小説『問題児+転生者たちが異世界から来るそうですよ?』
作者:沈黙の道化師()

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【場所:???】

(・・・・・・こ、こは・・・?)

目を開けると知らない天井・・・という訳ではなく、ただただ青い空が広がっていた。身体を起こし、辺り
を確認してみると俺は目を疑った。何故なら・・・

「え!?此処、空!?」

そう俺は今、上空何メートルかわからない空中に浮かんでいるのだ。

上下左右には何も無く、下を見ても何も見えない。

「一体、何がどうなって・・・」

「目を覚ましたようだね」

俺が混乱している所に優しそうな男の声が背後から聞こえてきた。振り返って見るとそこには170?くらいで真っ白なローブに身を包み、白い髪を腰まで伸ばしている優しく微笑んでいる青年が立っていた。

「誰?ってか、此処は何処!?」

俺は慌てて立ち上がり青年の方を掴んで揺する。青年は苦笑いをしながら「落ち着いて・・・今話すから」と言って俺を宥めた。

「コホン。・・・では改めまして、僕の名前はタナトス。所謂、死神だね」

そう言うとタナトスと名乗った青年は背中から一対の白い羽根を出した。・・・え!?ちょっと待て・・・!今、何て言った!?

「た、タナトス!?タナトスって言ったらギリシア神話に出てくる死の神!そんな神様が俺の前に現れるなんて、世界が滅亡してもありえない!!」

そうだ!そもそもこの状態がすでにありえないことなんだ。こんな空中で神様と出会うなんて夢以外ありえな・・・い!!

「そうだね・・・本来なら僕が人の前に現れるなんてことはありえない。いや、現れてはいけないんだ」

「ならなんで・・・?」

「・・・それは僕が君を殺してしまったからさ」

・・・今何て?俺を殺した?・・・ダメだ訳が分からない。ただでさえ俺はバカなんだ。現時点の俺の状況すら理解しきれてないのに、その上俺が殺されたなんて言われたら・・・オーバーヒート確定だ。

「・・・ハァ。取りあえずお前がタナトスだとしよう。そして、俺がお前に殺されたとしよう。となるとここは死後の世界な訳?なんでそんなことを・・・」

オーバーヒートを防ぐためにいったん冷静になって一つ一つの疑問を解消することにした。幸い俺の疑問に答えてくれる奴が目の前にいることだしな。

「いや、此処は死後の世界じゃない。此処は僕が作り出した空間だ。何故こんな事をしたのかって聞いたね?・・・贖罪をするため、かな」

贖罪?俺を殺したからか?・・・なんで?死の神であるタナトスなら死んだ奴の魂を冥界へ・・・!?そうか・・・そう言うことか・・・!

「つまり、俺はまだ死んでなかった、または死ぬ運命ではなかった。なのにお前は俺の魂を奪ってしまった。その事への贖罪なのか?」

「ッ!?・・・正解だ。残念ながら元の世界には戻すことは不可能。だから僕は君の前に現れた。そして君に、聞かなくちゃいけないことがある・・・。」

タナトスは俺の推理が当たった事に驚いたがそれも一瞬の事。すぐに落ち着きを取り戻し俺の前に現れた理由を語り始めた。

◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆

「・・・転生?」

「はい。元の世界で再び生を受けることは不可能ですが、違う世界へ転生という形であれば再び生きることが可能です。僕の仕事は君を無事転生させる事です」

タナトスが語ったのは異世界ヘの転生。・・・なんかこういうの生きてた頃に見たSSであった気が・・・・・・。ま、まぁその事は置いておこう・・・。

「それで、俺は何処の世界へ行くんだ?」

出来れば死なない程度で超常現象が入り乱れる世界・・・そう『問題児シリーズ』の世界なんていいな!

「どこの世界へでも行くことは可能ですよ。もちろん、人間の作った話の世界でも」

そう言うとタナトスはニヤッとした笑みを浮かべた。・・・さすが神様。読心なんて朝飯前か・・・!

「話が早くて助かるぜ。じゃあ、転生する先は『問題児シリーズ』の世界に決まりだ!」

ヤベェ!ワクワクするぜ。いまだ厨二病から抜け切れてない俺にとっては天国よりも魅力的な世界!あぁ、十六夜や黒ウサギや白夜叉やらに会えると思うと・・・ダメだニヤニヤが抑え切れねぇ!!

「では転生先はそれで。では次に、才能(ギフト)を決めましょうか」

ギフトキター!!神様直々のギフトかー・・・。・・・実はもう何貰うか決めてあるんだよね。

「じゃあ・・・四鬼の力を使えるようにしてくれ」

「四鬼・・・それは『藤原千方の四鬼』でいいのかな?それなら、まぁ大丈夫だよ」

「よっしゃ!後は中学卒業したら箱庭に呼ばれる様にしてくれ」

「わかったけど・・・これだけでいいのかい?あと2個くらいなら能力を付けることができるよ」

「う〜ん・・・なら、Fate/staynightのアーチャーの投影魔術と『騎士は徒手にて死せず』の2つを追加で。代償は・・・死なない程度のもので」

「『騎士は徒手にて死せず』は本来のものよりランクが下がるけどいいかい?」

「しょうがないか・・・。ま、これだけあれば十分っしょ。さぁ、転生を始めてくれ!」

「そう急がないでくれ。まだ、名前と外見を決めてないよ?」

能力だけじゃなくて外見も変えられるのか!?さすが神様!・・・死神だけど。

「名前は・・・面倒臭いから今と同じでいいよ。外見は・・・白髪紅眼でそれ以外は任せるよ」

・・・誰だ今「うわぁ・・・痛いわー」とか思った奴!!良いじゃんか!好きに決めれるんだぞ!?厨二チックになったって良いじゃないか!!くそぅ、言って悲しくなってきた・・・。

「任せられても困るんだけどなぁ・・・。・・・・・・よし、準備できたよ」

タナトスがそう言うと僕の目の前に木製の扉が現れた。

「その扉を開けば君は転生し新たな生を授かる。ただし!君の記憶は消させてもらうよ。それと、僕があげた能力で悪さをした場合はすぐに能力を剥奪するからね?」

「・・・わかった。ま、最初っからそんなつもりはないけどな!」

俺はドキドキと高まる鼓動を抑えながらドアノブに手をかける。そして一度タナトスの方を向き

「一応いっとくけど俺はあんたのことをこれっぽっちも恨んじゃいねぇからな!!」

そう叫び俺は扉を開いた。

◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆

扉がしまり光となって消えるとタナトスは安堵の息をついた。

「ふぅ・・・。恨んじゃいない、か・・・。もし記憶があれば、君は僕のことを恨むかもしれないけどね♪」

そう言ったタナトスはニヤリと悪そうな笑顔をして消えていった・・・。

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問題児たちが異世界から来るそうですよ? Blu-ray 第5巻
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