小説『鏡の中の僕に、花束を・・・』
作者:mz(mz箱)

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「ごめんなさい。車の免許も持ってなくて。ごめんなさい。」
「いいよ。こっちこそ、ごめんね。急に電話しちゃって。」
すぐに電話を切るなんて出来なかった。そこから、たわいもない話をいつまでもしていた。

「ごめんね。」
彼女が言った。僕も似たような感じだった。少しタイミングが違えば、この“ごめんね”は僕が言っていたかも知れない。
彼女の携帯のバッテリーが切れそうだと、警告音が鳴っていたのだ。
「しかたないよ。僕のもそろそろヤバそうだし。」
「じゃ、明日ね。」
正しくは数時間後だ。その数時間すら待ちきれないと僕は感じた。
「うん、明日。」
ごく普通に電話を切ろうとした。

「愛してる。」

「えっ?」
彼女の声がした。僕には意味がわからない。そして、さらに意味がわからない事を言われた。
「私も。」

電話を切ってから、しばらくの間悩んでいた。

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