小説『ハイスクールD×D〜転生せし守り手〜』
作者:ブリッジ()

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―――――前書き―――――

初めに、この物語は兵藤一誠は未登場です。

理由は、このオリ主に対して登場させると引き立て役のかませ犬になりかねないので・・。

―――――――――――――



















Life.2〜ありきたりな日常、邂逅〜














俺がこの世界に転生してから1年が経過した。一気に時間が飛んだなと感じたかもしれないがあれから今日まで特筆して何も特別な事は起こらなかったので省略させてもらう。

俺は高校2年生になり、それなりに学生生活を満喫している。俺の精神年齢は前世を含めれば100歳を近いのだが、人間というのは身体と同時に心も歳を取る。しかし、若返るとそれと同時に思考や心も若返るみたいで、俺は童心にかえって歳相応の高校生みたく学生生活を過ごしている。

現在の俺だが、学年主席で文武両道の超優等生で通っている。何というか、俺はこういった学問は過去に受けてはいないのだが、複雑な政治経済等に触れてきた俺からすると学校の勉強は楽だ。数学なんかは明確な式と答えがあり、それを覚えてあてはめればいいだけ。歴史や理科は暗記すればいい。英語は元々問題無く喋れる。国語や古文も問題無し。特別努力はしなくとも問題がなかった。

キーンコーンカーンコーン・・。

今日も授業が終わり、身支度をして席を立つ。

「ねえ、御剣君!」

「ん?」

俺が席を立ち、教室を出ようとすると、クラスメイトの女の子達に呼び止められた。

「私達これからカラオケ行くんだけど御剣君も一緒に行かない?」

カラオケか・・。

「あ〜、悪い、今日は用事があるんだ」

「そうなんだ・・」

女の子達は残念そうな表情を浮かべる。

「また今度な」

「うん! 次は一緒に行こうね!」

「ああ、それじゃ、またな明日な」

「じゃあね」

「バイバイ!」

俺は手を振り、教室を後にした。



















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


「ふう」

悪い事をしたな。特に用はなかったんだが、どうもカラオケは苦手だから断らせてもらった。

俺が通う駒王学園。この学校はやたらと女の子が多い。これは数年前まで女子高だった事のなごりらしい。前世と全く違う世界に始めは少々戸惑ったが、知識としてこの時代の事は頭にあったので3ヶ月程でこの環境には適応できた。

「御剣君、さようなら!」

「御剣君、またね!」

「またな」

廊下を歩いていると次々と挨拶を掛けられる。

何処に行ってもそうなのだが、俺の容姿はやたらと人の目を引くらしい。入学当初は目の前を通ると振り返られたり、ヒソヒソと隣通しで喋られたり、俺を見に教室の前に来たり等、しばらく見世物パンダの期間が続いた。

「やあ」

俺が廊下を歩いていると爽やかなスマイルを携えた少年に話掛けられた。

「よう、木場」

声を掛けてきたのは木場裕斗。隣のクラスの同級生で、この学校の有名人の1人だ。

「奇遇だね、これから下校かな?」

「ああ。そっちはこれから部活か?」

「うん。これから部室に向かうところだよ」

「確か・・、オカルト研究部だっけか?」

「そう、よく知ってたね」

「以前に小耳に挟んでな」

それに、オカルト研は色々な意味で有名だからな。しかし、木場がオカルト好きだとはな、人の趣味は分からん。

俺がそんな事を考えていると木場が・・。

「君も何か部活をしたらどうだい? 君は運動神経は高いし、何より、あんなにも剣道が強いじゃないか」

「ん〜・・」

木場が部活動を勧めてくる。違うクラスの木場が何故俺の運動神経及び剣道について知っているか、これは木場との出会いにも繋がるのだが、以前体育の合同授業を行った時、その時の授業内容が剣道だった。その時に俺の相手となったのが木場だった。木場はかなりの腕前で、試合は壮絶なものとなった。結果は時間切れのドロー。ルールや身体能力等の制約があったとはいえ、これには驚いた。木場も同様だったらしく、これをきっかけに木場とは顔を合わせたら会話する仲になった。

「正直気が乗らないから部活はパスだ」

実際いくつかの部活から声が掛かったが俺は全部断った。理由は陸上競技に関しては俺が本気を出すと全てにおいて世界記録を塗り替えちまうし、武道に関する部活は誰も相手にならないからだ。文化系は性に合わない。

「そうなんだ。君が部活に入ったら応援するつもりだったんだけどね」

「それは悪かったな」

俺がそういうと木場は腕時計で時間を確認し・・。

「じゃあ僕はそろそろ、引き留めて悪かったね。また明日」

「ああ、またな」

木場は爽やかに手を振ると俺と反対側に歩いていった。

俺は木場を暫し見送った後下駄箱に向かった。





















          ※ ※ ※


俺は靴に履きかえると校舎を後にした。そのまま歩いていると丸刈り頭の男子生徒とメガネの男子生徒が走っていた。

「急ぐぞ!」

「ああ! 聖域はすぐそこだ!」

俺の目の前を丸刈りの少年とメガネの少年が駆けていった。

あれは・・、同じクラスの松田と元浜だな。あんなに血相を変えて何処に行くんだ。

「まあ、あいつらの事だから碌な事じゃないだろうが・・」

とりあえず、暇だから様子見に行ってみるか。




















          ※ ※ ※


「村山の胸、マジでけぇ!」

「82、70、81・・」

「片瀬の脚、長なげぇ!」

「78、65、79・・」

「・・碌な事じゃないとは思っていたが・・」

本当に碌でもなかったな。

丸刈り頭の松田とメガネの元浜は勢いよく走っていくと、今まさに着替え中の女子剣道部の部室の壁の穴から着替えを覗いていた。

「お前らも懲りない、こないだ散々ひどい目にあったばかりだろ・・」

「むっ、昴か、我らの芸術鑑賞の邪魔をしないでもらおう」

芸術鑑賞って・・。

「そんなんするから嫌われるんだろ」

「リア充の貴様は黙っていてもハーレムだろうが、我らにはこれしかないのだ!」

「貴様には分かるまい! 俺達の苦悩を!」

松田と元浜は血の涙を流しながら俺に叫んだ。

「邪魔はするな、後きさまには絶対見せん!」

「結構だ」

こいつら、1年の時からクラスが一緒で、始めは何故か敵視されていたが、今では普通に話したりもする。なかなかおもしろい奴らで、馬鹿だが決して悪い奴等ではないんだが・・。

「ま、精々楽しんでくれ」

俺はこいつらを後にする。

「だが、無許可で女子の着替えを覗くのは感心しないな・・」

俺は程よい小石を2つ拾い、それを後ろ手で親指で弾いた。

ゴチン! ゴチン!

「「ぎゃっ!!!」」

小石は2人に命中する。その直後部室内が騒がしくなる。程なくして剣道部員に2人は包囲され・・。

「「ぎゃぁぁぁぁっ!!!」」

俺の耳に2人の断末魔が響いた。























          ※ ※ ※


俺は改めて帰宅する事に。

「ここからだとこっちの方が早いか・・」

俺はいつもと違う道を選んだ。しばらく歩いていると・・。

「ん? ここは・・」

2階建ての木造の建物が見えてきた。

「ここって確か・・、旧校舎だっけ?」

昔はよく使われていたらしいが今では使われていない・・はずなのだが。

「その割には手入れは行き届いているみたいだな」

使われていないにしては綺麗すぎる。・・まあ、誰かが掃除してんだろ。

俺はそのまま歩き始めた。そして俺がちょうど旧校舎の前を通りかかった時・・。

「?」

不意に視線を感じ、視線を感じた旧校舎に目を向ける。すると2階の窓に鮮やかな紅の髪をした少女が居た。

「あれは、3年のリアス・グレモリーか・・」

2階の窓からリアス・グレモリー先輩がこちらを見下ろしていた。リアス先輩は俺を数秒眺めると部屋の奥に消えていった。

リアス・グレモリー・・。

俺の1学年先輩で、北欧出身で、父親の都合で日本の高校に通っているらしい。(松田、元浜談)

彼女は学校の有名人の1人で、その腰まで伸ばした真紅の長髪と人間離れしたプロポーションとさらに雪のような白い肌で男女問わず注目を集めていた。

実際噂に違わない流麗さだし皆が憧れる気持ちも分かる。・・だが。

「・・・」

俺には彼女がどうにも異質に見えてしまう。さらに言うと彼女からは奇怪な匂いがする。それは体臭ではなく、言うなれば・・。

常人とは違う、非日常を生きる者の匂い・・。

俺が前世でそうだった(まあ現在進行形でそうなのだが)から分かる。彼女はおそらく何か秘密を抱えている。常識では測れないなにかを・・。

思えばこの世界に転生して早1年。あまりにも退屈が過ぎる。詳しく言うと平和すぎる。あの創造主が俺の前世を知っている創造主がこんな平和な世界に俺を転生させて観察しても面白くはないだろう。創造主がこの世界で俺に望むのか、それは今でも分からない。

「その答えは彼女にあるのか・・」

・・・・まあ考えても答えは出ないよな。

運命・・。

この言葉はあまり好きではないが、そんなものがあるならいずれ俺に間違いなく訪れるだろう。それまでこの生活を楽しめばいい。

俺は考えるのをやめ、家への帰路に着いた。






















          ※ ※ ※


御剣昴、リアス・グレモリー、今この2つの運命の歯車が噛み合った。

そしてその運命は程なくして動き始めた・・。


















続く

-3-
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