうん。・・・でもどうするの?」
「どうするって・・・、そうだな・・・」
飛鳥は辺りを見回した。飛鳥はさっきやった、火と風のコンボをもう一度して、一気に決着(ケリ)をつけようと思っていた。だがどうもちょうどいい位置に窓がない。
飛鳥の『力』は風をコントロールする。だがあくまでコントロールなので、元に風がないといけない。ここはちょうど窓もなく、風が吹いていない。
飛鳥は少しうなりながら、考え始めた。
すると菫と雫が同時に指を指した。
「ねぇあの女の子、なにかしようとしているよ」
「えっ?」
刹那、照火たちの体にとてつもない重圧がかかる。立つことができなくなり膝が地につく。
「グ・・・なんだ・・・これ・・・??」
「た・・・たてないよ・・・どうすんのこ・・・れ・・・」
体にかかる重圧はどんどん増してゆく。