小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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前回のあらすじ 

司君(の何かが)大ピンチ


「リゲル!ほら、お前の知り合いらしき人物が見てるから!」
「そんなのジャガイモか何かだと思えばいいの…私をこんなにしたのはマスターなんだから、責任とって…」
「いい加減こっち見なさい」

ごん!

「にゃん!?」

銀髪の女性がリゲルの頭を後ろから殴った。その衝撃によって正気に戻ったリゲル。

「誰よいきなり!?」

殴られた部分を押さえ振り向くリゲル。そして銀髪の女性と目が合う。

「・・・・・・・・・え?」
「なによその間は。取り敢えずお久しぶりと言っておきましょうか。」

呆れたように息をつく銀髪の女性と驚愕に目を見開くリゲル。そして…

「ミツキ!?何であなたがこんなところにいるの!?」
「何でと言われても…私が此処で眠ってたからよ。封印が解けるのを感じたから起きたの。」
「あ〜ちょっと待ってくれ。俺の名前は天宮 司だ。感動?の再会の所悪いんだが状況が理解できない。説明を頼みたいんだが。」

いい加減話が進まないと思った司が話しかける。若干リゲルから距離をとっているように見えるのは気のせいではないだろう。
「…ふむ…貴方が封印を解いたの?」
「上にあった壁を破壊することが封印とやらを解く事なら確かに解いたのは俺だな。」

司を品定めするように見る銀髪の女性…ミツキ。そして…

「なるほど。司さん…あなたが私の適格者ってことね。」
「適格者?」

いきなり適格者などと言われて理解できない司。ミツキが説明をしようとしたところでリゲルが割って入る。

「ちょっと待ちなさい!その人は私のマスターなのよ!?あなたの適格者なんてありえないはずよ!?」
「でもこの遺跡には私と適合率が高い人しか内部に侵入できないよう結界が張ってあったわ。そうじゃなければ入口まで転送されてしまうはずだもの。」

(ああ、だから事前調査では入口に戻されたとか言ってたのか。…ん?)

「ちょっと待て。そもそもあんた…ミツキって言ったか?一体何者なんだ?リゲルと知り合いってなるとただの人間じゃないってのは解るが…」
「あら、これは失礼しました。私は実はユニゾンデバイスなんです。」
「(ユニゾンデバイス…文と同じか…ってまさか…)リゲルと知り合いってことは…」
「マスター、ミツキは私と同じ『ガイアメモリーズ』なんです。」
「ええ。ルナ…光を司る『ガイアメモリーズ』なの。宜しくね。?」

二人の説明によって何とか理解する司。しかしそこで新たな疑問が出てくる。

「さっき適格者なんてありえないと言っていたが…それはどういう意味なんだ?」
「良いですかマスター?魔導師が持つ魔力には‘波’があります。」
「波?」
「はい。そして一言に‘波’と言っても小川のように緩やかな物もあれば激流のように激しい物もあります。ここまでは良いですか?」

リゲルの確認に司が頷く。そして今度はミツキが説明を始める。

「そしてその‘波’はデバイスにも存在するの。使用者の魔力の‘波’とデバイスの‘波’の流れが近ければ近いほど適合率…相性がいいの。とはいっても普通のデバイスの波は微々たるものだからあまり関係ないのだけどね。」
「大体わかった。だがそれが何でリゲルとミツキ…さんの同時適合が出来ないってことになるんだ?」
「ふふ…司さんは私の適格者なんだから、さんはつけなくていいわよ?さっき言ったのは普通のデバイスの場合の話。私達『ガイアメモリーズ』は適合者を選ぶ…つまり魔導師と同じように非常に独特の‘波’を持っているの。だから適合できる人が極端に少ない…居ないことだってあるわ。言い換えれば一つの『ガイアメモリーズ』に適合できる‘波’を持っているという事は他の『ガイアメモリーズ』の‘波’にはどうしても合わないの。」

ミツキがひと息つく。そして司は頭の中で整理しながらあることを考えていた。

「(俺がもう『ジョーカー』と『サイクロン』の二つを同時に使ってたって知ったらどうなるんだ?)」

司はデバイスと魔導師に多少の相性がある事は知っていたが文と舞夜…サイクロンとジョーカーを何の問題もなく使えていたのでガイアメモリーズが主を選ぶというのは知っていたがそれは個人各の好みだと思っていた。

「まあ、取り敢えず私とユニゾンしてみましょう。それでどうして適合できるか解ると思うわ。」
「…じゃあ、試してみるか。」

リゲルが非常につまらなそうな顔をして見守りながら司がミツキに魔力を流し、ミツキはデバイスとして起動する。
「「ユニゾン・イン」」

司の身体が光に包まれ、光が晴れるとそこには成人程度に成長し、背中から天使のような羽を4枚生やした司が立っていた。

『これはすごいわね…想像以上の適合率だわ…』
「そんなにすごい物なのか?」
『すごいなんてものじゃないわ…リゲル、あなたの適合率はどれくらいだったの?』
「…95%オーバー…ほぼ100%に近い適合率だったわ。」
『私もほぼ100%に近い適合率になっているわ。どうやら司さんの魔力が特別のようね。司さん、リゲルも起動してもらえますか?』
「あ、ああ。『トリガー』起動。」
『トリガー、ブラスターマグナム』

ルナに続きトリガーを起動した司。すると二つのバリアジャケットが融合したように一つとなった。肩、腕、胸部はトリガーの青。身体と背中の翼はルナの白。そしてルナ…ミツキが納得したように声を出し、司はバリアジャケットを解除する。

「なるほど…これはすごいわね。」
「確かに…こんなことは今まで無かったわね。」
「なあ、一体どういう事なんだ?」

ミツキとリゲルが納得したのに対し、司は理解できていない。そして二人が口を開く。

「マスター、私は先ほど魔力を川に例えました。しかし…」
「司さんの魔力は川と言うより湖って言えばいいのかしら?広く深く、そして‘波’が殆ど無かった。」
「…なるほど。つまりさっきの話では魔導師には‘波’があるけどデバイスの‘波’は微々たるものだから関係ないと言っていたが、俺の場合は逆だったと言う事か?」
「そういうことになるわね。これで謎が解けたわ。改めて、宜しくね?司さん。」
「ああ。」
「用件は済んだんだから帰りますよマスター!」

ミツキが司と仲よくしているのが気に入らないのか不機嫌そうな声で言うリゲル。そして三人は入ってきた階段を上っていった。


―階段を上ってる最中

司が前を歩き、リゲルとミツキが並んで二人で歩いていると、ミツキが司に聞こえないようにリゲルに言った。
「(ねえ、リゲル?)」
「(なによ?)」

未だ不機嫌そうなリゲルに、ミツキがいたずらっぽい声で聴く。

「(あなた…司さんの事が好きなの?)」
「な!?なななな何の事よ!?」
「ん?どうした?」
「なんでもありません!」

突然大声を出したリゲルに司が疑問の声を出すが焦ったような声で返す。

「(なんてこと言い出すのよ!?)」
「(だってあんなふうに迫って…貴方はっきり言ってあの時マスターに対するデバイスの顔じゃなくて1人の‘女’の顔だったわよ?)」
「(あ…ああ…何て失態…)」

思い出したのか顔が赤くなるリゲルと、それを楽しそうに見るミツキ。其処へタイミングよく(悪く?)声をかける司。
「あ、そういえばリゲル。」
「ひゃい!?」
「………」

相当焦ったのか盛大に噛むリゲルと声を殺して笑うミツキ。

「お前、もう少し喋りやすいように喋っていいぞ?」
「…へ?」

司の言葉を聞き、疑問符をうかべるリゲル。

「今回の探索で大分お前のキャラクター…って言うか素が見えた。そんな堅苦しい喋り方じゃなくていいぞ。」
「しかしそんな無礼な…」
「俺が許す。って言うかそうしろ。堅苦しいのは苦手なんだ。」
「で、では…えっと、これでいいかしら?つ、つ、司。」
「つが多いのはまあ今後改善で。」
「…はい。」

そして階段を登り切り、今度はミツキが目を見開く番だった。

「あ、あの…司さん?私の記憶が確かならここは相当頑丈な遺跡があった気がするのだけど…」
「ああ、『トリガー』のフルドライブで封印とやらを解いた時の衝撃で崩壊した。」
「あの時は焦ったわね…」
「ああ、安心した直後の崩壊だったからな。後1秒動くのが遅れてたら死んでたかもな。」
「(私…とんでもない人をマスターにしてしまったんじゃ…?)」

そしてジェイルラボまで帰還した司。

「戻ったぞ…如何した?」
「いや、司君。私の目が確かなら監視カメラに移っていた遺跡が崩壊したように見えたんだが…」
「安心しろ。その目は正常だ。」
「事実、崩壊ししたもの。」

事前に崩壊しては意味がないと言われていたにも関わらず悪びれていない司とリゲルにジェイルが一瞬目頭を押さえるが本題に入った。
「で…何かいい物はあったかね?」
「これ」

司がポケットから取り出したのは羽の形のアクセサリーのような物。

「司君はこれはなんだと思うかね?」

司の考えを聞こうとしてジェイルが問いかけるが次の瞬間司が取り出したそれが光り、光が晴れると…

「初めまして、ジェイル・スカリエッティ。私はミツキ。光を司る『ガイアメモリーズ』のルナです。」

ミツキが立っており、ジェイルに挨拶をしていた。

「ああ、初めまして。私は……ちょっと待ちたまえ、今『ガイアメモリーズ』って…」
「遺跡の最深部で見つけた。」
「……ふふふ…ふははは!!!やはり君は素晴らしいよ司君!!ちょっとした試験のつもりだったのだがまさかこんなことになろうとは!!君は何処までも私の予想を裏切ってくれる!」

「リゲル、私達はどうすれば良いの?」
「放っておけばいいわ。さて、お風呂でも行きましょうか。」

ジェイルの中で司の株がまた一つ上がった。




どうもお久しぶりです。ガウェインです。魔力の波のくだりはオリジナル設定です。今回はそこに時間をとられてしまいました。ちょっとネタバレをするとミツキと舞夜とまだ出てないヒートとメタルのどちらか(作者の中ではどちらかもう決まっているんですが。)はハーレムに加わる予定はありません。これで過去へんでやりたいことは大体やったのでもうすぐ時間軸は戻ります。次回をお待ちください。誤字脱字、感想お待ちしております。では!


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