「オニがきたよ!
おにいちゃん!」
「おにぃ?」
僕が学校から返ってくるのを待っていたらしい妹の唯は
僕を見るなり叫んできた。
何のことかわからず、思わず妙な声で返事をしてしまった。
「『おに』って何のことだよ。
まさかこの鬼か?」
そういって僕は両手の人差し指で角を作り、頭に持っていく。
「そう、きっとそんな感じのおと!」
「音?」
「おにいちゃん、こっちにきて!」
唯に手を引っ張られて歩いて行くと、たしかに音がする。
―― ドコドン、ドコドン、ドコドコドコ・・・・・・――
でも僕はその『音』が何の音がすぐにわかった。
これは太鼓だ。お祭り用の。