大変お待たせいたしまして、すみません。
今年に入って、永らく眠っていたゲーマー魂に火がついてしまって、ゲームをずっとやってました。
『Fate』の新作も出て、まだ終わっていないものもあるので、以前更新は遅いままでしょうが、出来るだけ速く更新できるように頑張ります。
Episode25『リボーンからの贈り物』
「へえ、リボーンさんも来ていたのか」
「ああ。 父さんがオレに話があるからって来たんだけど、用件があったのはリボーンさんの方だった。 まあ、結局は父さんにも関係のある話だったんだけどね」
終焉たちが池袋から帰ってきたら、綱吉やリボーンとの会談を終えた吉宗が、終焉を呼び出し、終焉と吉宗は今、終焉の部屋で、二人だけで話していた。
「てことは、ボンゴレの話か」
「そう」
話題は、今日の会談で挙がった話だ。
吉宗は、そのときに渡されたものを中心に、話をしようとしている。
「で、何を渡されたんだ?」
終焉は、ボンゴレ関係の話としか聞いていないが、吉宗が何かを渡されたのは、吉宗から放たれる、本来吉宗が持たない力の波動で感じ取ったのだ。
「……これだ」
吉宗が懐から取り出したのは、今日リボーンに渡されたものと同じものだ。
それは、綺麗な箱だった。
それこそが、リボーンが今日やってきた理由であり、吉宗に託したものだ。
今回のリボーンの来訪の原因が、その箱に入っている。
「……なんだ、それは? ボンゴレリング以上の力を感じる……。 リボーンさんは、何を持って来た?」
「………………」
吉宗は、黙ってその箱を開けた。
「っ、それは……!」
終焉は、その箱の中身を見て、目を見開いた。
箱に入っていたものとは、黒を貴重にしたリングと、白を貴重にしたリングであった。
「これが、ボンゴレファミリーに伝わる、ボンゴレファミリー秘奥中の秘奥。 真の第八、第九の炎の原点。 トゥリニセッテにもない、存在しないはずの炎。 初代の守護者以降、誰一人として所有することの出来なかったといわれ、マフィア史上最高の呪いでもある、『光』と『闇』のリングだ」
「これが噂に聞く、『光』と『闇』のリング……実在したのか……!」
今や眉唾物の、伝説のようなものとなっているこの二つのリング。
聞いたことはあるが、見たことがない、実在するのかすらわからない、闇の底に紛れた噂。
それこそが、この二つのリング―――『光』と『闇』のリングなのだ。
「オレも、今日実物を見るまで、失われた過去の遺産だと思っていた。 けど、これは紛れもなく、本物だ。 オレでもわかるほどに強力な力は、リングから発せられる力の波動は、トゥリニセッテ以上だ」
マフィアに伝わる死ぬ気の炎は、下手をすれば、未だ発展途上とはいえ現在最強の機動兵器されているISを凌駕する威力を秘めている。
中でも、トゥリニセッテと呼ばれる、七つ一纏まりとした三種類の秘宝―――綱吉たちボンゴレファミリーに伝わる『ボンゴレリング』、今はなくなっているが、呪われた赤ん坊アルコバレーノと呼ばれる最強の七人が人柱となっていた、『おしゃぶり』、ジッリョネロファミリーというグループに伝わる『マーレリング』―――の力は、一際強力だ。
かつて、ジッリョネロファミリーと統合し、ミルフィオーレファミリーとなって、ジッリョネロファミリーのマーレリングを所有していた、白蘭が究極権力の鍵として狙い、事実、あらゆるパラレルワールドを支配していた。
なぜトゥリニセッテがそれほどの力を持つのかというと、世界創造の礎の原石から創られたといわれているからだ。
だからこそ、持つべき者が持てば、ISをも倒しかねないのだ。
それほどの力を持つトゥリニセッテをも上回る力を持つのが、この二つのリング『光』と『闇』だ。
この二つの属性は、他のトゥリニセッテ―――つまりは『おしゃぶり』と『マーレリング』―――には存在しない。
そして、『光』と『闇』のボンゴレリングは、世界創造の礎の原石から創られたトゥリニセッテの残り粕を集めて創られた、とも言われている。
その力は、未だ謎に包まれているが、間違いなく、悪用されればIS以上に危険な代物だ。
「……それは、俺も感じている。 ただ存在するだけで、これほどの力を感じさせるものは、俺の『聖天絶刀』レベルだ」
終焉の持つ『聖天絶刀』は、折原臨也が強大すぎる力を持った息子のために、終焉が持つに相応しい武器を造るために、全情報網を総動員して、ありとあらゆる強固な金属を探し、最高の鍛冶屋に打たせたものだ。
もっとも、打ったのではなく、変形させたのだが。
それはともかく、『聖天絶刀』の素材として使われた金属は、世界最高クラスの硬度と強度、そして特性を持っている。
その名は、『漆黒色金』。
『色金』と言われる、人の心と繋がる金属の一種だ。
この『漆黒色金』は、で造られた『聖天絶刀』は、折原終焉が持って、初めて最強の刀として、存在するのだ。
「……リボーンさんがそんな危険物をわざわざ持ってきたということは―――」
『光』と『闇』のリングという、超級の危険物を、世界最高の殺し屋がわざわざ持ってきた。
それが意味することは―――
「終焉の想像通り、『光』と『闇』、二つのリングの守護者が現れた」
「やっぱりか……」
―――それを持つべき者が、長き年月を経て、再びこの世に生まれた、そういうことだ。
「……で、その守護者は誰なんだ?」
諦めたような、疲れたような、そんな声で、終焉は尋ねた。
「『闇』はお前だよ、終焉」
「だろうな……そんな曰く付の物を扱えるのは、俺くらいのものだろうし、概ね予想通りなんだが、『光』は誰だ? はっきり言って、俺なら『光』も扱えると思うんだが?」
終焉が思いもせず手に入れた能力に、『リング召喚』というものがある。
物は試しということで、大空の七属性と大地の七属性、計十四属性の内、どの波動があるかということで、十四属性のリングを召喚し、炎を燈してみたのだ。
結果、十四属性全ての波動を持つことが判明した。
それ故に、全ての属性の波動を持っていると、判断できるのだ。
「確かに、終焉も使えないことはないみたいだ。 でもそれ以上に、『光』の波動を持つのが、明久さんなんだ」
「明久だと!?」
その答えに、終焉は驚いた。
だが、同時に納得はしていた。
「……『光のリング』を持つ者は、光を操る者こそが相応しい、ということか」
明久の能力は、光を操る『閃光帝』。
『光』を操るからこそ、『光』のリングを持つに相応しい。
故に吉井明久という存在は、この世界の誰よりも、『光』という属性に恵まれ、愛されている存在であるといえよう。
「多分、そういうこと。 光の波動を持つのは、終焉と明久さんの二人だけ。 この二人の中で、光のリングは明久さんを選んだ」
「……まあ、明久ならば仕方がない、か……」
明久の性格、性質、人格を知っているからこそ、認められる。
だが、大切な妹の思い人だからこそ、持たせたくはないし、必要以上に関わらせたくない。
だから、複雑な心境なのだ。
「終焉。 俺としては、明久さんにこのリングを持ってほしい。 他の誰かに任せるよりも、明久さんのほうが安心できる。 それに、光の波動を持っているけど、多分もう光のボンゴレリングは嵌めることはできないって、リボーンさんは言っていた」
「……それは、光のリングが明久を選んだから、か?」
「そう。 確証はないけど、過去の文献では、光と闇のリングを無理矢理嵌めた人間は、最悪死んだらしい」
「大空のボンゴレリングに拒絶されるのと、同じようなことが起こったのか」
「らしいよ。 けど、その拒絶力は、大空のリング以上っぽいぞ。 だって、大空のボンゴレリングに拒絶されたXANXUSさんは生きてるけど、光と闇のリングに拒絶された人の九割が、死んだみたいだからな」
「そうか……両方、俺が担いたかったな……」
危険なものだからこそ、明久には担わせたくはなかったと、心の底から思う終焉。
だが、これは流石の終焉もどうしようもない。
だからこそ、仕方なく、認めるしかないのだ。
「……吉宗、その『闇』のリング、俺が貰っておく」
「ああ、わかった。 元より、そのつもりだったからな」
「……明久に話すタイミングは、お前に任せる。 俺は……少し一人になりたい」
終焉はそういうと、テレポートを使って部屋から消えた。
「……やっぱり、終焉は優しいな……」
終焉を前世から知る吉宗は、前世と変わらない部分を見て、懐かしく思った。