小説『ひぐらしのなく頃にin北条悟史』
作者:厨二万歳!()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第六話 共通ルート6


Side園崎 詩音

後日、興宮のグランドに来た私は悟史くんの姿を探していた。
監視も警戒しているので、服は姉の魅音のものだけど。

(え〜と、悟史くんは…)

「野球に興味がおありで?」

「ひゃぁ!?」

「どーでしょ〜う? ぜひうちのマネージャーになって頂けませんか〜?」

「ま、マネージャー?」

肩を叩かれて、監視に捕まったのかと思った。
けど、どうやら只の野球チームの監督らしい。

「そう! マネージャー!!
選手を支え癒す! その姿は私の愛するメイドと通じる!
まさに、現代のメイド!」

前言撤回。
かなり変わっている監督だった。
寧ろこの人は通報した方が世の為なのでは?

「そしてゆくゆくは我が家のメイドさんにー!
はう〜!メ・イ・ド、お持ち帰り〜〜〜!!」

「何言ってんだアンタは」

「アベシッ!」

その人が私の手を掴んだ瞬間、横から現れたハリセンによって弾かれていった。
…結構速度出てたけど大丈夫なのかな?
取り敢えず助けてくれたらしいハリセンの持ち主の方を向くと…探していた悟史くんがいた。

「あ、悟史くん」

「本当に来たんだ…というか、魅音の振りは良いの?」

「ええ。まぁ、そこの変質者が起きるまでですけど」

「あぁ、ゴメンね。うちの"バ監督"が粗相をしたみたいで」

バ監督…あぁ、バカ、かんとくで"カ"と"か"を一致させて"バカんとく"ですか。

「いえ…それより、あれ大丈夫なんですか?」

「さあ? まぁあと5、6分は寝てると思うけど
……いっそ永眠させたほうが世のためかな?」

悟史くん、コッソリ言ったつもりでしょうけど聞こえてますから。
まぁ、私も似たようなことを思ったので余計なことは言いませんけど。

「さて、それじゃぁ改めて自己紹介が必要かな?僕は北条悟史」

「あ、はい。私は園崎詩音。園崎魅音の双子の妹です」

「そっか、よろしくね。…"泣き虫"詩音」

「っだから、あれは泣き真似って説明したじゃないですか!」

「でも実際泣いてたよね?」

「このぉ」

「アハハ。ま、弄るのはこのくらいにして上げるよ」

「悟史くんって、絶対、性格Sですよね」

「まぁね」

理解してる分さらにタチ悪いですよ。
…言ったらまた弄られそうな気がするから言いませんけど。

その後は悟史くんに皆の前では魅音として接して欲しいことを伝え、
本当に5分で起きた監督と一緒に悟史くんの練習する姿を観戦した。

(そう言えば、あのハリセンってどこから出したんだろ…っていうかさっきどこに片付けたの?)

ちょっと辺りを見回したけど、ある長モノはバットくらいだった。

……


Side北条悟史

詩音は弄ると楽しいという事が分かった。
何故かと言うと、ここ最近練習を見に魅音のふりした詩音が来るからだ。
おかげで段々学校の魅音と魅音のふりをしている詩音の違いが感覚で分かりかけてきて、益々弄りがいが…。

「悟史く〜ん? また何か企んでませんか?」

「へ? 企んでないよ?」

「本当ですか?」

「うん。只、魅音も詩音も弄りがいあるな〜って思ってただけで」

「…はぁ。そんな事、悟史くんくらいしか思いませんよ」

「そう?」

まぁ確かに魅音や詩音っていつも弄る側だもんなぁ。
あ、でも圭一とか分かってくれそうな気がする。
雛見沢は同年代の男子は少ないし、楽しみだなぁ〜。

「なんでしょう…今何か不吉な予感がしました」

「気のせいじゃない?」

「いえ、こんな明確な感覚久しぶりですよ。
なんというか…その内私とお姉と誰かが酷い目に逢う様な」

ひどい目なんて失礼だなぁ。
というか、誰って誰?

「う〜ん、ちょっとわかりませんね」

「ふ〜ん。ま、いいや。
ところで、詩音」

僕は隣に座っている詩音の方を向いて言いたいことを言った。

「はい?」

「僕の話し相手をしてくれるのは嬉しいけど、ちゃんと働かないとダメだと思うんだ」

今いる場所はエンジェルモート。
監督の奢りで来たこの場所は、詩音のバイト先だったりする。
そして、詩音が現在着ているのはエンジェルモートの制服なわけで。
可愛いんだけど…正直言うと、ちょっと近い。

「え〜、別に良いじゃないですか。ほら、これもサービスですよ」

「僕は頼んでない上にこんな接客サービスが許されるような店じゃないと思うんだけど」

僕達の座っている席は端の方で、人は少ない。
いたとしても皆ウェイトレスの方を見てるから目立たない。
なので詩音は魅音のフリをしてないし、素で接してくれる。

(…うん? 人が少ない、目立たない。
これは――シオンを弄るチャンスじゃないか?)

そう考えた僕は目の前のパフェに刺さっているスプーンを手に取り直した。

「ねぇ、詩音」

「はい?」

「はい、アーン」

僕はパフェを掬ったスプーンを詩音の口にねじ込んだ。

「んぅっ!?
――な、何するんですかイキナリ!」

「美味しかった?」

「えぇ…ってそうじゃなくて!」

「あはは、詩音、顔赤いよ?」

「誰のせいですかッもぉーー!!」

僕たちの様子を近くのウェイトレスの人たちや、席の皆が興味深そうに見ていた。
中にはクスクス笑っている子もいた。

皆と一緒にこうやって笑い合って過ごす。
とても…とても楽しくて、大事な時間だ。

(こんな時間が続くように、頑張らないとね)

「ん?悟史くん、どうかしたんですか?」

「ん〜、楽しいなぁって思ってね。あ、詩音、左の頬にクリーム付いてるよ」

「え!?」

驚いて左手で頬に触れる詩音。
だけど、そっちには何もついてない。

「残念、左頬じゃなくて僕から見て左だよ」

そう言って右頬についてたクリームを指で取って舐める。
うん。甘い。

「な、な、な」

「ん?」

「何してるんですかーー!!!」

「何って、クリーム取っただけだけど」

「そうじゃなくて…もぉ!悟史くん、わかって言ってるでしょ!?」

「???」

「こんな時だけ鈍感って…もう、悟史くんは」

何故か呆れられたっぽい。
けど、まぁその表情も見ていて楽しいからOK!」

「さ、と、し、く〜ん?」

「へ?…あ、声出てた?」

「あまり私で遊ばないでください!!」

「それ無理」

「あ〜〜〜、もぉぉおおーー!!!」

その後も暫く詩音を弄り続けた。
楽しみすぎてお土産を忘れてしまい、沙都子や梨花ちゃんに弁明するのが大変だった事だけ記しておこう。

Sideend

-7-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える