小説『詩みたいなもの- like the story』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

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ケイタイデンワの画面を見る
何の変哲もないメール
ただの文字列

カクカクの鋭い文字
定型(テンプレート)化された応答
昨日と同じ焦燥

会ってもないのに話してる
いや話してるのは文字で
ワタシじゃない

カチカチと鳴り響く音
乾いた空気の中で反響
聞き飽きたメロディ
何故か鳴らない

十分経った
返事がない
刹那の時間に感じる何か

ケイタイデンワを握る手は冷たい
少しの温もりも感じない
意味のない妄想を繰り返す

二十分再び鳴る着信音
何故か安心を得る
数秒そんな自分に嫌気が差した

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