一話『勇者?自由騎士ですが?』
勇者召喚・・・それは、異世界から勇者にふさわしい者をこのフロニャルドに
召喚するものである
しかしある者は例外だった・・・
日が暮れ、魔物の行動が活発になる時間帯
「斬っ!・・・っと、んで封印と・・・」
魔物を斬り、封印の札を貼ろうとしている彼が、その例外である
「もう悪さすんじゃねぇぞ〜・・・さて、後は寝るか〜・・・ってチェイニー、
何で此処に・・・ん?読めってか?
チェイニーと呼ばれた猫は、首から巻かれた手紙を提げ、その人物の近くに寄った
「え〜と、レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ の名の下に自由騎士キリュウ・キサラギの戦の参戦を命ずる 場所はプラリネ砦
・・・これって、ガレット側ピンチ?」
チェイニーは首に付いた鈴を チリン と鳴らし、頷いた
「なら、なおさら行かなきゃな! ヒエイ!」
名前を呼んだものは、F○に出てきそうなチョコdではなく、この世界では珍しい巨大な鷲だった
「さて、チェイニー、行くぞ」
チェイニーはキリュウの肩に乗り、キリュウは鷲のヒエイに乗った
「プラリネ砦だ、行けるな?」
ヒエイは返事をするかのように、鳴いた
◇
『さあ、プラリネ砦の攻防戦も佳境に差し掛かってきました! 引き続き実況は私、ガレット国営放送のフランボワーズ・シャルレーと』
『ビスコッティ国営放送のエビータ・サレスがお送りいたします!』
『おっと、ここで新しい情報です! ガレットにとっては重要な拠点であるこのプラリネ砦を防衛するため、総大将のレオンミシェリ閣下ご本人が戦場に登場との情報が入ってまいりました!』
この世界の戦は殺し合いではなく、スポーツとして成り立っている
一定量以上のダメージを受けた相手は「けものだま」と呼ばれる状態に変化し、一定時間無力化される。騎士級などのランクが高い兵の場合は、まず防具がダメージを肩代わりし、その上でさらにダメージが大きい場合は防具破壊後に同様に、けものだま化する、というものである
これはフロニャルドに満ちている『フロニャ力』と呼ばれるその力はけものだまになる場合だけではなく、紋章術の力の源でもある
紋章術とは大地と空に眠るフロニャ力を集めて使う技術である
フロニャ力を自分の紋章に集めて自分の命の力と混ぜ合わせることで、輝力(きりょく)というエネルギーに変換できる技の事を言う