一章 夏風が窓をノックした。 窓を開けてみると、何処からか迷い込んだ鳥の声が聞こえた。 「何処から来たの?」 読みかけの本を置き、少女は笑いながら優しく呟いた。 町外れの森の中。 人目のつかない家。 そんな所で少女は一人で暮らしていた。 勿論、人間の客なんて訪れることもない訳で。 少女は今日も、一人で平穏に暮らしていたのだった。