「お、覚えてやがれ!!」
伸びてるリーダーを抱えながら、三下にありがちな捨て台詞をはいて逃げてくチンピラたちのどうに入ったその姿には尊敬するなぁ〜…………まあ、なりたいとは思わないけどね…………
「また強くなったんじゃねえか孝!!」
「ゲッ!!木戸のオッチャン!!な、なんでここに!!………てか今のもしかせずとも見た?」
「バッチリとな!!」
俺の目の前にいるオッチャンは近所の木戸雄大………親父のいない俺の父親代わりみたいなもんだ………て、そうじゃなくて!!
「オッチャン!!母ちゃんには!」
「黙っててもいいけどよ………」
オッチャンの言葉を聞いて安心しようとした次の瞬間俺は地獄に逝くことになった
「孝輔………アンタ何やってんの………」
聞き覚えのある声を聞いた俺は振り返るとそこには…………
「か、母ちゃん…………」
拳骨を振り上げている母という名の鬼がいた…………そして……………
ゴツン!!
「イテェえぇえぇええぇぇ………」
拳骨の音と俺の悲鳴が夕暮れ時の裏町に轟いた
第二話 暗躍する純白
裏町の小さな路地に五人の人影があった。うち四人は先程孝輔にボロカスにやられたチンピラ、もう一人は白い服を着た青年だ。
「……………で、その子供に復讐がしたいと」
「ああ、そうだ!!金ならいくらでも払う!!アンタが売ってる”アレ“を売ってくれ!!」
「まあ、いいでしょう………では一週間後にまた……」
「ああ…………そういやアンタの名前を聞いてなかったな」
「白田です」
白田と答えた青年は不気味な笑顔を浮かべながら路地の闇に消えていった………………
「全くこの馬鹿息子は!!!」
頭にデカイたんこぶを作った俺は、母ちゃんに抱えられ家まで強制送還されると、母ちゃんから説教を受けていた。心配してオッチャンも付いてきてくれた。
「まあまあ、貴理子さんそんなに………」
「急所を狙う時はえぐり込むように殴れって言ってるでしょ!!」
「ご、ごめん………母ちゃん」
「怒るとこそこ!!」
俺と母ちゃんのやり取りに突っ込むオッチャン………………てか、なんで突っ込むんだろ?母ちゃんも不思議そうな顔してるし……………なんでだろ?
「二人して不思議そうな顔すんなよ」
そう言って溜め息をつくと立ち上がり「じゃ、帰るは」といって玄関に向かった。
「そうだ………最近、人さらいがでたやら怪物を見たって事件が多いからよ………貴理子さんを………母ちゃんをちゃんと守ってやれよ!!」
俺に言うとオッチャンは家を出ていった。
「さてと孝輔ご飯にするから風呂はいっといで」
「う〜す」
俺はそのまま風呂場に向かった
チャポーン!
「ふう〜極楽、極楽!!」
俺は手拭いを頭の上にのせると窓から星空を眺めた。頭の中ではさっきのオッチャンの言葉を思い出しながら
『母ちゃんをちゃんと守ってやれよ』
「オッチャンに言われなくても分かってるよ」
今までたった一人で俺を守ってくれた母ちゃん………………今度は俺が…………
そして俺はそのまま湯船に潜った………
息子を守る母親………母親を守りたい息子………お互いを思いやる親子の純粋なその思いに…………暗い影が忍び寄る…………
次回 慟哭
運命は何故こうも残酷なのか………