二章
世界は案外シンプルな創りだった。
だからこそ、複雑に怪奇した少女のことを理解するものなど誰もいなかった。
メデューサ。
それが人間の言う、少女のことだった。
髪の毛が蛇で、見たものを石に変えてしまうといわれる、神話の中の伝説の
生き物だ。
簡単に言って、少女は人間の敵とされる、恐怖の対象とされる、非科学的な
実在しないはずの存在だったのだ。
そして、少女はそのことを知っていた。
自分が世界に嫌われる存在だということを少女は知っていた。
例え、少女がどんなに世界に憧れたとしても。
誰も理解なんてしてはくれないのだ。
彼女はそういう存在なのだから。
それが、物語の中のことだったとしても。
そういう風に伝わってしまえば、世界は自分を敵としてみるのだ。
本当のことがどうであれ、それを理解してくれる者がいなければ、それは変
わらない。
変えられないのだ。
けれど、少女はまだ知らない。
世界が案外広いことに。
だから今日も、少女は固まった心を一人ぼっちで諦めたのだ。
目に映った、無機質なものをに安堵して。
物語の中でしか知らない世界に、憧れたまま。