小説『真・恋姫†無双〜その身を捧げて〜』
作者:ディアズ・R()

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第三話 男なら、女を傷つけるな……男女平等パンチは別らしい。





「ハッ!」

琥珀が前屈みになり、下から掬い上げる様に三節根を振るってくる。
動きを見極め、紙一重で避ける。
薙ぎ払う様にランスを振るう。
琥珀は三節根を両手で持ち、横に構えることで攻撃を受ける。
威力がかなりあったので、少し距離が離れる。
ランスのままだと少しキツイので、ランスを地面に突き刺し、ランスの中から鞭を取り出す。
これがこのランスの仕掛けだ。
他にも剣、ナイフ、トンファー、鉄糸、鉄爪などが仕込まれている。
今回は、鞭のみ。

「フッ!」

鞭の長さがかなりあるので、波を打つ様に琥珀に放つ。
右手で放ったので、鞭の先端が音速を超える。
琥珀も避けようとするが、反応しきれず三節根が吹き飛ぶ。
流石に体に当てると大変な事になるから、武器を飛ばしてみた。
琥珀は三節根を持っていた右手を痛めたのか、少し辛そうにしている。
やっぱり、右手はダメだな。
訓練にならん。

「大丈夫か?」
「あ、はい!大丈ッ!」

強がりそうだったので、先読みして右手を掴んでみた。
ちょっと腫れてるな。
今日はもう休ませよう。

「今日はもう無理だな」
「そ、そんな!?私まだやれます!」
「落ち着け。治ったらまた相手してやる」
「……わかり、ました」

物凄く落ち込んでしまった。
頭を撫でてやる。
俯いてしまった。

「珊瑚さん」
「はい。おいで、琥珀ちゃん」
「ぁぅ〜」

琥珀は、何故か顔を見せないように、走り去っていった。
珊瑚さんは、苦笑しながら後を追いかけていく。
大丈夫かな?

「劉豹ぉぉぉぉぉ!!!!!」
「ん?」

背後から殺気。

「私とぉぉぉぉぉ!!!!!」

とりあえず。

「戦えぇぇぇぇぇ!!!!!」

しゃがんだ。

「ぬぉぉぉぉぉ!?」

どうやら夏候惇さんが大剣を横薙ぎに振ったが、俺がしゃがんだ事によって空振り。
さらにその勢いのまま、俺に躓いて転がっていった。
そして、顔面を木に強打。
気絶してるな、あれ。
侍女数名が介抱を始めた。
……何がしたいんだ?

「劉豹。私の所に来なさい。いえ、無理矢理にでも連れて行くわ」

何時来たんだ、曹操さん。
勧誘されてるのか、これ?

「仕事が面倒だから、遠慮する」

母や暈さんの仕事を手伝っているが、アレを全部やるのは遠慮したい。

「むぅ、残念ね。無理矢理は今の所不可能だから、自分から来たくなる様にすればいいのよね……まあいいわ。とりあえず、真名でも交換しましょうか?私の真名は【華琳】よ」
「次は私だな。私の真名は【秋蘭】だ。華琳様の許可もあるので、姉者の真名も受け取ってくれ。姉者は春蘭だ」
「私は【夢衣】ね〜」

唐突過ぎないか?
別にいいが。

「俺は夜空だ」
「わたしこはる!」
「童は暈じゃ」

ん?暈さんだ。
何故いる?

「疲れたのじゃ。抱っこするが良いぞ、夜空よ」

と言う訳で、肩車した。
暈さんは、相変わらず軽いな。

「おぉ〜らくじゃの〜」
「……夜空。その方は?」
「ん〜叔母の呼廚泉だ」
「呼廚泉……匈奴の王、ね」

なにやら難しい顔をしている。
小さいのに大変なんだろうな。
母が、魏の次期王って言ってたし。
懐から、蜂蜜(ハチミツ)と林檎(リンゴ)の汁を混ぜて作った林檎飴を出して、華琳に渡す。

「大した物じゃないが、これでも食べろ」
「これは食べ物なの?」

そう言って、林檎飴を口に含む華琳。
甘い物は、脳の回転を活性化させるらしいしな。
でも、林檎好きだったかな?
聞いてから渡した方が良かったか?

「あら、美味しいわね」
「それは良かった」
「童にも〜」
「わたしも〜」

折角なので、皆に渡す。
ほとんど試作品みたいな物だから、たいして数は無い。
ギリギリ全員が食べられるぐらいの数だ。
林檎の他には、葡萄、桃、蜜柑(ミカン)がある。
俺が食べたのは抹茶だが。

なんか、今日は疲れたな。
寝るか。


◇◇◇◇◇


数日後、華琳達はすでに帰っている。
なんだかんだで、仲良くなったと思うぞ。
まあ、春蘭には好敵手(ライバル)認定されたが。

そう言えば、華琳達がいなくなった頃に暈さんが何人か連れてきた。
鍛えてやって欲しい、との事だ。
俺なんかに任せていいのか?
四人ほどいて、【高順】、【韓当】、【月英】、【諸葛瑾】と言うそうだ。
俺の知ってる限り、韓当はすでに呉に仕えている筈なんだが。
別に良いか。

それぞれの真名は、【白雪(しらゆき)】、【桜】、【愛音(あいね)】、【沙箕(さみ)】だ。

白雪は白のポニテで、小柄で可愛らしい少女だ。
頭の回転は早いが、自分に自信が無いようだ。
弓が主武器の様で、なかなかの使い手だ。
武官よりは文官の方が向いているが、文武官でいけると思うな。

桜は真っ赤なショートヘアーで、活発な印象の少女だ。
武官としての才能はかなりのもので、将来が楽しみでもある。
鉄爪を使った接近戦が、主な戦闘スタイルのようだ。
完全な武官タイプで、文官のサポートは出来るが、文官には向いていないと言った所だろう。

愛音はロングストレートの茶髪で、天然っぽい少女だ。
少々流されやすい性格なので、誰かとペアなら問題ないと思われる。
戦い方は、剣と盾の基本的なスタイルだ。
文官にするなら優秀なのとペアにして、武官にするなら軍を指揮させるのが良いだろう。

沙箕は黒っぽい金髪のツインテールで、焦ると「ほわわ!」と言い出す少女だ。
頭が良く優秀だが、焦るとミスする。
戦闘は苦手だが、出来ないわけではなく、戦う時はトンファーを使って戦う。
純粋な文官で、切り札的な武官にもなると思う。

大体こんな感じだ。
それにしても、見事に全員女だな。
男はいないんだろうか。
別にいなくてもいいけど。
さて、今日は何をしようか。
水道でも造らせようかな。
水車を応用すれば、多分出来るだろ。
と言う訳で、水道を造る事にした。


◇◇◇◇◇


水道を造らせてから、一旦旅に出てみようかと思った。
なので、母にその旨を伝えたら……

「絶対駄目!!」

だそうだ。
根気良く交渉する必要がありそうだ。
まあ、劉備に会ってみたいだけだし、旅なんか出る必要ないけどさ。
その内行けば良いか。

「さて、それじゃあ始めるぞ?」
『はい!』

弟子が増えた。
別に良いんだが、正直めんどくさくなってきた。
ま、何とかなるだろ。
今日は何を教えるかな。

-4-
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