小説『Fate/Zero これは戦争ですか? いいえ観光です』
作者:銃剣()

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番外話 誰にだって悩みの一つはある 前編


「ったく、何で俺達が行かなきゃいけないんだよぉ」


「そんな愚痴言っても仕方ないですよ。僕だって早く家に帰りたいですよ」


「なぜ俺達があんな暴食王の為に、ここまでやらんのいかないのかねぇ」


「仕方ないですよ。僕達ではあのオルタさんには敵わないんですから」


「でもそこは言い返すところだろ。子ギルゥ?」


夜の公園で歩く青年と少年
皆さんご存じ、主人公の善明と子供になったギルガメッシュだった
今は冬木市を飛び出し、遠くまで肉まんを買っていた
それもセイバーオルタの為に


「大体なんで、こんな寒い日にこんな遠くまで・・・肉まん位置いとけや、腹立つな〜」


「この時期になると、人気ですからねぇ肉まん」


「あっ・・・あんまんも買っときゃよかったな、俺、肉まんはあんまり〜」


ドカシャ


善明が何か言おうとしたら、凍った水溜りに足を滑らせ転ぶ
その時に買った肉まんが下敷きになって潰れた
子ギルは善明の近くによる


「大丈夫ですか善明さん?」


「大丈夫じゃねぇよ、俺以外がな」


善明は起きあがり潰れた肉まんを拾う
肉まんは見事にぐちゃぐちゃに潰れていてた


「・・・あーあ、潰れちまったよ」


「あーあ、潰れちまったよ!」


「あぁ?」


善明と子ギル以外にも公園に誰かいた
ベンチに座り、頭を抱えている男
黒の長髪でワイシャツを着ているが、ボタンを全部外し、肌を露出
黒のジーンズに黒の靴
『歌月十夜』以来色物とされ、様々なキャラクターのデモで登場しても扱いが悪く、ゲームではとりわけ「新参キャラクター」であることを徹底的にネタにされている男
ミハイル・ロア・バルダムヨォン・・・通称ネロa・・・ロアだった


「おい作者!今ネロア言おうとしたよなぁ!俺そういうの敏感だからぁぁ!」


すいませぇ〜ん
以後気を付けま〜す


「ったく、何でこうなったんだよ。志貴を殺ったのは良かったのに、何で結界が張れないんだよ。そりゃ俺だって何回も転生繰り返せば、鈍くなるのも分かるよ。部活とかクラブで毎日練習すればうまくなって、休んだ分だけ鈍るのは分かるよ。でも結界使えないとかマジありえねぇよ。折角計画まで建てたのによぉ!ヤバいってもう今年で終わりだろコレどうすんのコレ」


彼が悩んでいたのは、魔術及び結界が張れないでいた
魔眼の能力で志貴に致命傷を与えた後、願望が達成された為ロアが覚醒
志貴はシエルに担がれて逃げた
そこまでは良かったが、ロアは学校に結界を張ろうとしたが何故か出来なくなり、混乱した後、公園に行き落ち込んでいた


「そもそも本当に志貴を殺したのか?それ自体疑問に思うんだが、もし殺してなかったら俺の覚醒って何なの。これじゃあアニメのラスボスの最終形態が物凄くダサい位ダセェだろオイ。あぁもう何でだよ」


「あのーちょっとどうした?」


善明はロアの隣に立ち、声を掛ける
だがロアは善明に気付かない


「いやぁそんな事より志貴に問題あるだろ!何で俺の事覚えてないんだよ!いやこの姿で俺の事覚えてる?って言われればそりゃ覚えてないだろ。子供から大人になった姿じゃあ特徴変わってると思うが、責めて前の姿は覚えていろよ!俺一応お前と子供の頃遊んでいたよなぁ!秋葉の所行ったろぉ!インパクトあったろぉ!どんだけ影薄いんだよ!」


「おい、何言って」


「秋葉は俺の事を覚えていたから良しとしよう。でもあんな強く拒否することないだろぉ!一応本当に兄なんなんだぞ!あの時本気で心折れそうになったわぁ!意外と俺の心はガラスのハートだぞ!一瞬で砕けそうになったわぁ!あぁ何かムカついてきた、こうなったら志貴と真祖を殺して後、毎朝秋葉の屋敷にピンポンダッシュしに行ってやらァァァ!!」


「オイオイちょっとちょっと、落ち着けって何やってんだよお前」


善明は激怒しているロアを落ち着かせる
子ギルはロアを哀れな目で見ている


「うるせぇ!」


ロアは善明に向かって殴る
吸血鬼であり、しかも死徒二十七祖の一角に数えられていた彼が
只の人間に殴れば、一溜まりもないだろぉ・・・そう只の人間ならば


「いだっ!!てめえェェェ何しやがんだ!!」


バキッ!ドガッ!ガシッ!ザシュッ!バシッ!ゴッ!ボコッ!


善明は何事もなく、ロアをボコボコにした












「・・・ったく、いい加減にしなさいよ。こんな夜中にさぁご近所の迷惑も考えなさいよ」


どこにでもある屋台に三人の姿があった
善明、ロア、子ギルの順で座り、おでんとお酒を頼んでいた(子ギルはジュース)
ちなみにロアはボロボロな姿でいた


「何があったか知らないけどさぁ」


「いや、お前にボコボコにされたんだけど」


「とりあえず飲みましょうか」


「つーかお前ら誰?」


ロアは善明と子ギルを指差しながらツッコム
善明は熱燗を揺らしながら、ロアのコップに酒を入れる


「酒は人間関係を円滑にするための潤滑油って、かの徳川家康も言ってたような気がしたりけど気のせいだわ」


「いや、俺人間じゃないんだけど」


善明はロアはツッコムを軽くスルーして、ダンディな顔をしている親父に言う


「オイ親父、熱燗三本追加、あとおでん適当に。お代はこのロン毛がもつから」


「へい」


「ロン毛って誰?まさか俺?」


「へい」


「もう切っちまうかな〜こんな髪」


屋台がある場所は学校の屋上
なぜ屋上に屋台があるのかというと善明がiPadで屋台アプリというのを使い、屋台を出した
善明は親父に注文した後ロアに話しかける


「で、何?なんであんなに悩んでたの?つーかお前何?」


「え?」


ロアは自分の事を聞かれて、少しギクッっとする
善明は気にせずに続ける


「格好からして何か劇団とかやってる方?」


「いや・・・え?たぶん違うんだけど。あんまりハッキリ言えないんだけど、夜中になって人を襲う・・・」


「怪人っぽい感じ?」


「そーそーそーそういう感じ。それで「し」がつくアレ」


「し・・・死人(しど)?」


「惜しい!!けど遠い!!意味合い的には!!」


善明とロアが話しているとダンディな親父が話しかけてきた


「フフッ旦那。余計な口挟んですいやせんが俺はもう分かりましたよ。ホラあれですよ。ヒントは股の間にぶらさがってる・・・」


「違うから!!何そのヒント?一体どんな答えに結びつくわけ!?」


屋台の親父から訳の分からんヒントにツッコミを入れるロア
子ギルは自分のジュースを手に取りながらロアに言う


「まぁまぁいいじゃないですか。神龍(しぇんろん)でも死徒でも」


「いや今一回言ったよ。今一回正解言ったよ」


ロアは自分の存在を言われたので、それを指摘する
善明はおでんを食いながら喋る


「要するに、夜中に人間を襲って何かをしだす人外か」 もぐもぐ


「そうだけど、なんかヤなんだけど、そう言い方」


するとまたダンディな親父が善明とロアに話し掛ける


「旦那。余計な口挟むようですが俺はもう分かりやしたよ。ホラこの方は人を襲いざまに恥部を露出する、あの方ですよ」


「違ェェって言ってんだろ!お前何!?ダンディな顔して頭ん中そればっかか!!」


ロアはダンディな親父の話にツッコム
いい加減堪忍袋の尾が切れそうにもなる
ロアは自分の酒を一気に飲み干す


「んっんっはぁ〜・・・・・死徒!死徒だよ。人間の血吸って生きてる吸血鬼なわけ、今日真祖を殺ろうとしたの、でも結界が張れなくなっちゃってどーにもこーにも」


「結界なんてなくたって、殺る事ぐらい出来るだろ?」


「ダメなんだよ!覚醒・強敵・結界は俺の三種の神器なの!イメージ壊したくないの!伝説になりたいの!」


「いや、そんな三種の神器無いだろぉ」


善明はロアにツッコミを入れると、ロアが悲しそうな顔で笑いながら語りだした


「お前ら、転生って知ってるか」


「転生?まさかお前も転生者か」


「お前もって・・・まさか!」


「いや俺の場合は違うがな、ちょっと特殊なバイトをしてんだよ」


そ、そうか・・・と頷きながらロアは熱燗の中の酒を自分のコップに入れる
そしてさらに語りだす


「お前ら転生が無限に出来たらどうする?」


「転生が無限に?そんな事出来るのか」


「出来るんだよ。俺は」


すると子ギルが何か思い出したような顔をする


「あぁ思い出しました。善明さん、この人アカシャの蛇ですよ」


「えぇ?カンボジアの井戸?」


「いやアカシャの蛇!どんな聞き間違いだよ!」


ロアは善明の聞き間違いにツッコム


「あぁ!話が進まん。俺は無限に転生出来るんだよ!」


「おいおい何だよその反則技、ゲームの無限コンテニューですか」


「ふっ・・・そんな良いもんじゃねぇよ」


ロアはおでんを食べ、酒を流し込む
そしてここからロアの悲しい話が始まる

-12-
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