小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 謎の存在に操られていた男を倒した遊星達。

 「ヒール・ウェーバーの効果でシグナムのレベル×100ポイントのライフを回復させる。
  紅蓮の将となったシグナムのレベルは7。よって700ポイントのライフを回復。」

 只今カードの効果を使ってなのは達の手当ての真っ最中。(ステラ・エクィテスがこの辺は巧く制御している)
 ついでに破損したデバイスは遊星が速攻で応急処置を施し、最低限は使える状態になっている。
 ヘルメットをとった遊星になのはとフェイトは『図書館のお兄さん!?』と驚いていた。(遊星の方はなのは達の事は直に分かった。)

 「こりゃ凄いね♪」
 「完全じゃないけど傷が治っちゃった…」
 「それに身体もなんか楽になったよ…」

 で、カード効果による治療に又しても驚くなのは達だが、

 「時空管理局だ!武装を解いておとなしくしろ!」

 何とも空気を読まない乱入者が現われたのであった…









  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス9
 『繋がり始めた絆』









 突然の乱入者は、杖の様な物を向けて遊星達に圧力的に迫ってきた。

 「武装を解けと言っている!早くしろ!!」

 だが、勿論遊星達は動じない。

 「悪いが其れは聞けないな。」
 「あたし等がおめーに従う道理はねーからな!!」
 「何より貴様等管理局は信用ならん。」

 同じくなのは達も、

 「そんなこと聞けないの!」
 「貴方達には従わない…!」
 「お呼びじゃないよさっさと帰りな!」

 全く聞く耳無し。
 シグナムとヴィータは過去の経験から管理局の「闇」の一面を知っている。
 なのは達もジュエルシード事件の時の管理局の対応から、『時空航行艦アースラ』のメンバー以外の管理局員は信用していない。
 遊星もまた現れた男の事は信用していない。
 其の高圧的態度が、サテライトの住民を抑圧していたセキュリティの職員を連想させたのだ。

 「貴様等…!抵抗して只で済むと思っているのか!」

 正に『一触即発』。
 だがこの状況は新たな来訪者によって終わりを告げる。

 「其処までだ。」

 現われたのは黒い服に身を包んだ少年。
 少年は遊星達の前に立ち、管理局員に手にした杖を向ける。

 「独立特務部隊『時空航行艦アースラ』所属の執務官、クロノ・ハラオウンだ。」

 所属と名を名乗り、睨み付ける。

 「し、執務官?何故邪魔を…!其れに此れでは本局からの命令に!」
 「特務隊は通常の指揮系統から独立した部隊だ。アースラは高町なのは、フェイト・テスタロッサ及び闇の書への不干渉を決めた。
  同時に、彼女達への無用な攻撃・干渉をさせない為に常時目を光らせている。其れを知って尚やると言うなら相手はするぞ?」

 大凡少年とは思えない迫力。

 「く…」

 其れに気圧される形で、管理局員は転移魔法でその場から消えた。

 「にゃはは、ありがとうクロノ君♪」
 「助かった。ありがとう。」

 「いや、僕の方こそもっと早く来るべきだった。言い訳をするようだが、管理局はとても不安定な状況なんだ。
  母さ…艦長がアースラを『独立特務部隊』としていなかったらと思うとゾッとする。」

 親しげに話すなのは達とクロノと呼ばれた少年だが、クロノはすぐさま遊星達に向き直る。

 「さて、さっきも言ったように僕を含めアースラの人間は君達に無用な干渉はしない。
  だがそれでも、此処で何が起きていたのかは把握しておく必要があるんだ。出来れば話を聞きたんだが…」

 クロノの言う事は尤もである。
 如何に不干渉とは言っても何があったのか位は把握しておかなければならない。

 「其れくらいなら構わn『行くぜ、クリア・マ〜インド!』…すまないメールだ。」

 対応する遊星だが、通信機(自作)がメールの着信を告げる。

 「…はやてからか。」
 「主が?何か有ったのか?」
 「いや、只単に買い物のお願いだ。『帰りにスーパーで鶏肉、にんじん、玉ネギ6人前。あと牛乳2本』だそうだ。今日はシチューだな。」

 送られてきたのは何とも所帯じみた内容のメールであった。

 「悪いが今からは無理だ。日を改めてと言う訳には行かないか?」

 時間は夕刻、今から事情聴取となったら帰りは夜遅く。
 買い物を頼まれた手前、其れはできない。

 「それなら大丈夫だ。此方も今すぐとは行かないし。おって連絡を入れることにする。」

 「連絡先は分かるのか?」

 「艦長が君の修理屋の広告を持っているから大丈夫だろう?」

 「修理屋の?」
 「あ、それ私がリンディさんに渡したのだと思う。」

 シグナムから貰った広告は確りと渡っていたようだ。

 「連絡先が分かるんなら大丈夫か…」
 「あぁ。それから何れ純粋に修理の依頼が入ると思う…」
 「修理の依頼ならいつでも受けるさ。……ん?シグナムは如何した?」

 ふと見るとシグナムが居ない。
 何処に行ったかと言うと…

 「遊星、ヴィータ何をしている!早く買い物をして主の下へ戻るぞ!」

 既に数100m先に居た。

 「…行った方が良さそうだな。」
 「シグナムは真面目すぎっつーか何つーか…じゃあ悪ぃけどあたし等は行くぜ?」

 「あ、うん!助けてくれてありがとう!」
 「気にしなくて良い。又会おう。」
 「じゃ〜な〜。」

 礼を言うなのはに、遊星はそれだけ言ってその場を去る。
 ヴィータも其れに続く。

 「凄い人だね遊星って。」
 「だね。まさか初見のデバイスを最低限使えるレベルまで直すなんてね…」
 「流石はお母さんが凄いと言うだけはある修理屋さんなの…」

 なのはもフェイトもアルフも口々に遊星の感想を漏らす。

 「初見のデバイスを修理って…一体どれだけの技術力と頭脳を持っているんだ彼は…」

 其れを聞いたクロノは若干戦慄を覚えていた。








 ――――――








 ――時の箱庭


 遊星達と分かれたフェイトとアルフはなのはと共に時の箱庭へと帰還していた。
 で、ヒール・ウェーバーの効果では治しきれなかった怪我の手当て中。

 「不思議な力ね。カードから召喚獣を呼び出して戦うなんて。それに怪我の手当ても…」
 「でも1つはっきりしてる。その人は間違いなく私と同じ『ネオ・ドミノシティ』の住人よ。」

 手当てをしながらの会話。

 「何故そう言い切れるのですか?」

 アルフの手当てをしていたリニスは問う。
 あまりにも確信的な沙羅の一言が気になったのだ。

 「答えは簡単。其のカードは私が居た世界で使われていたデュエル・モンスターズって言うカードゲームのカードなの。
  この世界にデュエル・モンスターズは存在して無いでしょ?ならそう考える方が自然で簡単ですもの。」

 リニスの問に答いにあっさりと答える。

 「此れでいいわ。何時も悪いわね…私が出張る事が出来れば良いのだけれど。」
 「気にしないで。お母さん病み上がり何だから無茶はダメだよ?」

 フェイトを気にかけるプレシアだが、逆に無理はダメと釘を刺されてしまった。

 「ふふ、そうね。全快になるまでは貴女達を頼らせてもらうわ。それで他に何か気付いた事はあったかしら?」

 手当てが終わった3人に自然治癒力が高まる魔法を掛けながら問う。(プレシアもリニスも回復魔法は得意ではないので此れが限度)

 「え〜と…バイクが空を飛んでた。」

 「「「は?」」」

 思わぬ答えにプレシア、リニス、沙羅の目が見開かれる。
 沙羅は其のバイクはD・ホイールだろうと考えていたがまさか飛ぶとは思って居なかった。

 「それから高い魔力のドラゴンを使ってたの。確か『スターダスト・ドラゴン』…」

 「スターダスト・ドラゴンですって!?」

 続いてなのはからの情報に沙羅が反応した。
 そうやらスターダストを知っているらしい。

 「知っているのかしら?」
 「知ってるなんてものじゃないわ。スターダスト・ドラゴンは私が居た世界でモーメントの制御に使われていたカードの1枚よ。
  ねぇ、その人の名前は分かる?出来ればフルネームで。」

 普段とは違い、『グワッ』と効果音でも付きそうな勢いの沙羅の態度になのはも困惑する。
 とっさに反応出来ないでいたが、アルフが其の問には答えることになった。

 「遊星。操られてた奴が『不動遊星』って呼んでたよ。」

 「不動…遊星…?間違いないのね…?」

 「あたしの耳は人間の数倍だからね。間違いは無いと思うよ?」

 「沙羅、まさか…」

 沙羅の態度で察したのだろう、プレシアは予想しながらも訊ねる。

 「えぇ…間違いない。その人は…私の息子『不動遊星』よ。無事に生きていてくれたのね…遊星。」

 驚天動地とは正にこのこと。
 なのは達を助けたのは沙羅の息子であるというのだから驚くなと言うのが無理な話だ。

 「プレシア、お願いがあるわ。」
 「みなまで言わなくていいわ。すぐにリンディに連絡を取るわね…『聴取は時の箱庭で』とね。」

 何を言わなくともプレシアは分かっていた。
 直後、アースラのリンディに連絡を取り、聴取は4日後にこの『時の箱庭』で執り行われる事になった。


 生き別れた親子は時と次元を超えて再会する、この日から4日後に…



















  To Be Continued… 

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