小説『繰り返し一粒』
作者:氷菓()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

『どうして............?』

私は体中の震えが止まらなかった。
自然と色々な思いが混ざり合い、
自分の気持ちをコントロールできず、
涙が溢れた。

嫌だ。
信じたくない。
今、見たのは....
違う。

海斗はそんなことしないッッ..

私は落とした鞄を拾って全速力で教室から出た。
そして走りながら

今のは、違う。
海斗じゃない。

見間違いだ。

海斗は浮気をするような人じゃないっ....。
と自分に言い聞かせて居た。

気が付いたら公園の前に居た。

此処って........
海斗と初めてデートした場所だ。

夕日が沈んでいく。
それにつれ私の心は落ち着きを取り戻した。

さっき見たのは、海斗と似た人だっただけ。
窓から見たのだから海斗と判断するのは早すぎる。

『馬鹿だなぁ...私。
ただの見間違いだったのに早とちりしちゃってさ...』

そんな事を呟いていると
誰かがこの公園に入ってきた。
カップルらしい。
私は、この年で公園に一人で来てるのが恥かしくて
遊具の陰に隠れた。

『(どうやって,,家に帰ろうかな..)』

そんな事を考えていると聞き覚えのある声が聴こえた。

「...に早く...」

茱萸の声...?よく聞こえないが何かをねだっているようだ。

「しょうがないな...」
私はその声を聴いて凍りついた。
そして、その声のする方をばれない様に
陰から覗いた。

-5-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ボカロPlus Vol.1(ロマンアルバム)
新品 \1575
中古 \144
(参考価格:\1575)