「ちなみに、私が、町中にあの制服配ったんだよ! いい仕事したって褒めろぃ! 心音ちゃん、悠くん!」
気がつくと彼方が後ろに立っていた。
「彼方! そうか、ありがとな!」
「彼方……ありがと」
「あはは、悠くんにありがとって言われるのも照れるんだけど、心音ちゃんからいわれるともっと照れるなぁ。なんかこう……希少価値的な意味で」
そしてさらに恭介と友香。
「恭介、友香っ! 」
「俺のヴィンテージは役に立っただろ! 」
「いや、お兄ちゃん、元を言えばうちらが3人を巻き込んだんだけどね、……本当にありがとう!」
角度でいえばほぼ180度の状態の礼をされた。
それはもうストレッチだな。
「それにしても……綺麗な花火だ」
「へぇ……お兄ちゃんって花火とかでも感動するんだ」
「俺はなんでも感動するぞ、なんでだ?」
「いやぁ、前見たときは何もいってなかったから」
「そうなのか……、じゃあこれはこれで本当に良かったのかもな」
「ん?」
「なんでもないぞ」
花火の振動が心に伝わって中で強く響く。
もっと感じたい。
「心音」
「ん?」
「手を出して」
「ん、うん、はい」
よし、もっともっと近づくぞ。
今までなんかよりももっとだっ!
「わ、わ、なに!? ゆ、悠! 急に走り出して!」
「もっと近づくんだ!」
「え、え、あ、うんっ!」
俺たちは二人で寄り添って花火を見た。
花火は、本当に綺麗だった。今までみた中でもダントツに。
しばらくして心音はうとうとし始めて、最終的にはあぐらを掻いた俺の腿に頭を乗せてぐーすか眠ってしまった。
こういうことをいうのだろうか。幸せって。
俺はもう一人じゃない。支えあうパートナーが出来たんだ。