小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【番外編 クリスマスプレゼント 4】




「大きくなったな…ナミ」

私の耳を刺激する大好きな声、頭を撫でてくれる大好きな腕、抱きしめられた時に感じる大好きな胸の鼓動と温かさ…

「まさやお兄ち……」

待ち遠しかった…そのすべてに包まれながら私は極度の緊張と恥ずかしさで憧れの人の顔も見られず、名前もうまく呼ぶことができない…
そんな自分の情けなさに私は歯噛みしてしまう。
あれからマサヤお兄ちゃんと離れて、一日だって特訓を休んだことはないし、見た目にもより一層気を使い始めたし、度胸をつけるために海賊狩りの真似事なんかもしたりした…なのに……

「そういうとこは変わんないな…」

和やかに笑っているであろうマサヤお兄ちゃんの顔を未だに見れない私…

「まったく…しょうがないな…」

そう言って、両手でナミの顔を上に向けさせるマサヤ、見つめ合う目と目。

「えっと…マサヤお兄ちゃん。」

「ん?」

「………」

勇気を出して紡ぎ出した大好きな人の名前。
しかし、それより先が続かない…言いたい言葉はたくさんあるのに…
でも、それじゃ、今までの自分と変わらない…だから…

「あ、あの、私、頑張ったんだよ!そ…のマサヤおに……さんに認めてもらえるように…私、マサヤ…のことが……」

切れ切れになりながらも自分の気持ちを真っ直ぐにマサヤへ伝える。

「ナミ………」

言ってしまった…マサヤお兄ちゃんの応えを聞くのが怖い…目を見続けられず下を向いてしまう…

「ありがとう。嬉しいよ…でも、まだ……い。だから、約束通り……お前……待ってるからな?頑張れ……」











「ナミ、起きなさーい!」

「…ま、待ってよ!マサヤお兄ちゃん!…」

「何寝ぼけてんのよ、あんた」

ーコツンー

「え……」

周りを見渡してみると先程までの風景は消え、そこには小さい頃から見慣れている人物と部屋の景色があった。

「あれ?ここは…」

「あんた…っていうか私たちの家でしょ?久しぶりにベッドで寝てると思ったら、こんなに寝ぼけちゃって…ほら、ベルメールさんも呼んでるよ〜」

そう言って、部屋から出ていく姉ーノジコ。

「なんだ…夢だったのか…ってあれ?…」

自分もベッドから出て、ノジコに続こうとしたのだが…あることに気づく。

…昨日、私って海図描いてたよね……

先程、ノジコが言ってたように最近はベッドで寝ることは少なく、海図を書きながら何時の間にか意識がなくなっているような生活が続いている。
昨日もそんな感じだったはずなのだが……

「えっと…確か…昨日は…ってあれ?」

机の上に置かれていたのは記憶にない一枚の地図。
そこに書かれている島の形は私のよく知っているものであり……その隅に書かれている印を見た瞬間

「ごめん!ちょっと用事ができたから出かけてくる」

「ちょっと!ナミ!」

私は家を飛び出していた。








「はぁはぁ……確か……この辺りよね。」

握りしめた地図を開き、確認してみるがその周辺には誰もいな……

「マサヤお兄ちゃ……」

視界の隅で動くものを発見しそちらに近寄ったのだが……

「これ……マサヤお兄ちゃんの服?」

そこに自分の想い人はおらず、彼がよく着ていた服が木に固定され風に揺らめいていた。
私はその木の根元に小さな箱が置かれているのを見つけそれを手に取る。
そして、それを開けると……

「これは…?」

赤い石がついたブレスレットと小さな紙が入っていた。

……なにこれ?……温かい……

ブレスレットに手を通してみると体中が温かくなってくる。
まるでマサヤお兄ちゃんに抱きしめられているようなそんな温もりと懐かしさを感じる。
そして、もうひとつ小さな紙を開いた時……

「ナミー、何してんのよ〜、ベルメールさん怒ってるよ〜」

「え、うん。わかった。」

「どしたの?大丈夫?あんたが素直なんて……」

「うっさいわね。今日のところちゃんと帰るから、フォローしてよね。」

心配そうにこちらを見てくる姉にぶっきらぼうに返事をして、足早に家に踵を返すナミ。

「ちょっと、待ちなさいよ。ったく……ナミ、あんた今日、どうしたのよ」

そう言って、追いかけてくるノジコを気にせず、そのまま走り続けるナミ。
その顔には起きた直後のような疲れた様子は感じられず、嬉しそうな表情が浮かんでいた。

……うん。私、絶対に迎えに行くから待っててね、マサヤお兄ちゃん……

先ほど開いた紙を大事そうに固く握り締めるナミ。
その紙にはブレスレットの説明と『待ってる』という一言、それに会いに来た時に顔に隈やシワが出来てたら追い返すからなという彼らしい気遣いが記されていた。


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