家に入る。いつもと同じ自分の家。玄関においてある時計を見た。……5:45分。憐爾は高校生。といっても今日は日曜日。生徒によっては部活などもあるかもしれないが部活に入っていない憐爾には関係がない。
「………もう少し寝るか…」
憐爾はおもむろに階段を上り、2階にある自分の部屋へ行こうとした。自分の部屋の扉を開ける。なんだか空気がいつもと違う感じがする。でもそんなことは気にしない。とりあえず今は寝たい。
「ふわぁ。目覚ましかけとかないと寝過ごすかもな」
憐爾はそう目覚まし時計をあわせ、ベッドに入り眠った。
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ピピピ、ピピピ、
目覚まし時計がなっている。憐爾は目覚まし時計の停止ボタンを押した。静寂が戻る。
「………もう7時か」
憐爾はゆっくりと1階の洗面所に向かった。顔を洗い目を覚ます。そして再び自分の部屋に戻る。
まだ少し眠い。
今朝、なぜ自分は家の前にいたのだろう。よくわからない。自分がそんなに寝ぼけるとも考えられない。
そんなことを考えながら、私服に着替える。
朝ごはんを食べるために再び1階に行く。キッチンには母親がいた。
「おはよう、母さん」
憐爾はいつもと同じように母親にそういった。が今日はいつもと違っていた。母親からは何の反応もない。自分の声がまったく聞こえてないようだ。
「母さん。聞こえてるか。おーい」
今度は少し大きめな声で言った。が返事はない。
そのまま母親は、憐爾の事を無視し、軽く朝ごはんを作ると化粧でもするためか1階の自分の部屋へと向かった。
「………なんか怒ってんのか……な」
特に思い当たる節も無いが、一応そうしておくことにした。
憐爾はパンをトースターで焼き、それとコーヒーで軽く朝飯を済ませた。