「母ちゃん〜遊びいってくるぜ〜!」
「………孝輔!!今夜は木戸さんが来るから、早めに帰っておいでよ!!」
「分かってるよ!!」
洗濯物を干している母ちゃんに俺はそう言うと、遊びに繰り出した。
「まったく………あの子は………」
後ろから聞こえる母ちゃんの声に、俺は振り返って手を振った。母ちゃんも振り返してくれたから俺は笑顔になりながら町に繰り出した。………………………………………でも、俺は全然気づいてなかった………あんなことが起きるなんて……………全然考えてなかったんだ………………母ちゃん……………
第三話 慟哭
裏町の小さな路地に、以前孝輔にボロカスにやられたチンピラたちが、大きめな袋を持っているリーダーを諫めていた。
「………あ、兄貴………ホントにヤるんですかい………」
「当たり前だろ!!」
「で、ですけど………」
「ウルセェンだよ!!あのガキに地獄を見せてやんだよ!!!」
怒りで冷静な判断力を失っているリーダーの目は血走っている。子分たちはどうすればいいのかわからず、その場でオロオロしていた
「自分の部下に当たるのは止めてほうがいいですよ」
「ッ!?………遅えよ………白田………」
急に声をかけられ振り返ると、そこには不気味な笑顔を浮かべた白田がトランクケースを持って立っていた。
「ご注文の品をお持ちしました」
そう言ってトランクケースを開けると、中には円形のドームの形をした黒いスイッチが2つと、『M』のマークが入ったメモリが3つ入っていた。中を確認したリーダーはその顔に狂気の笑みを浮かべていた。
「ヤッベーッ!!遅くなったら母ちゃんにまた怒られる!!」
遅くまで遊びすぎた俺は、急いで帰るために近道である裏道を走っている。
「急げ!!急げ!!………ん?なんだおめえら!!」
俺は目の前に現れた人影が3つ現れた。………ん?こいらどっかで?
「ガキィ……」
こ、こいつら…………あん時のチンピラ…………全然こりてねぇなぁ………ん?あいつら手になんか持ってんな?
「ヘッヘッヘ………ガキ………ぶっ殺してやるぜぇ!!」
チンピラの一人が叫ぶと、全員が手に持っているナニかのボタンを押すと………………
『マスカレード』
ナニかから声が発生するとチンピラたちは、そのナニかを首に挿すとナニかはチンピラたちの体の中に取り込まれた次の瞬間…………………
「な、なんだよ………それ…………」
俺の目の前には、さっきまでいたチンピラではなく黒いスーツに背骨のような装飾がついた顔の怪物がそこにいた
『見たか!!』
『これが俺たちの手にいれた!!ガイアメモリの力!!』
『ドーパントだ!!』
「ド、ドーパント………?」
困惑している俺に三体のマスカレード・ドーパントが遅いかかってきた!!
「ワリィね貴理子さん………早く来ちゃって………」
「いいのよ木戸さん遠慮しないで」
「………あ、あのさぁ貴理子さん………」
「ん〜、何?」
料理をしている貴理子に額をポリポリかきながら近づいていく雄大
「………そのぉ〜木戸さん………っての………止めない?」
「………え?………あ、そ、その!?………」
「………………今日は………その…………孝に、言うだろ?………だから、その…………読んで欲しいなぁ〜………名前………」
「そ、そうですよね………………ゆ………雄大………さん…………」
雄大の名前を呼んだ貴理子は顔を真っ赤にして、お互い目を反らしていたが、ふと相手のほうを見ると視線がぶつかり、恥ずかしくてお互い笑いあっていると、玄関がガラッと開く音が聞こえた。
「ッ!!…………あ〜………孝………帰ってきたみたいだ」
「そ、そうみたいですね!!」
「じゃあ、俺が出迎えるよ!」
そう言って玄関に向かう雄大、料理の続きをする貴理子は雄大の声を聞いていた。
「孝!!おかえ………」
ドスンッ!!
人を殴る音を聞いた貴理子は急いで玄関に向かった。
「雄大さんどうしたんですか!!…………あ、あなたは!!」
「よお………!!」
貴理子の目の前にいたの以前、孝輔にのされたチンピラのリーダーだった……………その手に黒いスイッチを手にして………………………………………………
「でらりゃあぁぁあぁぁぁ!!」
俺は路地に落ちていた木材を目の前にいる黒いスーツの怪物、マスカレード・ドーパントの頭に向かって振り下ろした。
『ムグッ!!』
俺の一撃が一体のマスカレードに当たると、体勢を崩すと懐から何かが落ちた。だが、マスカレードはすぐに体勢を戻すと俺にパンチを繰り出してきた
「ッ!!クソッ!!」
持っていた木材でガードし、その衝撃を利用して後ろに距離を取った。
「………ハァ………ハァ………ハッ!!………怪物になったとしても、元が弱ければ意味ねぇな!!」
俺は相手を馬鹿にするようなことを言うけど………それは強がりで今にも倒れそうになっていて、木材を杖にして立っている状態だ。
『なんだと!!この……』
『オイ!!もういい!!時間だ!!』
すると三人は元の姿に戻ると走り去っていった。
「クソッ!!何なんだよアイツら!!…………何だコリャ?」
俺は目の前に落ちている黒いスイッチを手にとった。
「……ホント…何だこれ?…………てッ!!やべ!!急がなきゃ!!」
俺はスイッチを懐に入れるとボロボロの体に鞭うって、家に走り出した。
「や、やっと………着いた………」
俺は息を整えてから家に入るとオッチャンの靴があった。もうオッチャンきてんのか…………でも、静かすぎねぇか?
「た、ただいま………」
だけど、俺が声を出しても母ちゃんもオッチャンも返事はしない。いつもなら返事を返してくれるのに………………
俺は嫌な胸騒ぎがして、急いで部屋に駆け込んだ。
「母ちゃん!!オッチャン!!!居るんだったら返事………ぐら…………い………」
扉を開けた俺の目の前には…………部屋中血塗れになった部屋の中に、バラバラになった二人がいた……………まるで強い力で引きちぎられたような傷口だ………………………
「う……あ……あぁ…………………………うあぁあああぁあアアァアアアぁああぁアアァアアアぁああぁアアァアアアぁああぁアア……………………………………………………………………………………………………………………………………」
血塗れの部屋に俺の叫びが木霊した…………………
運命に翻弄される孝輔………悲しみにくれるのか………それとも……………
次回 星の運命
運命は変えられなくても………どう生きるかは自分で決められる………