小説『ハイスクールD×D〜KING OF BLOOD FIELD〜』
作者:曼陀羅悪鬼丸()

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第4話『説明と歓迎と神器』


†御空side†

 その後、イッセーの身に何が起きたのか説明された。
 イッセーは神器を宿しており、それに目をつけた堕天使によって殺された。そこをグレモリー先輩によって転生悪魔となり、現在に至る。

「…………」

「何だよ、それ……」

 途中、イッセーはわずかばかり取り乱していた。
 それもそうだろう。
 自分を殺した堕天使レイナーレ。それがイッセーの彼女であった天野夕麻だったのだから。
 聞けばイッセーは告白され、心の底から喜んだらしい。
 だがレイナーレはその想いを利用し、踏みにじった。

「……(ふざけやがって……)」

 腹がグツグツと煮えたぎるような感覚を感じる。

 それは怒り。いや、独善的な同情と言ったほうがいいだろうか。
 だが、イッセーは親友だ。親友が悲愴な目にあって、何も思わない訳がない。
「……――す」

「ん?何か言ったかしら?」

「……、いや何も」

 いかんいかん、少し落ち着け。感情に呑まれるな。

「それじゃミソラ、あなたの事を話してもらえるかしら?」

「……分かりました」

 それからは俺の出生、両親、経緯を全て話した。まぁ、前世云々は勿論、悪魔祓い殺害は抜いておいたが

〜〜

「――とまぁ、こんなところです」

『…………』

 話し終えると皆黙ってしまっていた。イッセーは鳩が豆鉄砲を食らったような顔だ。

「み、ミソラ。オマエは人間じゃなかったんだな……」
「あぁ。はぐれ悪魔から生まれた純血悪魔だよ」

 イッセーは見てわかるように動揺していた。
 と、そこへグレモリー先輩が口を開く。

「……それじゃあ、ミソラ。あなたは今」

「えぇ、はぐれ悪魔のままです」

「…………」

 グレモリー先輩は黙ってしまい、何か考えていた。まぁ、何考えてんのかは予想がつくが。

「ねぇ、私の下ぼ「出来れば引き取ってもらいたいんですが。“はぐれ”として狙われるの面倒なんで」……」

 言ってやったぜ。

「……まぁ、いいわね。それじゃ、どの駒にしましょうか」

「ちなみに何があります?」

「『騎士』と『僧侶』、それに『戦車』ね」

 しばし考える。

 『騎士』。駄目だ、柄じゃねぇ。

 『僧侶』。駄目だ、柄じゃ(ry。

 『戦車』。駄目だ、が(ry。

 結論。じゃあ、コレ(・・)を使ってもらおう。

「コレ、使ってくれます?」

 と、グレモリー先輩に一つの駒を投げ渡す。

「? て、コレ『女王』の駒じゃない!?」

「はい、うちの親が持ってたものです。誰でも使えるように改造されてるんですよ、言うなれば擬似『女王』ってやつですね」

「……はぁ、と、とりあえずこれであなたも私の眷属ね」

 コホン、とグレモリー先輩が咳をする。

「さて、イッセー、ミソラ」

 改まって俺たちを見た。
 すると、突然彼女から蝙蝠のような羽が生えてきた。見ればグレモリー先輩だけでなく、塔城ちゃんたちにも生えている。

「改めて挨拶するわね。祐斗」

「はい。前にも言ったけど、僕は木場祐斗。二人と同じ二年生で悪魔だよ」

 爽やかな木場。

「……塔城小猫、一年生です。よろしくお願いします……同じく悪魔です」

 静かに言う塔城ちゃん。

「三年生であなたたちの先輩の姫島朱乃ですわ。この部活の副部長で悪魔ですわ」

 ニコニコ笑いながら言う姫島先輩。

「そして私は主であり、グレモリー家の次期当主、リアス・グレモリーよ。
 よろしくね、イッセー、ミソラ」

 紅い髪を優雅に揺らしながら言うグレモリー先輩。

 こうして俺とイッセーはオカルト研究部に入り、俺ははぐれではなくなった。


†イッセーside†

挨拶を終え、晴れてオカルト研究部に入部した。
 ……何か色々ビックリしまくってもう何がなんだか……。
 特にミソラが人間じゃなかったのにはスゲービックリした。
 けどミソラはミソラだ。
 それは全く変わらない事実だし、アイツは俺の幼馴染みで親友だ。今まで仲良くバカやったりしたことがなくなった訳じゃない。

「そういえばイッセー。あなたの神器を見せてちょうだい」
「はい?」

 お茶を飲んでいるとリアス先輩が話しかけてきた。神器、てさっき話してたやつだよな……。
 どうやって出すんだ?

「あの……どうやれば?」

「自分の中でもっとも強いものをイメージして」

「強いもの?」

 ……ドラグソボールの空孫悟かなぁ……。

「はい、しました」

「じゃあ、その描いたイメージのもっとも強い姿をイメージしてそのとおりにやるのよ」


 …………え?
 つ、つまりあれをやれ、てこと!?
 うわちょーハズカシイ!!
 でも俺のイメージする最強なんてそれぐらいだし……やるっきゃない?やるっきゃないの?何か皆こっち見てるし……。

 えぇい!!やったらぁっ!!

「ド・ラ・ゴ・ン・波ァァァあああっ!!」

 …………………………………………………………。
 うわぁぁぁっ!!
 スゲェェェハズカシィィィィィッ!!!

「あは、アハハッ!!アーッハッハッハッ!!」

 ……ミソラのやつ、すげーいい声で爆笑してやがる。
 むかつく!!しかもイケメンな笑いだから更にむかつく!!

 ん?なんか急に光り出し――……。

「って、何じゃこりゃぁぁぁあああっ!?」

「それがあなたの神器ね」

 俺の右腕にはいつの間にか赤い籠手が装着されていた!?
 何だこれ!?なんかテンション上がる!!

「じゃあ、次はミソラのを見せてちょうだい」

 お、次はミソラか。
 フッフッフ、オマエは一体何をイメージするのかな?



†side out†

 リアスに言われ、御空はソファから立ち上がり、上着とカッターシャツを脱いでタンクトップ姿となった。

 周りは、何故脱ぐ?、と思ったがひとまず見ることに撤する。

 皆から少し離れ、御空は目を閉じて集中する。

 意識を深層へ。
 内なる竜へ語りかける。

「(いいか?ディーナ)」

『(オッケー)』



―――ドクンッ

 心臓が一際高く鳴る。


―――ビキ、ビキキッ


 ひび割れるような音ともに、血管が皹のように浮かび上がる。

『……っ!?』

 それを見て、全員の表情が変わる。

 御空の魔力は先ほどとは比にならないほど強くなった。

 そして外見。
 左胸から血管が大きく浮かび上がり、二の腕、首筋、左頬にまで伸びていた。
 さらに眼球は血のように赤く染まり、その姿はまさに悪魔、いや、吸血鬼のようだった。

「とまぁ、こんなもんですよ」

 と、神器の発動を止める御空。元の姿へと戻った。

「……あなた、その神器どうしたの?」

 リアスが尋ねる。それに対し御空は

「さぁ?」

 と肩を竦めた。

「さぁ、て……」

「いや、うちの親が持っていたものなんで細かくは知らないんですよ」

「……そうだったの」

 親、という単語にリアスの表情が申し訳なさそうになった。

「気にしなくていいですよ。確かに親が死んだのは悲しかったですけど、もう十四年前のことですし」


――それに

 と御空は続ける。

「それがあったから、“今”があるのかもしれませんからね」

 と、静かに笑った。
 それは現在を楽しんでいる笑み。
 それを見たイッセーやリアスたちも自然と笑っていた。

-6-
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