小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「あ」

「ん、どうしたの?」

照火が菫に問い返すと菫はある方向を指さしていた。そこには2人の少年少女がいた。中学生ぐらいだろう。二人は顔がどことなく似ていた。双子なのだろう。

「ん・・・あれは・・・、」

  ◆


「おっ、いた・・・。あれが最後の\"敵\"かな。どう思う?望美」

「んちょっと待って・・・」

望美はそういうと照火たちがいる方へ意識を集中させた。


(あれが残りの1チームかな・・・)

(んー戦うっていってもー・・・どうすれば・・・)

(ふっ、たった2人か、…勝てる)


照火たちの考えていることが、手に取るようにわかる。

望美の『力』は『読心(マインドリーディング)』。その名の通り、ある範囲内にいる人間の思考を読み取る。発動条件も簡単。ただ集中するだけ。ただそれだけで相手の考えていることすべてがわかる。

「そうね・・・、そうみたい。じゃあ今回はどうする?」

「うーん・・・そうだな。前回は僕が殺(や)ったし、今回はよろしく」

幸希がそう望美の肩をたたいた。

望美はコクリと頷くと、手を前に出し集中し始めた。

   ◆
 

「なぁ照火、なんかあいつら話してるみたいだし、今がチャンスじゃない?」

「え・・・あぁうん。・・・でもどうするの?」

「どうするって・・・、そうだな・・・」

飛鳥は辺りを見回した。飛鳥はさっきやった、火と風のコンボをもう一度して、一気に決着(ケリ)をつけようと思っていた。だがどうもちょうどいい位置に窓がない。

飛鳥の『力』は風をコントロールする。だがあくまでコントロールなので、元に風がないといけない。ここはちょうど窓もなく、風が吹いていない。

飛鳥は少しうなりながら、考え始めた。

すると菫と雫が同時に指を指した。

「ねぇあの女の子、なにかしようとしているよ」

「えっ?」

刹那、照火たちの体にとてつもない重圧がかかる。立つことができなくなり膝が地につく。

「グ・・・なんだ・・・これ・・・??」

「た・・・たてないよ・・・どうすんのこ・・・れ・・・」

体にかかる重圧はどんどん増してゆく。

-29-
Copyright ©迷音ユウ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える