小説『Zwischen??Detectiv?』
作者:銀虎()

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(悪魔色)
天の家を前に、楓はせっかく買ってきた道具を持ってくるのを忘れていたことに気付き、頭を冷やしながら取りに行く。
そして、孕石と表札のかかった邸宅の前で扉をたたく。
「はい、」
疲れた天の声。
「楓です。入れてください。」
硬くはないが一応家に入れてくれるので、一応丁寧語。

「入って。」
父子家庭で、親父さんが長距離トラックの運転手で家にほとんど家にいないのに、・・大丈夫か。
「あがって。」
天は扉を開けて僕を、迎え入れた。

ポイッ
楓か大きな消しゴム大の機器?を放り投げる。
盗聴器専用妨害電波発生装置。
「まぁ盗聴器への対策。」
楓は、そう喋った。
「在賀先輩が、前来て調べてってくれたけど。ないって言ってたよ。」
けげんな言葉でそういうと
「だから心配になるんです。」
眉間にしわを寄せながら、部屋のあちこちそれをばら撒くと
古めかしいトランシーバーの様な機器を取り出しかざすと
 
ピッッ――――

鳴り響く電子音、
「先輩が調べたのはいつ。」
楓は天に向き直る。
「三日前だけど、それより後につけられたってこと。」
三日前では、天は外に出ていない。この一週間、恐怖から閉じこっていたのだから、天は悪寒を感じた。自分の知らない所で、ストーカーが何らかの方法で家に侵入して、設置していったのだと思うと、流石に失神ものだ。
「それはないな。」
かさごそと、機器をかざして調べると、ホコリの薄くつもった延長コードこコンセント部分に着いたネジをドライバーで外す。

カパッッ

いい音がして中から、小さな小指の爪ほどの機器が出てきた。
「かなり前からじゃないかな。ホコリの具合からして二年くらいじゃないかな。」
機器を外すと、ペンチを出して挟み砕く。
「さてさて一つずつ、壊していこうか。」
サクサク機器をかざして、見つけて、挟んで壊す。
「トイレの反応は出たけれど…。」
楓は機器を見て、反応の先がわからなくなっていた。
「みつからないのか。」
天は悩む楓に、怖々と声をかける。
「場所が場所だけに絶対に見つけたいけど。」
几帳面に掃除されていて、ホコリの積もった物などない。
「どこだろ。」
機器の反応だけが頼りなので、巧くことが進まない。
「わからないのか。」
「まぁ僕が仕掛けてたわけではないので。」
シャレにならない冗談を口走る楓。
「ここかな。」
それは、トイレの上部に取り付けられた換気扇のコンセント。
「こんな所に、仕掛けたか。手の込んだことだ。それも、盗撮カメラ。」
天の血の気は引いていく。その後も難航しながら、見つけ出していく。
「これで、終わりだろう。」
楓は、砕けた機器をトイレに流す。
「あのさ、楓って犯人の目星も付いてるの。か。」
天は憂いを帯びた目で、楓に話しかける。
「ホコリの具合から、スト―カーは数年前にここに出入りした人で、警察の情報に精通している人。警察の厳重なパトロールの意味がないくらいだし。」
楓は、自信満々に喋った。そして、
「天・該当者いる。」
首をかしげて、笑顔で聞いてくる。
「はぁぁぁぁぁっぁぁあぁっぁぁ。」
天の絶叫。
「わかってねぇのかよ。」
天も大きな声。
「だってよ、ここまで検討を付けても僕は天の交友関係を網羅してり分けないし、俺の知らない天の知り合いなんてかなりの多さだと思うよ。」
自信に満ちた態度で、楓は言った。
「そりゃぁ、そうだけど。」
天は手を頭に当てて、落胆の色を見せる。
「それこそ君の交友関係を網羅している方が、ストーカーじゃない。」
至極真っ当な言葉に、天は絶句。
「お前実は心配じゃないだろ。俺の事。」
天は横眼で楓を見る。
「心配なら、盗聴器を見つけてストーカーがいつ来ても大人しく状況下に居続けないよ。」
楓は、そういうと
「だったら、犯人見つけてから。来いよ。」
天は、深い落胆とともにいった。
「盗撮もされてたくらいなのに、天をほっておけないよ。天は、僕にとって大事な人だから。」
一mに満たない。距離で見つめ合う。男女でこの言葉には、それは甘いわけでして。
「それって。」
天は、聞き返す。
「僕は、命をかけて君を護りきる。だから今夜、君から離れない。」
短い距離を、更に詰めて楓は天を抱きしめる。
「君がほしい。ストーカーになんて渡したくない。」
耳元で囁く。
「天は言葉を失ってしまったが、強く強く抱きしめ返す。
顔が楓の胸に埋まって、息が困難になるほどに、

ピンポン

ドアチャイムが鳴る。
「誰だろう。ストーカーさん行動が早いな。」
楓は、拳を固める。
「天ちゃ〜〜ん。大丈夫。」
在賀巡査の声
「パトロールみたいだよ。出てくる。」
抱きしめられたままの、天は楓から離れて言外に向かう。扉を開けると、
「御苦労さまです。何にもないですよ。」
天は在賀にそう伝える。
「そう・・・ならいいんだけど。お父さんも帰っているみたいだし。」
在賀は笑顔で返す。
「父は帰ってませんけど、」
天は変なことを言う在賀に首を傾ける。
「じゃぁ、子の男ものの靴は。」
在賀は素直に疑問をぶつけて、楓の靴を指す。
「あぁ・・・・。」
今までやっていた事が事なので、一瞬天の言葉が詰まる。それに、訝しさを感じた在賀は、
「失礼。」
天に一言と詫びを入れ、靴を脱いで家に上がる。
「誰だ。出てこい。」
警棒を片手に、廊下を歩く。
『ストーカーと勘違いされたか。楓って伝えないと』
天がそう言おうとした時
「なんでしょう。」
扉を開けて、楓が出てきた。
「ストーカーじゃないですよ。心配して楓が来てくれたんです。」
天は楓と対峙した在賀にそう言った。
「まったく、そういうのはストーカーを刺激するからやめてって言ったよね。」
警棒をしまい、ズボンのポケットに手を入れながら、二人に注意する在賀。
「例えば、こんな感じに。」
そいうと、在賀はポケットから引き抜いた手を、楓の首を押しつける。

バチゥッッ

電流と皮膚の接触。在賀の手にはスタンガン。
「えっっ。」
その意外な出来事に、反応ができない天はそこに立ちつくす。
 
ガタッッ

糸の切れたクラリネットの様に倒れる楓の体。『逃げなければ』脳が体に伝達した頃には、在賀の手が在賀に掴まれていた。

ピュッツ

天の体が宙に舞う。宙に舞いながら、天は一つの結論。

・警察の情報に精通する人間で、補導の対象とならない人物=警察官
・俺の家に、数年前に来て今もなおも知り合い。
・そして、硝子が殺した人物は、柔道に精通している人物。
・今・自分は、今柔道の技をかけられて宙に舞っている。
すなわち、在賀球児。

バンッッ

天の背中がフローリングの板床にたたきつけられる。普通の女子高校生が受け身などとれるはずもなく天は悶絶に言葉に出ない。
在賀は横たわる二人を横目に、玄関のカギを閉めると、二人を肩に担いで2階の天の部屋に二人を運ぶ。
天はベッドに下ろし、楓を乱暴に床に放り投げる。

バン

大きな音共に、床に楓の体が叩きつけられる。
「神屋敷も、いい体していたけど。天はどうなのかな。」
卑しい笑みが、天を貫く。
「硝子も、先輩が。」
背中の痛みで自由の利かない体で、必死に言葉を紡ぐ。
「そうだよ、だって汚いゴミに汚されそうだったからさ。護ってあげたかったんだ。だから、先輩とともにあの汚い雄狗を絞め殺してあげて、僕達の綺麗なモノを注いでから、天に贈ってあげたの。」
「なんども、なんども、『つよし、つよし』ってうるさいから。」
壊れた理由に狂った笑み。
「先輩ももうすぐ着くんじゃないかな。君も見た事あるだろう。俺と同じ交番にいる。大きな先輩。あの先輩、逮捕術で警視庁の全国大会でる様な猛者なんだ。」
汚い舐めずりとともに、紡がれる言葉。

「あの人にかかれば、素人を絞め殺すなんて簡単だよ。男の方は先輩がやってくれたんだ。神屋敷ちゃんは、俺でも出来たけど男はね。」
血生臭い経験を嬉々として語る在賀。
 
「うぅっっ。」
楓の体が、蠢く

バチッッバツッ
楓の体に、走る何本もの電光。
「やめろ。楓が、しんじゃう。」
天は涙に震えた声で言った。
「ばかだなぁ。天はこのスタンガンの電圧じゃ、神経がやられるだけで命は大丈夫。」
動かなくなった楓の体。
「スタンガンって、猛獣の調教にも使われるんだ。言葉の通じない獣には、体でね。」
ペロッっと舌を出す。
「天は、言葉わかるもんね。だって言葉で言ったら一塁手の技術わかったもんね。」
このまま、壊れるまで怖がらせればいい。
そんな顔が一番惹かれるンだからさ。性欲に従順に従い、言葉を紡ぐ在賀。
「先輩が来る前に、綺麗しようか。体。」
淫猥な目線は、言葉に代わる。
「服・脱いで、下着もね。」

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