小説『魔法少女リリカルなのは 〜自由気ままな転生者〜』
作者:レムルス()

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第23話



「・・・シュテル、ちょっと先に帰ってて。」


「ユウ?どうしたのですか?」


「ん?いや、ちょっと用事を思い出してさ。すぐに戻るからさ。」


「・・・分かりました。気を付けてください。」


「はいはい。そっちもね。」


そう言い、シュテルを見送る。姿が見えなくなった所で、俺は後ろに向かって声を掛ける。


「望み通り一人になってやったぞ。そろそろ出てきたら?「先生」?」


そう言うと、建物の影から、一人の男が出てくる。


「へぇ、よく分かったね。気配を消してたのに。」


「・・・魔力を出しっぱなしにしといてよく言うよ。あんた、一対一で話したい時何時もそれやるし。」


「凄い凄い。5年以上前の僕の動作を良く覚えているね。僕が良い先生だったからかなぁ。」


良い先生って。まぁ生き残る力を付けてくれたから文句は言わないけどさ・・・


「ほぼ休み無しで人に襲いかかる戦闘狂が良い先生?」


「はははっ。まぁ、それは愛の鞭って事で。」


「痛すぎたわ!!・・・じゃあ休みの時間になると自分がやらなきゃならない仕事を俺にやらせたのは?」


「じゃあそれも愛の鞭。」


「絶対嘘だ!あんな鞭見たこと無い!」


あれのせいで毎日一時間しか寝れなかったんだよ?あ、ちょっと腹立ってきた。


「先生、一回殴らせろ。」


「やだよ。君の拳、下手すれば鉄の棒より痛いじゃないか。」


「・・・はぁ、まぁ良いや。んで、何の用?」


「さて、何の用か分かるかな?」


「うっぜぇな。」


「あはは。」


「・・・あれか?今のあんたの主人、最高評議会だっけ?に俺を殺す様に言われた、とか?」


すると先生は驚いた様な表情になる。


「・・・本当に君は凄い。まさかそこまで知ってるとはね。」


「・・・管理局が手薄過ぎてさ、出来心でちょっとハッキングしたらさ・・・」


いや、まさかあの程度で最高機密を見れるとは・・・


「普通ちょっとハッキングした程度じゃ無理なんだけど・・・」


「ま、良いや。んで?その反応は、合ってる?」


そう言うと、先生はにやりと笑い、


「正解。そしてもう勝負は決まっているよ。」


と言う。同時に、足元に魔方陣が展開される。


「ちっ、魔導罠(マジックトラップ)か!」


俺が気を取られている隙に先生は魔力弾を撃ち込んでくる。


それに俺は、笑みを浮かべると、


「甘いよ。」


そう言い、魔力弾を全て手で弾き飛ばし、さらに魔導罠を眼で見て・・・


「・・・あれ?何の効果も無い?」


「あ、あ、ようやく気付いた。馬鹿だな〜。」


そう言って笑う先生の方を向く。


「もしかして、全部芝居?」


「決まってるじゃん。そもそも、僕じゃあ君には勝てないって。」


「じゃあ、何で・・」


「なんとなく。でも面白いものも撮れたし十分満足したよ。」


そう言ってデバイスを取り出し、映像を流す。


「この「甘いよ・・・」の時のしてやったり!って顔。面白いにも程がある。・・・プププッ」


「殺す!絶対殺す!」


「うわ、うわ、暴力はんた〜い。・・ププッ」


「うぜぇ、あの「ププッ」がまじうぜぇ。」


「・・・それよりも、今日僕が来たのは、君に一つ忠告をしたかったからなんだ。」


いや、いきなりシリアスになるなよ。


「忠告?何を?」


「最近、最高評議会が妙な連中と手を組んでね。力を増大させている。だから、彼らには注意してほしい。」


「妙な連中?どんな奴?」


「自らを「女神」と名乗る奴等だ。」


あいつらか。よりにもよって面倒な・・・


「あれ?あんた最高評議会のとこの人じゃなかったっけ?何でこんな忠告を?」


「君は僕のお気に入りだからね。それに、先生が弟子に味方するのに理由がいるかい?」


「・・・わかった。ありがとな、先生。」


「さ、伝える事は伝えたし、僕も帰りますか。・・・あの三人の声、聞いてるだけで吐き気がするから帰りたく無いんだよなぁ。」


そう言って、先生は消えていった。


「・・・じゃあ何でそんな所に居んの?」


そんな俺の疑問には答えずに。

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