小説『episode of 〜〜』
作者:はならむ()

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……銀河連邦、ドラえもん達がヴァルミリオン艦に到着して次の日である。

……第一隊員食堂。その広さは都市一つ以上が入る広さであるが艦内の隊員数に比較しても全員入るのは不可能である。
ドラえもん達はエミリアと共に朝食に来ていた。

「昨日はよく眠れた?」

「はい!……それにしても人が沢山いますよね」

確実に数千人以上はいるこの中で迷ったら一貫の終りだ。

「パンとかあるかな……」

「スネ夫、ここは地球じゃないんだぞ!パンなんかあるかよ!」

「あっ、そっか……」


「ふふっ、ここは色々の種族の隊員がいるから、料理が各別々に別れているの。 あなた達が食べれる料理のある場所へ案内するわ」

彼女は三人を連れてそこへ向かう。

「……そういえばドラちゃんってロボットなのよね?ご飯は電気とかそんな感じなの?」

「僕は人間と同じでご飯を食べて体内でエネルギーに変えるので大丈夫ですよ」
「なら大丈夫ね。しかしながら、それも凄い話よね。ロボットがご飯を食べるなんて……っ」

さすが未来のロボットは一味違うと、関心するエミリアであった。

……そして白いトレイ、各皿に自分の食べる量を料理を乗せて、自分の食べる朝食を取りにいったエミリアと再び合流する。

「食事する席は各隊によって分かれているの。あたし達はこっちよ」

彼女達は近くにある円盤上の装置、テレポーターを使い、一瞬で移動した。これを使わなければこんな広い空間を行き交うはまず不可能だ。

到着したのは、果てしなく長い一直線の長机と椅子、そしてそこで食事を取る大人数の隊員達だった。

彼女達は空いている場所へ行くとそこに座り込む。

「おはようございます、大尉」

「おはよう。今日もよろしくね」

エミリアの部下達が一斉に挨拶し、彼女も笑顔で返事を返した。

「「「お、おはようございます!!」」」

ドラえもん達は隊員に負けまいと元気よく挨拶した。
隊員はほぼ全員、苦笑いしながらコクッと頷いた。

「あっあれ……」

「ちょっと張り切り過ぎたかな……」


三人は気まずい雰囲気になっている時、エミリアは慌ててこう伝えた。

「あ、朝からいきなりそんな大声出したらびっくりするでしょ?だから近くの人に聞こえるくらいの声でいいのよ……」

「はい……気をつけます……」

「けど、三人共いい声してた。これなら他の人からは気持ちよく返事を返せるわ」

ちゃんとフォローを入れられて、ドラえもんは赤面しながらも嬉しい気分になった。

そして朝食を取り始めるが……。

「エミリアさん……それ……なんですか……?」

「何って……朝食だけど?」

三人は彼女の持った皿に注目し、気味悪がった。
何やら細長く、しかも何処かで見たような生理的不快感を催す物……それはミミズのような生き物であった。

しかし彼女はまったく平然とそれを口に入れた。その様子に三人は固まった。

……彼女は元々、『モーリアン』というモグラから進化した種族である。ということは先祖から受け継がれている、摂取する主な栄養源は虫である。
それは彼女からしたら当たり前であるが、主食が穀物である人類から見たら虫を、しかもこんなうねうねとしたミミズみたいな生き物を食べるとはまったく考えられない。

彼らはそこで種族のギャップを思い知るのであった――。

「そ、そういえばミルフィちゃんはどうしたんですか?」

「ミルフィは今、当直交代に行ってるの。今日から数日間、彼女が当番なのよ」

「当直……?」

銀河連邦における当直とは数十人体制で内務状況を把握、さらに人数掌握を主とした当番である。
この当番についてしまったら、交代するまでの間は外出出来なくなり、夜と朝の点呼員、夜中の営内巡回など慣れない内はかなり戸惑うが、慣れるとかなり面倒くさくなる仕事である。

「あたしもこれまでに何回もついたわ。最近じゃあ一週間前についたぐらいかしら」

「へえ……っ」

「さあ、話は後回しにして朝食をとったら、一時間後に中隊朝礼よ。迎えに行くからそれまでに身支度ちゃんと整えておいてね」

「「「はいっ!!」」」


―そして一時間後、三人が連れてこられたのは中央ロビー。広大な広さを持つこの空間には幾つもの隊が集まり、各朝礼が行われていた。


エミリアとミルフィは偵察部隊であるが、あくまで戦闘部隊ではないの補給部隊や通信部隊(いわゆるオペレーター)、そして衛生部隊と同じ『本部管理中隊』に属するのである。
そしてその本部管理中隊長が偵察部隊長であり、ヴァルミリオン本艦長であるカーマインである。

「本部管理中隊、総勢5500名全員異常なし!!」

当直のミルフィが現状況の旨を報告し敬礼。彼も合わせてビシッと敬礼した。
彼女は元の場所に戻り、カーマインは不動の姿勢になっている各隊員へその視線を向けた。

「休め!」

同時に足を少し開いて後ろに組んでいた手をやや水平から少し下げる隊員達。ドラえもん達も見よう見まねで同じ動作をした。そしてカーマインはコホンと小咳を立てて、声を整えた。

「ほとんどの者が承知していると思うが、あのアマリーリスがこちらへ向かって来ているということが昨日判明した。
よって我々は今日よりアマリーリス逮捕に向けての作戦準備に取りかかる。各小隊はそれぞれ各装備品、機体の整備に取りかかってくれ――」

全員が真剣な表情で聞いている中、

(ねぇ、やっぱり軍隊は迫力あるね……っ)

(ああっ、俺も大きくなったらここに入ろうかな……)


スネ夫とジャイアンの二人がコソコソ話していた。

だが――。

(静かに話を聞きなさい!!)

彼らの後ろにいたエミリアが小声で叱咤。瞬間、ビクッと身体の震わせた。

そしてドラえもんもそんな二人に対して何か情けなくなり、ため息を吐くのであった。

――中隊朝礼が終わり、今度は各部小隊の朝礼がある。

そこでドラえもん、ジャイアン、スネ夫が隊員達の前に立たされた。

「皆の者に紹介する。彼らは数日間、行動を共にする地球人の子供達と未来からやって来たロボットだ。その間はエミリア大尉の指揮下で行動している。各人もどうか仲良く接するよう頼む。なら、自己紹介だ」

「剛田武(ごうだ たけし)と言います!!これから数日間よろしくお願いします!!」

「ぼ、僕は骨川(ほねかわ)スネ夫です。よろしく、お願いします……」

「僕はドラえもんと言います。僕のひみつ道具で皆さんの役に立てるように精一杯頑張りたいと思っています!」

張り切るジャイアン、緊張気味のスネ夫、落ち着いて話すドラえもん。各人の特徴がよくわかる。

“……………”

パチパチと拍手をする隊員一同だが、しかし少数が何やら苦々しい表情をしている。しかしながら提督本人が彼らを受け入れたとしても、保護対象惑星に住む子供二人と得体の知れないこのロボットを、銀河連邦という軍隊警察組織に簡単に受け入れるには少々無理がある話である。

――そして部隊朝礼が終わり、エミリアは三人の各施設の案内に任せられた(因みにミルフィは中央デッキでオペレーションと当直としての仕事があるため別々になった)。


艦内通路に歩いている途中、前から一人の女性隊員が笑顔で手を振りながらこちらへ向かってきた。

「エミリア、どこ行くの?」

「ニージェ、おはよう」

彼女はエミリアよりも背が高く、ボーイッシュな印象を受ける。しかし最大の特徴はまるで髪の毛が針のように尖り、それが肩まで降りてきている。

「この子供たちは例の……」

「そうよ。今、あたしがこの子達に艦内の案内をしてるの」

「そっかあ。
あたしはニージェ。ここの第108戦闘ユニット小隊員よ。あんた達が昨日色々やらかした子達ね、これからよろしくね!!」

彼女はぐいぐいと彼らに絡んでくる。

「よっよろしくお願いします……」

彼女のそのノリの良さに三人とも萎縮してしまっている。

「あんた、この子達が苦笑いしてんじゃないの」

「ガハハハハっ、ごめんごめん。
そういえば今日あたしね、この間ロールアウトした試作機のテスト操縦するんだ」

「試作機?確かサイズが大型で武装全てが実験段階の物だっけ?」

「そう、『セタンシープ』ってヘンテコな名前。
アマリーリスが来るってことでもし戦闘になった際、実戦投入されるって話だし――」

「そうなの……っ、けどなんであんたがテストパイロットに?」

「さあ?けどまあそういうこと。今からその準備があるからあたし行くわ。
あんた達もこの綺麗なお姉さんにいっぱい色んなこと教えてもらいなさい♪あんなことやこんなこと……ウヒヒっ」

「ちょっ――!!」
「嘘だって!ほいじゃあね♪」

朝からこんなノリの良さはこちらも楽天的であるミルフィ以上であった。そんな彼女、ニージェは彼らから去っていった。

「たくぅ、あいかわらずね……っ」

エミリア、ドラえもん達は去っていく彼女を見ながら苦笑いしていた。

「ところでエミリアさん、戦闘ユニットって……何ですか?」

「戦闘ユニットはあたし達銀河連邦が所有する機動兵器よ。
そうだ、あなた達に見せてあげる。きっとびっくりすると思うわ!」

彼女はさっそく彼らを率いて歩いていった。

-2-
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