小説『鏡の中の僕に、花束を・・・』
作者:mz(mz箱)

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ついに来た。休みだ。待ちに待った休みだ。
昨日は全然眠れなかった。なのに、今朝はいつもより早く目が覚めてしまった。こんな風になったのは、幼稚園の遠足の時以来だ。
カーテンを勢い良く開けた。太陽が眩しすぎる。空には雲一つなく、絶好のデート日和だ。
「よしっ。」
ガラにもなく、ガッツポーズをした。

服は昨日から準備しておいた。それをクローゼットから取り出し、急いで着た。薄いヒゲも、念入りに剃った。少し赤くなったが、変に剃り残しがあるよりいいだろう。そう思う事にした。
「今日はずいぶんと粧し込んでいるわね。」
朝食の時に母親に言われた。けど、無視しておいた。何を言っても、ニヤニヤされるに決まっている。なら、ほっておいた方がいい。デート前に変な緊張はしたくない。
「・・・。」
「あらあら。そんなに鼻息荒いと彼女に嫌われるわよ。」
結局、何も言わなかったのに笑われてしまった。

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