小説『episode of 〜〜』
作者:はならむ()

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そして彼らが連れてこられたのは、広大な空間と格納庫内のドッグ。
金属独特の鉄臭さとオイルの臭いが立ち込めるこの中には……。

「凄い……まるでアニメみたいだ……っ」

彼らの前に立ち塞がるは銀色の金属で作られた巨人。その高さはまるで自分達が虫になったような気分であった。
それが無数に一定の距離を開き、直立不動の姿勢を保つその光景は圧巻であった。

「これが戦闘ユニット『クイスト』。銀河連邦の現主力兵器よ」

「す、凄い……あのザンタクロスと同じくらいの高さだな……」

ザンタクロスとはメカトピア星で開発された土木用作業ロボットである。『ジュド』と言う人格のあるコンピュータを入れることで動かすことができる。
メカトピアの鉄人兵団が地球で組み立てて前線基地を作るために送り込んだがひょんなことからのび太に拾われて、それが後に地球の命運をかけた騒動に巻き込まれると同時に、それが圧倒的戦力差の鉄人兵団への最終兵器として手に入れたのであったが……。
……とまあこの話を後にして、彼女はさらにこの機体に分かりやすいように説明する。

「動力はNPエネルギーと呼ばれる、所謂『第7世代エネルギー』で、初めてそのエネルギーを動力炉として造られた、汎用性を高めた機体で――」

するとスネ夫が何かを期待をしているような顔でこう質問した。

「エミリアさん、これ僕らでも操縦できますか?」

「う……ん。これを操縦するには多少の訓練と特殊の免許が必要で、それがないと操縦できないことになってるの」

「そうなんだ……」

スネ夫は凄くガッカリしている様子だ。

「まあそんなに気を落とさないで。他の機体も見せてあげるわ」

彼女についていくと今度は先ほどの機体よりさらに二倍近く大きい巨人。ここまで来るとビルだ。そしてダルマのように丸いのフォルム。こんなのが倒れたら間違いなく自分達など押し潰されてしまうだろう。

「これが『ゼウシウス』。量産機だけど『クイスト』より火力と装甲面を高めたのが特徴、だけど機動性が低い上に操縦が難しいからこれも別の免許がないと操縦できないわ」


免許がいるということにはまるで車のようである。


―そして今度は、別の格納庫へ。そこには先ほどの『クイスト』やゼウシウスとは一回り小さい5〜8m程の全長、そのスタイリッシュでスリットが特徴な体格は丸で最近のロボットアニメに出てきそうなフォルムである。

「これは『マウラー』て言って、分類的には小型戦闘ユニットよ。本当はルイナス級の主力機だけど、新人の練習機ということでここに配備されているの」
&#010;「る……ルイナス級……?」

「あ、ごめんなさい、いきなりじゃあ分からないわよね!!
銀河連邦の各艦はそれぞれ持つエネルギーの質量で区別されているの。

あたしたちがいるヴァルミリオン艦はランクS級で連邦最大級の母艦よ。

下のランクA級が『ヴァールダイト級』、その下のランクB級が『グラナティキ級』、そして更に下のランクC級がさっき言った『ルイナス級』で、こちらは惑星内でしか運用出来ないの。逆にヴァールダイト級とヴァルミリオン級は宇宙でしか運用できないの。グラナティキ級はどちらも運用可能でそれぞれ役割があるわけ」

「「「………」」」

はっきり言って馬鹿げた規模だ。あり得ないと思うが、この組織が地球に侵略すればものの一瞬で全土は壊滅だろう……。

そんな中、頭上の巨大なモニターには広大な宇宙空間に映る巨大な機体。全身蒼色で大型サイズ。右手には巨大な漆黒の重火器、大口径であり、左手には独特のディテールを持つライフル兵器を携えている。

「あれが『セタンシープ』ね。みんな、さっき会ったニージェが今、乗ってる機体よ」

三人はモニターに注目し、魅了された。
その動きはまさに人間その物。ロボットのように不自然なガチゴチした動きではなくごく自然的な動きだ。そんな機体が宇宙空間を動き回っていた――。

「すげえ……っ」

「かっくいい〜っ」

賞賛しているのはやはりジャイアンとスネ夫であった。


――そしてテスト操縦が終わり、機体『セタンシープ』は格納庫へ戻り、ドッグに到着、すぐに整備が始まる。なお、武器テストはされていない。
何故なら装備されている武装は全て新作であり、使われている弾頭の都合がある。
なので今回は操縦テストのみであった――。
武器テストは後日行うということである。

コックピットのある胸部ハッチが開放し、パイロットであるニージェが出現。
彼女は全身白でピチピチのパイロットスーツとバイク用のようなヘルメットを被り、ゆっくりと地上へ降りてくる。

「ニージェ、お疲れさま!」

エミリア達が彼女を出迎える。ヘルメットを取ると顔中が汗まみれであるが爽やかな表情をした顔であった。

「ふう〜〜っ、疲れた。ゼウシウスで慣れてるあたしからしたらあの機体、中々の曲者だわ」

「そうなの?」

「エミリアは偵察部隊だからいいよね、ホルスだから操縦しやすくて。あたしもたまにはあれに乗りたいわ」

会話しているニージェがドラえもん達に目を通し、ニコっと笑った。

「あんた達、あたしの操縦テクニックどうだった?」

「いや……凄すぎて言葉が浮かばないです……ねえジャイアン、スネ夫君?」

「ああ……っ、アニメを漫画を見てるより感激した……」

「僕も乗ってみたかったなぁ……」

二人に関しては予想通りの感想である。エミリアは今、メカニックマンに整備されている『セタンシープ』を見上げ、どこか渋い表情をしている。

「あたし、あの機体は扱えそうにないわ。現にゼウシウスの操縦も苦手……」

「エミリアって確かに戦闘成績とか良いけどあたしと違って戦闘タイプってガラじゃないもんね、なんか戦闘ユニット操縦している姿が思い浮かばないもの」


「ええっ、クイストでさえ最後に操縦したのは数年前だったかしら……それに今はあたしにイクスウェスがあるし……」

「けどエミリアって、あれ使いこなせてないんだっけ?」

「……」

彼女らは戦闘ユニットの話をするが三人にとっては全く無知なことばかりだ。

「どうやら三人は暇そうにしてるみたいね。ならあたしはテスト結果を報告しに行くわ」

「そう。ならニージェ、またね」

「ええっ」

そう言い、ニージェは去っていった。四人は彼女を見届けると格納庫を後にした。

「なら次は……」

次の瞬間、彼女の動きは止まった。何故かと言うと……。

「エミリアさん、どうしたんですか?」
三人は止まった彼女の顔を見ると顔を赤めらせていた。

「アナタ達、ちょっとだけ時間くれるかしら……っ」

「……」


……彼女は直ぐ様三人を休憩所に連れていくと顔を真っ赤にして直ぐ様走り去っていった。何故かと言うと……。

(うう……っ、時期的にそろそろかと思ってたけどに『アレ』がこんな時にくるなんて……っ)


……女性のみに来る、周期的に訪れる例の身体現象『生理』。このタイミングで来たのであった――。
……彼女はこれに限らずに『性』に関してのことはあまり積極的ではなく、同性がそんな話をしていても自分は恥ずかしくなり、話せなくなるのであった――。


――彼女は部屋に戻り、処理してから直ぐに彼らの元へ戻った。

「エミリアさん……何があったんですか?」

「いっ、いえ!!ただトイレに行きたかっただけよ。
なら次の場所へ行きましょう!!」

――彼女は焦り口調で彼らをホイホイ押し出していった。

-3-
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