小説『永遠の月光』
作者:銀の雫()

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標的13「GW・委員会来る!」





























GWもついに終盤に差し掛かった5月4日の夜。



いつものように武器庫にある武器を手入れしていると、
天空のケータイに一通のメールが送られてきた。


天「うわ・・・」


メールの差出人は『雲雀恭弥』。



…このGWで一番見たくないと思っていた人物だ。
なぜなら彼は、天空に連絡するたびに大量の書類を押し付けるからである。(9話参照)


天「よりによって明日だなんて・・・」


いろいろやって疲れてるから休もうと思ってたのに!
どうせGWで溜まってる書類を押し付けるつもりなんでしょ!
自分でやればいいじゃん。
その気になれば草壁さんや他の風紀委員の人にやらせられるじゃん。
なのにどうして私なんだ〜!!


天「はあ…諦めよう…どうせ人の話なんて聞かないし。」


…ん?そういえば明日は…。
まあ、たまにはこういうのもいいよね。

































〜5月5日・応接室〜









コンコン  ガチャ








天「おはようございまーす」
雲「おはよう。」


応接室に入ると、今となっては見慣れた豪華な内装と
緑茶の香りが天空を迎え入れてくれた。
雲雀も、いつものように机に積まれた文字通り山のような書類に
顔の3分の1が隠れている。







…雲雀さんのファンが見たらどんな顔するんだろう…





雲「今日は早かったね。」
天「…早く終わらせたいんで。そういえば草壁さんは居ないんですか?」
雲「巡回だよ。」


うわー…大変だな…。
って、そんな事はどうでもよくて!    ドンマイ草壁!! by作者



天「雲雀さん。これ、よかったらどうぞ。」
雲「?」




天空が差し出したのは小さめの白い紙袋。
その袋には、黒く細長い箱が一つと、青い正方形の箱が一つ
入っていた。


雲「…なに?これ」
天「まあ、とりあえず開けてみてください。」























雲「万年筆?」


細長い箱を開けて出てきたのは、黒光りした高級感あふれる万年筆だった。
なぜ万年筆なんて…とでも言いたげな顔をする雲雀に、天空が説明する。


天「今まで雲雀さんが使っていたペン、もうすぐインクが
  切れそうだったじゃないですか。せっかくだから、こっちのほうが
  いいと思って。…あ、要らないなら返してください。私が使いますから。」
雲「…こっちは?」


そう言いながら青い箱を手に取る雲雀。
するとなぜか天空は動揺して、「やっぱりいい」とか「返してください」とか
ぶつぶつと呟くように言い始め…


パカッ











天「…はあ…」
雲「なんで返して欲しかったんだい?」
天「だって…雲雀さんがそういうの好きかわからないし…」





青い箱に入っていたのは、ステンドグラスクッキーだった。
天空としては、お茶うけにでも…と用意したのだが、
よくよく考えると、雲雀は普段緑茶を好んで飲むので、
洋菓子よりは和菓子のほうが良かったのではないかと心配になったのだ。


普段自分が紅茶をよく飲むから、ついクッキーにしちゃったけど…


天「やっぱり和菓子のほうが良かったですか?」


…問いかけるが、雲雀からは何の返答も無く…
いたたまれなくなった天空は、ひとまず書類に集中することにした。































〜二時間後〜







天「ふ〜、終わった〜!!」


当初、雲雀の顔を隠すほどの量があった書類は、この数時間の間で、全て
天空の手によって片づけられた。


天「…じゃあ、私は帰りますね〜」


結局何も話さずに終わったなー…
ちょっと気まずいけど、元からそんなに仲がいいって訳でもないし、
別にいいけど…







雲「…おいしかったよ」



















…はい?


今…「おいしかった」って…?


もう一度訪ねようと雲雀を見ると、その机の上には
緑茶と天空が持ってきたクッキーの箱が空の状態で置かれていた。

…どうやら天空の知らないうちに食べていたようだ。



天「おいしかったなら…よかったです」
雲「じゃあね」
天「はい、さようなら―」
草「お疲れ様でした。」
天「!?草壁さん!?いつから居たんですか!?」
草「三十分ほど前に委員長にお茶を持ってきて…それからずっと
  ここで月城さんが処理した書類を片づけていたんですが…(苦笑)」



ええ〜〜〜〜!!
全然気づかなかった!
っていうか私、集中しすぎると周りが見えないのか!?
…見えてないにもほどがあるよ…(呆)


























* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *  




―――天空の帰宅後。


雲雀は天空から送られた万年筆を使ってみた。
一般的に扱いにくいとされる万年筆だが、天空から送られたものは
柔らかいタッチで滑らかに書くことができ、非常に使いやすいものだった。


しかし、それよりも雲雀が注目したのは、クッキーの入っていた箱の底。
























『誕生日おめでとうございます』









控えめに、丁寧な字で書かれたメッセージだった。



…誕生日も、悪くないかもね。







+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

あとがき。




今回でGW話は終わりです。

実はこの話、前回の話を書いている途中で思いついたんですが、
結局文がまとまらなくて更新できなかった…(泣)
わかりにくかったらごめんなさい。


次回から原作に突入するかもしれません。

-14-
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