小説『愛と幸せ、それから死と』
作者:ララ()

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 なぜかしら

 今日はね、死について妙に考えたくなるの

 こんなお話をしっている?

    ある男は死んだあと 星になった

    男は孤独な宇宙へ消えた

    ある女は死んだあと 真珠になった

    女は孤独な深海へ消えた

    ある者は死んだあと 悪魔になった

    心は孤独な闇へ消えた

 そこにあるのは“孤独”だけ

 この世と別れたわたしたちが選択できるのは

 天国へ逝くのか、地獄へ逝くのかではなく

 どんな孤独を味わうか。

 どう? もっと明るくて楽しいお話かと思った?






 全てのヒトや生き物は、この世に生を受けたその瞬間から

 死へのカウントダウンを始める

 遅かれ速かれ、いつかそのタイマーは「0」という数字を叩き出す

 それをただひとりぼっちで

 静かに待っている

 「0」となり停止した命のタイマーを 戻すことはできない

 ただその一秒一秒が

 はかり知れない孤独と温かさを持っていて

 ヒトはお互い その一秒を分かち合うためだけに生きる

 隣の人のタイマーが止まってしまう前に

 自分のタイマーが「0」になる前に

 大切な人の時間が終わってしまう前に

 ヒトは大切な一秒を見逃すまいと  必死に生きる

 そして

 自分と同じ孤独を抱えた誰かにめぐり会えたとき

 大きな大きな孤独を乗り越え

 自分のもつタイマーと

 誰かのもつをタイマー重ね合せ

 孤独と温かさを分かち合って







 一つの小さな生を得る

 

 

 

    












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