小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

-last page


午後六時五〇分。照火はやっと家にたどり着いた。照火はマンションに住んでいる。家にはもちろん誰もいない。

照火は部屋に戻り、うつ伏せになって、床に寝転がった。

今日はとても疲れた。

今日はもう寝よう・・・。あぁ、そういえば昼から何も食べていない。寝る前に少しカップ麺でも作って食べようかな・・・。

照火はなんとなくテレビをつけ、小さなキッチンへと向かった。テレビではニュースがあっていた。ニュースでは学生が殺された、と報道されていた。照火は、殺された学生も地獄(あそこ)にいくのかな・・・と思いながら、カップ麺の容器にお湯を入れた。

あと三分でできる。


照火は再び部屋へ戻った。ふと、机の上に携帯がおいてあるのが目に入った。照火の携帯だ。そういえば、雷人が自殺してから、一度も使っていない。照火は携帯を手にとり、なんとなく開いてみた。


――――――未読メール:98件 不在着信:34件


照火は自分の目を疑った。なんでこんなにたくさんのメールが・・・。送信元を見た。いろいろなアドレスがある。以前、ある一人のクラスメイトにメルアドを教えたことがある。そこから広まったのだろうか。

照火はメールを一件一件開いてみた。雷人が死んだ次の日から九八通。励ましのメール。学校に来いよというメール。学校でいまなにをしているかのメール。さまざまなメールがあった。

照火は雷人が死んでからまったく学校に行っていなかった。

自分のことを励ましてくれる人がこんなにいたなんて・・・。

自分は、現実から目を離しすぎていた。そのことに今、気づいた。


一番下のメールまで来た。十分がたっていた。とっくにカップ麺はのびている。

一番下のメールは、今日、ついさっき来たものだった。

アドレスにはasukaの文字。

(飛鳥・・・?)

メールの内容は簡単だった。

――ありがとう。今度からは学校にこいよな。


もちろん。

照火は心の中でそういった。



――雷人。僕は現実から逃げすぎてたみたいだよ。君の言うとおり、生きている今、そして未来に精一杯がんばるよ。君のためにも・・・。


この日、『二人』の少年が未来に強く生きていこうと決めた。

-50-
Copyright ©迷音ユウ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える