小説『IS インフィニット・ストラトス 〜超常の力を持つ者たち〜』
作者:黒翼()

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Episode0『転生』



Side〜???〜

「ここは……どこだ……?」

俺は、気づいたら真っ白な空間にいた。
辺りは何も無い、ただ白が続く、無限の空間が広がっていた。

「ってか、何でこんなところにいるんだ?」

……俺は、ここに来る前、何をしていたんだ?
駄目だ……思い出せない……。

「教えてやろうか?」

「っ!」

突如、背後から声をかけられた。
さっきまで誰もいなかったのに、いつの間に!?

「そう警戒するなって。 俺はお前の敵じゃねえ」

「……それを信じる根拠が無い」

俺の目の前にいる男は、只者ではない。
この男は、間違いなく化物だ。
この男が放つ雰囲気が、そう物語っている。
何なんだよ……こいつも、この場所も……。

「根拠って言われてもなぁ……」

考える仕草をする男を見ていて、俺は気づいた。
この男に、この男の顔に見覚えがあることに。

「お前、グリムジョーじゃねえか!」

そう、この男の顔は、BLEACHのグリムジョー・ジャガージャックにそっくりだった。
焦っていて、パニクっていて、気づかなかった。

「今更だな。 知ってる奴なら普通に最初に気づくだろ?」

呆れた様に言うグリムジョーに、俺はイラッと来た。
何か無性にムカついた。
ってか、グリムジョーに似ているだけでその反応は、本物に失礼だ。

「失礼も何も、俺は神だから許される」

「神? ってか、俺は声を出していないぞ」

「神に読心術はデフォルトだ。 ってか、脱線しすぎだ」

何の話をしていたんだっけ?

「お前がここにいる訳を話そうとしてたのに、お前が俺を警戒するから脱線したんだよ。 それくらい覚えとけ」

「で、自称神。 さっさと話せ」

「自称じゃねえよ。 ……まあいい。 お前がここにいるのは、死んだからだ」

「死んだ? 俺が?」

何が理由で死んだ?
クソッ、何も思い出せない……。

「他に誰がいるんだよ。 お前はトラックと衝突して死んだ」

「じゃあ、俺はどうしてここにいる? 死んだ奴は全員ここに来るのか?」

「いいや、普通に死んだ奴は魂だけになり、そして輪廻転生の輪に流される」

俺には肉体がある。
ちゃんと五感もある。

「ならばなぜ俺に肉体がある? これが魂の形だとは言わんよな?」

「お前が死ぬことがイレギュラーだったからだ。 お前はトラックに衝突する直前、一人の子供を助けている。 本来、その子供が、そのトラックに撥ねられて死ぬことになっていた。 そして、お前が死ぬことは無かった。 それは、こちらの不手際だ。 こちらの不手際で死んだ者は、不手際を起こした上司がこうして対面して、後々の話をすることになっている」

「と言うわけは、俺はお前の部下の不手際で死んだのか?」

「ああ。 そうだと言ってるじゃねえか」

「で、その俺の死の原因であるお前が、どうしてそんな偉そうにしてんだよ! 不手際で殺したのなら、普通謝るなり何なり、何かするもんだろうが! 巫山戯てんのか!? ああ、巫山戯てんだよな!?」

「そんな怒るなって」

「怒らねえわけねえだろ! お前が謝ってりゃあ俺だって怒んねえよ! だけどテメェは謝りもせず! 上から目線で偉そうにしやがって! それが悪いことをした奴の態度か!? ああ!?」

最初から謝ってれば、俺だって素直に受け入れたさ。
だけどな、俺を殺した元凶の上司がこんな奴だったら、優しいことに定評があった俺でもキレるぞ!

「いやぁ、悪い悪い。 あいつには後できつく言っておくからさ、機嫌直せって」

「だから言ってんだろ!? 部下の不手際の尻拭いをするのが上司の仕事だろうが! 何で偉そうなんだよ!」

こいつ、こんなのでよく上司をしていれるな。
俺がこいつの上司だったら、間違いなく即行でクビにするな。
ってか、こいつの上司、即こいつをクビにしろ。

「それは叶わん願いだな。 この空間は、俺以外の干渉を受け付けない特殊な物だ。 誰であろうと、気づくことは無い」

「チッ。 ……ん?」

なんか、身体が軽くなった気が……。
しかも何か力が漲って来る……。
……何か、殺れそうな気がする……!

「お、おい……その波動……何でお前が……!」

「何か知らないけど、お前をぶっ飛ばせと告げられている気がする。 だからまあ、抵抗せずにぶっ飛びやがれ!」

俺は対人経験が豊富だ。
これでも、合気道、サバット、テコンドーなどなど、好奇心と趣味で、俺は様々な武術をやってきた。
全国大会に出場した奴も、いくつかある。
おかげで、思いっきりこいつをぶん殴れる!

「ゲフッ!」

自分でもビックリするほどの速度で動けたので、おかげで奴に改心の一撃を放てた。
誰か知らんが、力を貸してくれた人、ありがとう。
おかげですっきりした。

「どうしてお前がゼウス様の……」

「知らんが、お前を殴れと言われた気がしてな。 多分、気づかれているんだろうさ」

「くっ……!」

お、また力が漲ってきた。
神よ、こいつを矯正しろと言っているのか?
あ、また増えた。
……これは、肯定と受け取っていいんだよな?
あ、また増えた。

「お、おい? 何だ、その笑みは?」

「いやぁ、この力を貸してくれる何かから、お前を矯正しろと言われている気がしてな。 だからまあ、大人しく矯正されろ」

「や、やめ……ギャァアアアアアアアア!!!」




 ☆




「ふぅ……いい仕事をした……」

俺の目の前には、ボロボロな姿で正座をするグリムジョー似の駄神。

「さて、矯正も終わったところで、本題に入ってくれ」

「畏まりました」

矯正の結果、この駄神はこうなった。
うん、これならいいよな。
だけど、グリムジョーが正座して敬語って、滅茶苦茶違和感あるな。

「貴方様には、転生していただきます」

「輪廻転生とはどう違うんだ?」

「貴方様には、力を与えて別の世界で生きていただきます。 あ、拒否していただいても構いません」

「拒否した場合、俺はどうなるんだ?」

「輪廻転生の輪に流れていただくことになります。 この場合は、記憶も何もかもがリセットされます」

つまり、その場合は俺という存在が消えるのか。

「そうなります」

「じゃあ、転生するわ。 力っていうのが気になるし」

そう言えば、これってテンプレ転生じゃね?

「そうですよ」

マジでこんなのあったんだ。

「というわけで、欲しい力を言ってください。 いくつでもいいですよ」

「んー……じゃあ、身体能力と記憶能力だったり処理能力を常人離れしたものにしてくれ」

「欲が無いですね」

「いや、欲しいっちゃ欲しいけど、使えん世界に行ったら無駄になるし。 それに、身体があれば、何とかなるし。 あっ、後、とあるの『七天七刀』みたいな刀が欲しいな」

好きなんだよな、七天七刀。
『七閃』とか『唯閃』とか、というより、禁書目録が好きなんだよな。

「わかりました。 では、その能力を与えて転生させましょう」

「どうも。 あ、そういえば、どんな世界に転生するんだ?」

「それはアトランダムです」

「ふぅん。 じゃあ、さっさと転生させてくれ」

「転生させる前に、注意事項です」

ああ、そういうのはあるよな。

「性別は変わりません。 今の名前は捨てていただくことになると思います。 そして、転生は赤ちゃんからのスタートです」

「何ぃ!?」

羞恥プレイを受けろと!?

「それは我慢してください。 転生者全員が同じ道を通りますので」

高校生にもなって、赤ちゃんプレイだと!?
……主に精神的に死にそうな気がする。

「では、新たな人生をお楽しみください」

「あ、ちょ、まっ!」

俺の足下に穴が開き、俺は落ちていった。
次会ったら絶対殴ってやる!


Side〜???〜out


Side〜ゼウス〜

欲の無い奴じゃのう。
よし、あの馬鹿を矯正してくれた礼じゃ。
勝手に力を足させてもらうぞ。
何々……?
あ奴はいろいろ好きなようじゃのう。
これとこれ……これとかもよさそうじゃのぅ、後は………………。
……これだけ足しておけば大丈夫じゃろう。
これだけあれば、どんな世界でも対処できるであろう。


Side〜ゼウス〜out



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