小説『想像フォレスト』
作者:hj()

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二章


世界は案外シンプルな創りだった。
だからこそ、複雑に怪奇した少女のことを理解するものなど誰もいなかった。

メデューサ。

それが人間の言う、少女のことだった。
髪の毛が蛇で、見たものを石に変えてしまうといわれる、神話の中の伝説の
生き物だ。
簡単に言って、少女は人間の敵とされる、恐怖の対象とされる、非科学的な
実在しないはずの存在だったのだ。
そして、少女はそのことを知っていた。
自分が世界に嫌われる存在だということを少女は知っていた。
例え、少女がどんなに世界に憧れたとしても。
誰も理解なんてしてはくれないのだ。

彼女はそういう存在なのだから。

それが、物語の中のことだったとしても。
そういう風に伝わってしまえば、世界は自分を敵としてみるのだ。
本当のことがどうであれ、それを理解してくれる者がいなければ、それは変
わらない。
変えられないのだ。

けれど、少女はまだ知らない。

世界が案外広いことに。
だから今日も、少女は固まった心を一人ぼっちで諦めたのだ。
目に映った、無機質なものをに安堵して。


物語の中でしか知らない世界に、憧れたまま。

-4-
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