小説『黒子のバスケ 十二国記パロディ』
作者:kumap()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

漆黒の闇だった。
一人の少年はその中に立ちすくんでいた。
何処からか水の滴る音が洞窟を連想させる。
少年――火神は闇のずっと先を見ていた。
赤い光と無数の影が此方に近づいてくる。
(あれが来たら殺される)
本能がそう言っていた、逃げなければと思っていても体が動かない。
光と影が近づいてきた。

「・・・っ!」
眼を開けると見慣れた天井。
「・・・またあの夢。」
あの夢は一か月ほど前から立て続けに見ている。
最初は暗闇だけでこちらに何か危険なものが来るとわかっていた・・・。
という夢で影と光が出てきたのはつい2、3日前。
時間を見るとまだ起きる時間より早かった。
(走ってくるか・・・。)

ランニングから帰ってくると母親が朝食の準備をしていた。
「あら、最近ずいぶんと早起きなのね。まだご飯の仕度かかりそうだからシャワー浴びといで。」
「おー・・・。」
生返事してシャワーを浴びに行く。

シャワーを浴びている時、鏡に視線をやる。
「・・・?」
髪に赤みがかかっているような気がする。
よく見ると瞳も紅くなっているような・・・。
(気のせいだろ・・・。)
最近変な夢ばっかり見てるから・・・。

タオルで頭を拭きながらリビングにいく。
ふとテレビに目をやると。
『――とのことでまだこの事件の原因はわかっていません。
次のニュースです―――』
画面には【神隠しか?誘拐か?××町行方不明事件】と題名が大きく書いてあった。

この事件は10年前に起きた事件だ。
ある日忽然と6人の幼児が行方不明になったのだ。
それから次々と行方不明者が続出して一年前、火神と共に行動していた相棒ともいえる存在――黒子テツヤという少年が行方不明になったのだ。

「・・・ご飯冷めるわよ。」
「おう・・・いただきます。」


午前の授業は全然頭に入ってこなく、ボーとしすぎて昼休みの時間はすぐに過ぎてしまいご飯が食べられなかった。
そんな午後の授業、異変が起こった。
開始のチャイムが鳴って本格的に授業内容に進もうとした頃・・・
(見つけた。)
廊下への扉から声が聞こえた。
教室にいた生徒と教師の視線が一気に集まる。
扉にいたのは
「黒・・・子?」
一拍おいて教室がざわつく。
黒子は周りの反応にも目もくれず火神に近寄る。
「お前、今までどこ行ってたんだよ!俺がどれだけ心配したんだと思って」
「ごめんなさい、でも今は時間がありません。」
そういって黒子はしゃがんで立ち上がった火神の足に額を近づけた。

(ゴゼンヲハナレズチュウセイヲチカウトセイヤクスル)

「・・・は?」
黒子が頭だけあげてこういった。

「許す、と」

-1-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




黒子のバスケ 6 [Blu-ray]
新品 \3813
中古 \3639
(参考価格:\7140)