-プロローグ-
---ある小説家のブログの最新投稿の小説より
[この世界にはいろいろな法則やルールがある。1+1=2。上から落ちたものは下に落ちる。 生きているものはやがて死ぬ。死んだものは元には戻らない。上げていくとキリがない。そんななか、まれにその法則から外れてしまう人間がいる。 だが、この世界は法則から外れたものを許さない。世界のバランスが崩れてしまうからだ。 この世界の法則から外れた者。その人間の存在は自然のうちになかったことにされる。]
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ある街の中、山鳴憐爾(やまなきれんじ)は、その道のど真ん中にいた。周りの様子から見るに、時間は朝。車も人もほとんどいない早朝。9月のまだ暖かさのある風が吹いている。
「………なんで俺はこんなところにいるんだ…」
昨日の夜、自分は確かに自分の家、自分の部屋で寝たはずだ。何故こんなところにいるのだろう。それよりここはどこだろう。
憐爾はあたりを見渡した。見覚えがある。というより、ここは憐爾の家のすぐ前の道路だった。何故自分はこの時間帯に家の前に立ってるのであろう。寝ぼけてここまで出てきてしまったのだろうか。だとしたら情けなさ過ぎる。
「…………とりあえず、家に戻ろう」
憐爾はゆっくり家の扉の前に行き、ゆっくりドアノブに手をかけた。
「…………………?」
ドアノブを触った瞬間、なんともいえない違和感を感じた。触ってるのだが触っていないような。
「…………………気のせいか」
多分まだ寝ぼけているのだろう。それにしても今何時だろう。とても眠い。周りは明るいが、まだまだ日は昇りきっていない。
「はぁ……」
ガチャリ。
ドアを開いた。