小説『勇者? 自由騎士ですが?』
作者:風薙()

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        第六話『自由騎士 VS 勇者』


「ビスコッティ領に来るのは、半年ぶりか? エクレやリコッタ、姫様達元気かな〜・・・そういや、ロランとアメリタさんの進展はあったのか?」

あの二人はくっつきそうでくっつかないから、なんかもどかしいんだよなぁ

「まあ、行けば分かるか! ヒエイ、行くぞ」

返答するかのように大きく鳴き、スピードを上げた



「I can flaaaaay!!!」

訓練所の場所で止まり、そこからヒエイから飛び降りた
落下速度は予想より早かったが、空中で両脇にある刀に手を掛るには充分だった

「状況判断能力、危機管理能力、指揮能力・・・そして部隊個人の能力、試させてもらうぞ」

そう言い、落下速度は先程より上がっていった



ドォン!!

訓練所に轟音が鳴り響き、土煙が舞う

「っ!? 敵襲! 一番隊は落下地点の周りを取り囲め! 各隊は警戒を解かず、気を付けてあたれ!」

近衛部隊隊長のエクレール・マルティノッジの指揮の声が響きわたる・・・がーー

「以前より良くなっているが、まだ甘いな」

「ん?あれキリヴッ!?」

アブネーアブネー、奇襲した意味が無くなるとこだったぜ

背中に肘打ちをくらった兵士は、けものだま化していた

「さて、こっからだ」

土煙が完全に払われる前に、一番隊は抑えなければ
『月麟』と『紫電』に手を掛け、抜く
刃の方ではなく峰の方を構え、地を蹴り、兵士達に向かって行く

「もちっと精進しような? っと!」

背中などにタッチや攻撃をすれば簡単にけものたま化するので、柄の部分や峰で叩き、数人をけものだま化にさせる

「あり、壊滅かい? じゃあ次行ってみよー」

見えにくいが周りを見ると殆どが、けものだま化していた
懐から狐のようなお面を取り出し、付け、エクレール達が居る方向へ駆ける



「い、一番隊、壊滅!?」

ある兵の報告を聞き、エクレールの顔は先程とは一変し、険しい表情になっていた

「・・・下がって、念のため警戒だけはしておけ」

「はっ!」

兵はエクレールの言葉を聞くと、二、三番隊の方向へ走り去っていった

「どこぞの誰かは知らんが、このエクレール・マルティノッジを甘く見ないでもらおうか!!」

短剣の二刀流で構え、突撃してくる相手を向かい討つ



「ほぅ、向かえ討つか。 ならご希望どうりに答えてやるとするか」

刀を峰から刃に持ち替え、地を強く蹴り、走るスピードも速くなる

「さてエクレ、どの位成長したのか見せてみろ」

エクレールとの距離を縮め、二振りの刀を構える

ギィン!

キリュウとエクレールの剣がぶつかり合い、金属音が響く

「せいはぁ!」

ガギィン!

月麟と紫電がエクレの双剣とつば競り合いをおこす

「貴様、何者だ!」

「・・・・・・」

エクレが大声で聞いてくるが、俺は無言で何も答えない

「そうか・・・なら、貴様を倒して聞くまでだ!!」

つば競り合いの押しの力がさっきより強く感じる
まぁ、近衛隊長が不審者に負けるなんて、エクレのプライドが許さない気がするからなー
だが、こっちも負ける気はないけどな

キリュウとエクレールが戦っている所にーーー

「エクレ〜・・・って何してるの!?」

ビスコッティ勇者のシンク・イズミが現れた?

「バカ勇者、早くにげろ! ガっ!?」

エクレの腹部を柄で気絶する程度の力で殴り、倒れてきたエクレを静かに地面に寝かせーー

「ッ!?」

キィン!

一気に距離を詰め、紫電で切りかかるがシンクは即座にパラディオンを棒状にして、俺の攻撃を防ぐ

「・・・オッケー、何となくだけど・・・把握はできたよっと!」

俺の攻撃を押し切り間合いを取るが、それを即座に距離を詰め、攻撃態勢に入る
月麟で切りかかるが、避けられる・・・が
避けたときに腹部にスキが出た所に、蹴りを喰らわせた・・・はずたった

「ふぅ、危なかったぁ〜」

シンクはパラディオンを棒状から盾に変え、蹴りを防いでいた

・・・ふむ、さすが勇者と言っておこうか。 しかし悪いがもう少し実力を見てみたいね

刀を再び構えた。その瞬間ーー

「裂空一文字っ!」

右の方向から衝撃破が飛んでくるがーー

「ッ!?紋章剣、双震天十文字っ!」

紫電を下から上に振ると衝撃破が地面が裂けるように行き、月麟を横に振り、紫電のと重なり、十文字の形になる

ドガァン!

そして俺に向かって放たれた衝撃破と相殺し、爆発を起こした

「やはりキリュウ殿だったでござるか」

「あら〜、バレちゃった?」

クックッ と笑いながら、狐の面を取る

「・・・全く、何事が起きたと来て思えば」

軽いため息をしながら笑ってくるのは、ダルキアンだった

「しかしさっきのは不粋じゃあないですか? 男同士のサシの勝負を邪魔するなんて」

さっき、俺に放たれた衝撃破は『裂空一文字』 ダルキアンの紋章剣だ。その他に『神狼滅牙』と言う技もあるが、それは封魔の技でダルキアン以外は扱えないとか

「あのー、貴方は?」

「おう、自己紹介がまだだったな。
俺はキリュウ・キサラギ、基本的にガレット獅子団領で自由騎士をやってる」

はっきり言って、自分の事を言うのは得意ではない

「僕はシンク・イズミ、ビスコッティ共和国の勇者です。よろしくお願いします!」

「おう、よろしくな・・・戦の時は手加減無しでいくからな?」

「今回は押されましたけど、次は負けませんよ!」

握手を交わし、次の戦での対決を約束した

「んつつつ・・・え?キリュウさん!?」

やっと目を覚ましたエクレールは、キリュウが何故いるのか理解出来ていなかった

「おぅ、目覚めたかエクレ。そしてスマン、侵入者は俺だ」

「え?侵入者がキリュウさん?え、え?ええええ!?」

処理が追いつかないのか、右往左往していた

「えーとだな、ちょっとした用事でビスコッティに行こうとしたら丁度訓練していたのを見えたからついでに、どれほど成長したか確かめたかったから先程の事態になりました 以上」

「・・・え〜っと、キリュウさんが侵入者で私と戦った相手もキリュウさん。という事ですか・・・?」

「簡潔に言えばそうだ」

その途端、エクレの肩が震え始め

「なんて事してくれたんですかあぁーー!!」

訓練所に怒号が響いた

「今回の訓練がパアになっちゃったじゃないですか! ただ倒れているならまだしも、けものだまになると復活まで時間が掛かるし・・・どうしてくれるんですか」

・・・どーしましょ、周りの視線が突き刺さるように痛いし・・・お、いいこと思いついた!

「今日の分を取り返せば良いんだろ?用は・・・じゃあ明日の訓練は俺が受け持つ。なぁに、お宅の所の大切な兵だ。弱体させるどころかウチの奴らと同等かそれ以上にしてやる」

・・・たった今思いついた弁明がコレです

「敵に施しを受けるのは納得しませんが・・・すみませんがダルキアン郷」

「ん、何でござるか?」

「ご迷惑かもしれませんが、よろしければキリュウさんの監視をお願い出来ますでしょうか・・・?」

いきなりジョーカー引きやがった!?

「ハハッ、たやすいご用でござる」

わーい、監視付きの訓練にver.upだー

「ではキリュウさん、ダルキアン郷、明日はお願いします・・・シンク、行くぞ」

「え〜折角訓練に参加しようとしてたのに〜」

俺は一向に構わんが・・・この歳でバトルジャンキーとか止めてね

「忘れたのか、明日は姫様との約束だ」

「そうだったね! それじゃあキリュウさん、次の戦で会いましょう!」

エクレに引きずられながら、笑顔で手を振っていた

「おっと忘れるとこだった。ダルキアン、この後ちょいとつきあってくれ」

「・・・はい!?」

-6-
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