小説『鏡の中の僕に、花束を・・・』
作者:mz(mz箱)

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「あぁ、なんかすごい仕事やる気が出てきた。」
母親は大きく伸びをした。
「現金ね。それじゃ、今まで全然やる気なかったみたいじゃない。」
「当然よ。悶々とした気持ちで仕事なんか出来る訳ないじゃない。」
「患者さんが聞いたら怒るわよ。」
「そうね、今のは無しにして。」
母親は笑った。山下も笑った。もうすぐ夜があける。ナースコールはきっと鳴らないだろう。穏やかなまま、仕事を終えるに違いない。

太陽が廊下を照らす。さっきまでの薄暗い廊下が嘘のように思えた。

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