小説『ヴァレンタインから一週間』
作者:黒猫大ちゃん()

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第3話 人魚姫のルーン


「了承した」

 短い、しかし、彼女に相応しい答えの後、微かに首肯く長門有希。
 その彼女からは、先ほどまでとは違う雰囲気。そう、諦観が少なくなり、少し未来を目指そうとするかのような雰囲気を発し始めている。

 矢張り、彼女自身が自らの生命の維持を諦めつつ有ったと言う事ですか。確かに、造物主や、自らのバック・アップとの連絡が途絶して、しかも、自分に残された時間が少ない事が判ったのなら、大抵の存在ならば諦観と寂寥に包まれますか。

 但し、これから先の行為に関しては、俺の方に多少の問題が……。

「ただ、俺は受肉した存在と契約を行うのは初めてで、しかも、その方法に多少の問題が有る。その契約方法を受け入れて貰えない限り、この話は無かった事に成る。それは理解して欲しい」

 俺のその言葉に、少し考える雰囲気の長門有希。しかし、直ぐにコクリとひとつ首肯いて肯定を示す。
 そして、

「わたしに身体的な危害を加えないのなら問題ない」

 ……と、真っ直ぐに俺を見つめたままで続けて来た。そして、その言葉と同時に、その感情を示す事の無かった彼女の瞳に、やや希望に近い色を浮かべているように俺には感じられる。

「少なくとも、身体的な危害を加える事はない」

 俺も、彼女と同じように、ひとつ首肯いて答えと為す。
 そして、それからひとつ大きく息を吐き出す事によって、俺自身の覚悟を完了。

「その契約を交わす方法とは、俺の血液を触媒にしてくちづけを交わす事。
 当然、くちづけの中に含まれている、誓約と言う部分を呪的に利用する事になる」

 そうして、俺の受肉した存在に対する契約方法の説明を行った。

 そう。これが、俺が彼女との契約を躊躇う理由。
 確かに、生命を失う事に比べたら、好きでも無い相手とでもくちづけを交わす方がマシだとは思うのですが、矢張り、それでも彼女の見た目が美少女姿で有る以上、かなり怯む部分と成っているのは事実。

 せめて、彼女の姿形が美少女ではなく小動物系なら、ここまで躊躇う理由はないのですが……。

「問題ない」

 しかし、まったく気にした風もなく、そう答える長門。確かに、彼女は造られた存在ですから、普通の少女とは考え方が違う可能性も有りますか。
 まして、自らの生命との両天秤でも有ります。

 彼女が受け入れてくれたのならば問題はないか……。
 そう無理矢理に思い込んだ後に、龍種専用の宝貝(パオペイ)如意宝珠(ニョイホウジュ)を起動させる。

 手の平を上にした形で差し出された俺の右手から、すぅっと浮かび上がり、大体上空三十センチメートルぐらいの高さを滞空する、直径五センチメートルぐらいの光の珠。
 その白く、そして、淡く光る珠の内に見える『護』の一文字。

 そして、一瞬の後、俺の右手に顕われる一振りの日本刀。
 黒拵えの鞘に収められ、優美な反りを持つその刀を持ち、彼女の傍らに歩み寄る。
 長門の傍ら。両手を使えば、簡単に彼女の華奢なその身体を抱きしめられる位置に膝立ちとなり、頭ひとつ分以上高い位置から彼女を見つめる俺。

 長門有希と名乗った少女も、メガネ越しの、少し冷たい雰囲気の有る視線で、やや上目使いに俺を真っ直ぐに見つめ返す。

 そして、二人の視線が絡まった後の……奇妙な空白。

 …………?
 そう言えば、この娘は……。

 俺は、そっと長門のメガネを外してやった。
 その瞬間。メガネを外された長門有希と言う名前の少女の、少し冷たい印象の有る美貌に、少し……いや、かなり気圧される俺。

 そして、それと同時に、上目使いに俺を見つめながら、やや意味不明と言う気を発する彼女。
 成るほど。矢張り、この()は知らなかったのでしょう。彼女が産まれてから、どれぐらいの時間を経ているのか判らないのですが、今まで交わして来た彼女との会話から考えると、あまり人間と関わって来た雰囲気は有りませんでしたから。
 それに、もし、ここに居る事が彼女の仕事ならば、他の人間との接触は少なくても当然ですから。

「くちづけを交わす時に、メガネが顔に当たったら恥ずかしいからな。流石に、俺はキスに慣れている訳ではないから」

 壊れ物を扱うように、彼女のメガネをコタツの上に置いてから、少し笑い……自嘲的に笑いながら、長門に対してそう答える俺。
 但し、先ほどの台詞の中には多少の欺瞞が含まれています。

 それは、キスに慣れていない、と言う部分。
 そもそも、慣れているも何も、生まれて初めてのくちづけでは、慣れているも何もない。
 一応、先ほどの台詞の意味は、見栄が半分、彼女に気を使わせない事が半分と言う感じですか。

 長門が俺を見つめたまま、コクリとひとつ首肯いてくれる。
 その、彼女に相応しい仕草を瞳に映してから、現界させたままに成っている七星の宝刀を抜き放つ。

 蛍光灯の明かりを反射して、銀の煌めきを放つ宝刀。

 その宝刀により、素早く自らの指先を傷付け、

「それとな。出来る事なら、くちづけを交わす前には、瞳を閉じて欲しい。
 流石に、じっと見つめられると、照れて仕舞うから」


☆★☆★☆


 突然の激痛に、思わず左目を閉じ、痛みの元を押さえる為に当てた自らの指先に、ぬるりとした嫌な感触と、ヤケに鉄臭い液体が俺の手を伝ってフローリングの床に赤い水溜まりを作り上げる。

 鮮血?

 突如、流れ始めた血涙……。いや、そんな生易しい流れ方ではない。少なくとも、今、俺は自らの左目を一切、開く事は出来ない。

 刹那。床の方を向いていた俺の両の頬に、少し冷たい、そして柔らかな何かが触れる。
 そして、未だ赤い生命の源を流し続ける個所を押さえ続けている左手を、そっと取り除く長門有希。
 そんな彼女を、無事な右目の方のみで見つめながら、

「大丈夫や。何が起きたのかは判らないけど、直ぐに治まると思うから」

 ……と、かなり強がりの台詞を、少しの笑みと共に口にする俺。
 それに、水の精霊を召喚して傷の治療を行って貰えば直ぐに治まるはずですから。少なくともその部分に関しては、俺は彼女にウソを言ってはいません。

 しかし、俺の強がりの台詞を聞く事もなく、彼女に因って強制的に自らの方を向いた俺の瞳を覗き込む長門。
 玲瓏と表現すべきその表情からは何も感じさせる事はない。しかし、彼女が発している雰囲気は、悪意や害意を伴った物ではなかった。

 そして、

「!」

 突然、接近して来る彼女のくちびるに驚き、声にならない声を上げる俺。
 しかし、そんな俺の反応など委細構わず、その滂沱として紅い生命の源を流し続ける左目に、自らのくちびるを押し当てる長門。
 その瞬間、少し薄らぐ痛み。

 そして、ゆっくりと過ぎて行く時計の秒針。

 軽く、二度の周回を繰り返した時計の秒針が時を刻んだ後、長門から解放される俺。そして、其の時には既に、痛みも、そして、流れ出ていた血涙さえも全て治まっていた。

「……ありがとうな」

 二、三度、瞬きを繰り返し、完全に痛みも違和感も残っていない事を確認した後に、彼女にそう告げる俺。
 先ずは、傷を治してくれたのですから感謝の言葉を告げるのは当たり前でしょう。

 彼女、長門有希と名乗った少女がどんな種類の人工生命体なのかは判りませんが、それでも超絶科学の結晶で有ろうとも、何らかの錬金術の成果で有ろうとも、人間の傷を癒す手段を持っている可能性は有ります。
 まして、自らの息吹を吹きかける事によって、病魔などを払う魔法も存在していますから。

 俺の感謝の言葉に、表情は今までと同じ透明な表情を浮かべたまま、コクリと小さく首肯く長門有希。しかし、その際に、少しの驚いたような気が発生したのは間違いない。

「俺の血涙が止まったのは長門さんが何らかの治療を施してくれたからやろう?」

 俺の問いに、長門有希と名乗った少女が、微かに首肯く。これは肯定。
 成るほど。矢張り彼女は、他人との接触の経験があまりないのだと思いますね。そして、彼女の造物主と言う存在は、彼女に何かを為して貰ったとしても、簡単に感謝の言葉を口にする事のない、純日本風の男性タイプの存在なのでしょう。

 確かに身近に居る相手ほど、面と向かっての感謝の言葉は恥ずかしい物ですから。

「貴方の出血の原因は不明。しかし、左目周辺の毛細血管からの出血で有る事は確実」

 滔々と語る長門。表情は変わらず。
 彼女の発して居る感情は……。微妙ですか。

「それで、何らかの治癒魔法を施してくれた相手に、感謝の言葉を伝えるのは不思議な事ではないと俺は思っているから」

 俺の言葉に、少しの微妙な間の後、コクリとひとつ首肯く長門。
 相変わらずの無表情なのですが、彼女から発せられる気は、表情通り無関心とは少し違う雰囲気の気を発して居た。

 いや。これまでの経過から考えると、彼女との契約は、これまで俺が式神達と交わして来た契約とはまったく違う雰囲気が有りますね。少なくとも、俺は、式神契約を交わした際に血涙を流した経験は有りませんから。
 おっと、それならば……。

「すまん。自分の事だけで手一杯やったけど、俺に何か起きた以上、長門さんにも何かが起きている可能性も有ったんやな」

 少し、遅れた感は有りますが、そう聞いてみる俺。但し、これではまるで、ついでに聞いたような感じが否めないので、矢張り、少し配慮に欠けていた可能性が有りましたか。
 そんな事を考えていた俺に対して、しかし、首をふるふると横に振る長門有希。そして、

「この程度の痛みならば、神経をカットすれば問題ない」

 本当に何でもない事のような雰囲気、及び表情でそう答える長門。
 そして、それから俺の方に、左手を甲の方を上にして差し出して来る。

 彼女に相応しい白く華奢な雰囲気の、その小さな左手の甲には、その場に相応しくない、ナイフか何かで刻んだような傷痕に等しい何かが浮かび上がっている。
 見た事は有る、その文字に似た傷痕は……。

「これは、ルーン文字。それとも、オガム文字なのか……」

 そう、独り言のように俺は呟いた。

 そもそも、俺の知識では北欧神話のルーン文字も、ケルト神話のオガム文字も読む事は出来ません。
 まして、双方とも、木や石、金属などに刻む事で使用された文字で有り、表音文字で有りながら表意文字でも有ると言う複雑な文字でも有り、更に双方ともに、失われた文字が存在する事によって、すべてを読む事は難しかった文字だったと記憶しています。

「これは、おそらくルーン文字」

 俺の独り言に等しい言葉に、律儀に答えを返してくれる長門。……って言うか、彼女は、ルーン文字とオガム文字の違いが判ると言う事ですか。
 いや、違いが判ると言う事は、読める可能性も有ると言う事なのでしょうね。

「それで、どう言う内容が刻まれているのか判るのか」

 俺の左目から血涙が流れ、長門の左手の甲にルーン文字が刻まれる。確かに、良く判らない事態で有るのは事実ですが、最初から、俺が徳島から西宮に飛ばされていますし、更に時間移動も行っています。これは、普通……科学的な事象に起因する事件とは違うでしょう。

「日本語に翻訳すると、人魚姫と記載されている」

 長門有希と名乗った少女が、ひとつ小さく首肯いた後に、彼女に相応しい口調と雰囲気で、そう答える。
 但し、その内容は、俺に取っては、彼女の未来に横たわる不吉な影を想像させる内容で有ったのですが……。

 確か、ルーン文字はアルファベットに置き換える事が可能だったはずですから、どのような内容でも刻む事は可能ですか。
 そうして、人魚姫の文字。
 もし、彼女の左手の甲に刻まれた人魚姫の文字が、一番有名な人魚姫と同じ意味ならば、この目の前の少女の運命は、光りの泡となって消えて仕舞う、と言う運命が有ると言う事なのでしょうか。

「人魚姫。つまり、水の精霊王アリトンの娘と言う事なんやろうな。
 水の精霊はヘブライ神族に嫌われたから、昔話でも貶められて、王子の魂を得られなければ泡となって消える、と言う結末を与えられた」

 俺の呟きに等しいその小さな声が、殺風景な部屋の壁に反射され、そして、自らの声とは思えない程の不吉な余韻と共に、俺の元へと戻って来た。
 しかし、長門有希と名乗った少女は、ただ俺を見つめるのみ。

 もし、彼女を救う為に行った式神契約が、彼女の未来に黒き雲を呼びこんだのだとしたら、それは……。

「式神契約は、双方の合意にのみ解消する事が出来る。もしも、長門さんが望むのなら。
 長門さんの未来が不幸に彩られるのなら、解除は出来る」

 契約を交わす前に告げた言葉を、再び伝えて置く。そもそも俺は、彼女に不幸をもたらせる為に契約を交わした訳では有りませんから。

 長門有希が、その深い湖にも等しい憂いを湛えた瞳の中心に俺を据えた。そして、ゆっくりと三度、その首を横に振る。
 そして、

「契約を交わさなければ、わたしは消えるしかなかった」

 ……と答えてくれました。
 まして、それは事実でしょう。確かに、俺に蘇生魔法は存在しますが、人工生命体である彼女には、おそらく無意味。現実界の理からは少し離れた彼女の魂を呼び戻す術を、今の俺は行使する事は出来ませんから。

 それならば、ここでは、これで良いでしょう。それに、彼女の創造主との交信が回復したら、その時に俺との式神契約は解消したら良いだけですから。

 俺はそう思い、長門有希と名乗った少女を見つめた。
 感情を表す事のない表情。そして、メガネ越しの性なのか、彼女の瞳もまた、何も語り掛けてくれる事はなかった。

「そうしたら、今日は、これで家の方に帰らせて貰うな」

 少し、在らぬ方向に視線を逸らしながら、そう長門有希に告げる俺。それに、改めて感じたのは、彼女との距離が近すぎる位置に居る事と、彼女の……精緻な人形の如き美貌。
 流石に、くちびると、目蓋に感じた、彼女の薄いくちびるを意識して仕舞いましたから。

 まして、これ以上、この部屋に留まる理由も有りませんしね。
 俺の腕時計は意味を為さない時間を指しています。しかし、先ほど、彼女が教えてくれた時間からさほど時間が経過していないので、おそらくは今日と明日の狭間ぐらいの時間だと思います。
 もっとも、俺の家族と言えるのは、俺の仙術の師匠だけですので……。

 俺の言葉に、少し驚いたような気を発する長門有希。しかし、その理由が良く判らないのですが。

 彼女と契約を交わしてから移動せずに居た、彼女の傍らから立ち上がる。そして、最初に俺が居た場所。つまり、長門有希の座る一辺の対面側に逆さに向けて置いたままに成っていた靴を右手に取り、彼女の方へと向き直った。

「俺は、この部屋に放り出される直前までは、徳島に居たんや。
 そして、俺には転移魔法が有る。この魔法を使用したら、徳島に有る俺の家まで、ほぼタイムラグなしに移動する事が出来る」

 この魔法に関しては、実際にはどれぐらいの時間が掛かっているのか判らないけど、それでも、ほぼ瞬間移動に等しい魔法だと思って貰って間違い有りません。
 西宮から徳島間の距離など、俺に取っては無いに等しい距離ですからね。

「せやから、明日の学校の授業が終わったら、その足でここにやって来る。その時に長門さんの造物主との連絡がついていたら、その時にこの式神契約を解除するからな」

 俺の言葉に、少し考えた後に首肯く長門。但し、何故か少し陰の気を発しているような気もするのですが……。
 しかし……。

「それは無理よ、シノブ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

あとがき

 それでは、次回タイトルは『ゲーム』です。

 かなりのネタバレ&非常にキツイ表現を含みますので、ここから先は閲覧注意。

 長門が、主人公に感謝の言葉を告げられて、驚いたような気を発した件について。

 あのシーン。彼女は、本当に驚いたのです。まさか、感謝の言葉を聞けるとは思わなかったから。

 この物語内の彼女は、02年7月7日に起きる事件で、99年7月7日に記憶を飛ばし続けた事に因って、この三年間を無限ループの如く繰り返して来た長門有希です。
 そして、その間、彼女は他人から感謝の言葉を聞いた事は、殆んど有りません。

 確かに、朝倉涼子暴走事件の最後の場面に置いて、キョンに告げられますが……。
 この部分の原作小説内に置けるキョンの行動を詳しく考察すると。

 先ず、生命を助けられた直後は……。「俺には眼鏡属性はない」
 確かに、異常事態に巻き込まれて、剰え、生命の危機に立たされたのですから、少々動転して、少しちぐはぐな対応をしても不思議では有りません。

 ならば、翌朝。精神的に落ち着いた後に、最初に彼女を探し出して、昨日の非礼を詫びて、生命を助けて貰った事に対する感謝の言葉を告げたかと言うと……。そんな事もない。

 そして、放課後。朝比奈さん(大)に出会った後に、最初に長門の顔を見た後に告げた言葉が「朝比奈さんに良く似た人とすれちがわなかったか」

 こんな対応を、50数回に及び経験させられた長門有希です。

 まして、最初にも告げた通り、朝倉涼子が暴走する事は、150年以上前の段階から判っているのに何の対処もせず、ギリギリのタイミングでキョンを助け出すかのようなマネを繰り返しながら。

 ……未来人により、歴史を変える事は出来ないから、朝倉涼子が暴走する事を止めるのは不可能だろうって?

 それならば、笹の葉事件が起こる事さえ有り得ないでしょう。未来人の介入する事に因って起きる事件が有る以上、パラパラ漫画の一コマだろうが、アニメの登場人物だろうが、歴史の分岐点に介入すれば、未来人にも歴史を改竄する事は可能なのですよ。涼宮ハルヒの世界でも。

 果たして、朝比奈みくる(小)の告げた言葉は、彼女の欺瞞だったのか、それとも、彼女自身がそう信じ込まされているのかは、今のトコロ、謎ですが。

 ……尚、50数回に及ぶ無限ループを繰り返した際に、現在、このヴァレンタインから一週間内で起きている、主人公と、この世界の長門有希(仮)との邂逅は起きてはいません。この事態は、彼女に取っても未知の事件です。
 いや。もっとぶっちゃけて仕舞えば、この世界は、原作小説に近い涼宮ハルヒの世界とは、世界の根幹を為す重要な設定が違うと言う事です。

 曰く、この世界には『タイムパラドックス』が存在する、と言う事です。

 追記。宝貝の如意宝珠について。

 如意宝珠とは、龍がその手に持つ珠の事です。
 この物語内の能力としては、主人公が良く知って居る物に姿を変えて使用出来る便利なアイテムとして設定されて居ます。
 所謂、某紅い弓兵の『無限の剣製』と似て居なくもない能力です。

 但し、ひとつの如意宝珠で再現出来るのは、ひとつのアイテムのみ。そして、その珠の中に浮かぶ漢字の意味と画数に因って能力が変わって来ると言うアイテムでも有ります。

 つまり、主人公が持つ、『護』の文字を持つ如意宝珠は、誰かを護る為に使用する場合に、最大の能力を発揮する宝貝だと言う事です。

 まして、この世界には『水晶宮』が有るので、龍専用の宝貝を、人間でも所持及び使用出来るようにするアイテムも有りますから……。
 ……って、おいおい。こんなトコロで、『水晶宮』が存在する事を明かしてどうする。

 宝貝とは?

 宝貝とは、中国の伝説の登場する仙人たちが持つ不思議な道具の総称です。
 例えば、孫悟空が持つ如意棒などがその典型的な物。

 水晶宮とは?

 水晶宮とは、竜宮城の別名の事。つまり、龍たちが住むお城と言う事です。
 もっとも、この世界の場合、海底に竜宮城が有る訳でも有りませんし、異世界から龍たちがやって来て居る訳でも有りません。
 水晶宮は後に向かう事と成ります。

 長門有希とは?

 宇宙発生(ビックバン)と同時に発生したと自称して居る情報統合思念体と言う、高次元意識体より製造された、対有機生命体接触用人型端末の一個体。
 但し、後に主人公によって、その辺りに関する思念体の欺瞞を暴かれる事となる。
 彼女の目的は、原作小説内では、情報フレアと言う謎の現象を起こした涼宮ハルヒの観察任務。

 しかし、この物語内では、それ以外にも重要な任務を与えられて居り、
 更に、彼女自身には告げられていない目的も存在する。

 但し……。
 これ以上は、流石にネタバレが過ぎるので今は未だ描きません。

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