小説『鏡の中の僕に、花束を・・・』
作者:mz(mz箱)

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昨晩の事が嘘のようだ。外にも僕が映るものはたくさんある。なのに、何も起きない。実に平和だ。
「映ってるよな?」
思わずショーウィンドウに自分の姿を映して見た。手をつき触ってみた。変わらない。何も変わらない。いつもと何ら変わらない。
「大丈夫になったのか?」
何度も、何度も撫でてみた。気がつくと、何人かの通行人が僕を見て笑っている。慌てて、その場を走り去った。
走りながら、僕は笑った。あいつはいなくなった。そうとしか思えない。だからだ。
「やったぁ!」
声が出た。それを聞き、また笑われた。けど、もうどうでも良くなった。奴がいなくなったと言う実感が全てを許せたのだろう。

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