小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 闇の書の完成と同時に、はやてが書に捕らわれ、入れ替わるように現われた銀髪、黒翼の女性――闇の書の意志。
 何も語らず、しかし目の前の遊星達を見据え圧倒的な魔力をその身から放出している。

 「…こうなっては最早止まらない。お前達も永久の安息に沈め。」

 漸く口を開いたと思ったら、出て来たのはお世辞にも平和的とは言えないセリフ。
 同時に無数のスフィアを形成し、其処から砲撃魔法『ナイトメア』を放ってきた。

 期待などしていなかったが、話し合いが出来る相手ではない。
 矢張り、はやてが管制人格と防衛プログラムを切り離すまでは戦うしかないのだろう。

 「スターダスト!破滅を防ぐ星となれ、『ヴィクティム・サンクチュアリ』!」

 闇の書の意志の攻撃をスターダストで防ぎ、取り敢えずは無傷。
 そして今の攻防を皮切りに、呪いを超える為の戦いが幕を上げた。









  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス22
 『重なり増える暗黒』









 如何に強力な攻撃といえど、スターダストの絶対防御の前では其れも霧散する。

 勿論スターダストはフィールドから一時的に姿を消すが、それでも今の攻撃を防げたのは大きい。


 完全な不意打ち故に反応できる者はそう多くは無いだろう。
 現在、闇の書の意志と対峙しているこのメンバー以外だったら、先程の攻撃で終わっていたはずだ。

 「流石だな遊星。今度は此方の番だ、飛竜…双閃!」

 「行っけーー!シュワルベフリーゲン!」

 「プラズマランサー!」
 「Plasma lancer.」

 「アクセルシュート!」
 「Accel Shooter.」

 そして、相手の攻撃を防いだのならば、後続の攻撃が来る前に反撃は当然の事。
 チームのオフェンス担当であるシグナム、ヴィータ、フェイト、なのはの射撃魔法が発動。

 普通ならこの攻撃で終わりだが…

 「…星屑の盾よ、厄災を消し去れ『ヴィクティム・サンクチュアリ』。」

 闇の書の意志もスターダストと同様の力で攻撃を防ぐ。

 「今のはスターダストの…成程、魔力を収集した対象の力が使えるのか、厄介だな。」

 遊星の予想は当たっている。
 闇の書は元来、あらゆる魔法や知識を蒐集・蓄積していくものだ。
 ならば、集めた力は使えるのが道理だ。

 つまり、此度の闇の書は遊星のモンスター、なのは、フェイトにヴォルケンリッターの能力が全て使えることになる。
 此れは厄介極まりない。

 だからと言って退く訳には行かない。
 此処で退いたら全てが終わりだ。

 「俺のターン。」

 スターダストもフィールドに戻り、遊星は次の一手を考える。
 正面から挑んでも、多種多様な防御で防がれるのは目に見えているし、攻撃ともなれば其れは全てが一撃必殺。

 「手札のレベル・スティーラーを墓地に送ってクイック・シンクロンを特殊召喚!更にチューニング・サポーターを通常召喚!」
 クイック・シンクロン:ATK700
 チューニング・サポーター:DEF300


 「チューニング・サポーターはシンクロの素材にする時レベルを2として扱う事が出来る。
  レベル2のチューニング・サポーターに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!
  集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す。光射す道となれ!シンクロ召喚、吼えろ『ジャンク・バーサーカー』!」
 「ガァァァァァァァァァ!!!」
 ジャンク・バーサーカー:ATK2700


 遊星のデッキの中でも屈指の攻撃力を持つ狂戦士『ジャンク・バーサーカー』が現われた。
 スターダストの力を得て、絶対の防御力を手に入れたこの相手には非常に有効な力を持ったモンスターだ。

 「ジャンク・バーサーカーは相手の守備を打ち砕く力がある!行け、ジャンク・バーサーカー『バーサーク・ブレイク』!」

 ジャンク・バーサーカーには元々守備表示モンスターをダメージ計算を行わずに破壊すると言う効果がある。
 其れはこの状況では、相手の防御陣を破壊する効果へと変る。

 更に、

 「ブゥゥゥレイク!」

 アルフもまたバリア破壊技で突進。
 2つの防御破壊を受けて、流石の『ヴィクティム・サンクチュアリ』も突破される。

 この好機を逃すメンバーではない。

 「頼むぞスターダスト!『シューティング・ソニック』!」

 「ディバイン…バスター!」
 「Divine Buster.」

 「サンダー…レイジ!」
 「Thunder Rage.」


 スターダストの音波、なのはの砲撃、フェイトの雷撃が闇の書の意志を打ち据える。
 更に、

 「紫電一閃!」

 「ブゥゥチ抜けぇぇぇぇ!!!!」

 シグナムとヴィータが己が最も得意とする近距離攻撃で更なるダメージを与える。


 しかしながら敵は堅い。
 今の攻撃を受けて全くの無傷なのだ。

 「愚かな…刃以て血に染めよ。穿て『ブラッディダガー』。」

 そして今度は真紅の短剣での射撃を放ってきた。
 その数は20以上!
 しかも飛行速度と、誘導・追尾性も相当なものだ。


 「ヴィクティム・サンクチュアリ!」

 すぐさまスターダストでガードするも、高い誘導性を持った短剣は軌道を変えて襲い来る。
 だが、此処で頼りになるのがシャマルとザフィーラだ。

 「それ、こっち!」

 シャマルが『旅の鏡』で短剣を別の場所に転移させ、

 「烈鋼襲牙!」

 ザフィーラは得意のカウンターで剣を叩き返す。
 加えて、

 「隙ありだ!スティンガー!」

 攻撃の僅かな隙を突いてクロノが攻撃をする。


 確かに強力相手だが、決して対抗できない訳ではないようだった。








 ――――――








 一方で…


 「起きなさいはやて。もう朝よ?」

 「ん〜…後5分だけ勘弁してや…」

 「もう…起きなさい!!」


 ――ぐわ!


 「どわぁぁぁ!!ちょ、何すんねん!怪我したら危ないやないか!!」

 はやては非常に攻撃的な起こされ方をしていた。
 他でもない自分の部屋で。

 「起きないのが悪い!」

 「そやとしても今のは無いでお母さん?…ん?お母さん?」

 この状況に少しの違和感。
 『何が』かは分からないが、しかし確実に感じる違和感。

 「貴女の母親以外の何に見えるの?寝惚けてたらアカンよ?はよ顔洗っておいで。朝ごはん出来てるから。」

 「あ、ウン…」

 確かに目の前に居るのは自分の母親、其れは間違いない。
 又しても感じる違和感…だがその正体は矢張り分からない。


 ――なんやろう?何時もと同じ朝やのに……ま、考えても仕方ないか。
 「顔洗ったら直ぐ行くわ。改めて、おはよお母さん。」

 「おはようはやて。」

 ニッコリと微笑む母に、はやてもつられて笑みが零れる。

 起き上がると、顔を洗うべくベッドから降りて立ち上がり、洗面所へと向かっていった。


 誰も居なくなった部屋。
 否、居なくなったと言うのは正確ではない。

 気付かなかっただけでこの部屋には最初からはやて以外の人物が居た。
 特徴的な赤い目に、長い銀髪の女性。

 「…矢張り呪いは超えられないのか?」

 悲しそうに、寂しそうに呟かれた其れは誰の耳にも届かなかった…








 ――――――








 「クリア・マインド!レベル8シンクロモンスター、スターダスト・ドラゴンに、レベル2シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!
  集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く。光射す道となれ!アクセルシンクロォォォォォォ!」


 ――バシュン!


 「招来せよ『シューティング・スター・ドラゴン』!」
 「クォォォォォォ…!」
 シューティング・スター・ドラゴン:ATK3300



 激しい戦いが繰り広げられているこの場所では、遊星が遂に切り札であるアクセルシンクロモンスター『シューティング・スター・ドラゴン』を呼び出していた。


 遊星達と闇の書の意志の力は略互角。
 それゆえに『消耗戦』の展開が濃くなってきたのだ。

 だからこそ遊星は流星の龍を呼び出した。
 このモンスターならば、闇の書に意志にダメージを与えつつ相手の攻撃を略完全にシャットアウトできるのだ。


 そして当然このモンスターの登場はチームの士気を高める。
 絶大な力を誇るシューティング・スター・ドラゴンはチームに勝利を齎す存在だ。

 はやてが戻ってきていないので闇の書に意志を完全に倒しきる事はできないが、それでも状況が有利に成った事は間違いない。


 「…何故無駄な抵抗をする?我が主は永遠の安息に捕らわれた。抜け出す術はない…」

 「其れは如何かな?はやては強い。あいつは必ず戻ってくる!俺は、俺達はそう信じている!」

 無駄だと言う闇の書の意志に、そうではないと遊星は吼える。

 いや、声にこそ出さないがなのは達とて同じ気持ちだ。
 はやては必ず戻って来ると誰もが信じていた。

 「信じるだけでは何も変らない……そう、私が呪われた存在で有る事を変える事ができないようにな…!
  お前達も此処で沈め…!咎人達に滅びの光を。星よ集え、全てを打ち抜く光となれ。貫け閃光!『スターライトブレイカー』!」

 「違う!信じていれば、信じる心があれば未来は切り開ける!お前の呪いだって断ち切れる!!
  迎え撃てシューティング・スター・ドラゴン!『シューティング・スター・ソニック』!」

 放たれた収束砲と衝撃波。
 だが、遊星は1人ではない。

 「レイジングハート!」
 「All right.Fulldrive ignition.」


 「行くよ…バルディッシュ。」
 「Yes ser.」


 「デュランダル!」
 「OK Boss.」


 なのはとフェイト、クロノも其れに続くように攻撃に移る。
 特になのははフルドライブを展開してだ。

 「ハイペリオン…スマッシャー!!」

 「プラズマスマッシャー!」

 「ブレイズカノン!」

 シューティング・スターの放った衝撃波と、3人の砲撃が1つになり闇の書の意志の砲撃とぶつかる…その瞬間!



 ――シュゥゥゥゥ…



 突然攻撃は空中で掻き消された。


 「「「「「「「「!!?」」」」」」」」

 「今のは…まさか『攻撃の無力化』か!?」

 何事か分かっていないなのは達とは別に、遊星は今のが何かを即理解していた。
 放った攻撃が時空の渦に飲み込まれて無効になる…此れは間違いなくカウンタートラップカード『攻撃の無力化』の効果だった。

 明らかなカードの効果、其れはつまり其れを操る者がこの場に居ると言う事だ。


 「出て来い!其処に居るんだろうディマク!!」

 暗闇に向かって叫ぶ。
 だが返事はない。

 返事の変わりに現われたのは…


 「ギャギャギャギャギャ…」
 「グゴォォォォォォ…」
 「我亜亜亜亜亜亜亜亜!!」
 「Wryyyyyyyyyyyyyy!!」
 「Shwyaaaaaaaaaaa!!」
 「Gyooooooooooooo!!」


 無数の不気味なモンスター…ダークシンクロモンスターだった。

















  To Be Continued… 

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