小説『真・恋姫†無双〜その身を捧げて〜』
作者:ディアズ・R()

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第四話 教育は、意外と難しい。 





今日は、【水鏡】さんの所に遊びに来た。
俺が子供の頃、今も子供だけど、教えを請いに来た人だ。
一応言っておく。
教えに来たではない。
まあ、それはいい。
琥珀、白雪、愛音、沙箕と一緒だ。
役割的には、護衛、食糧管理、交渉兼押さえ役、道案内だ。
そして、こいつ等は俺の事を師匠、先生、夜空様、兄様と呼ぶ。
最後のは訂正させようとしたが、見事に誤魔化された。
流石軍師だよな。

「兄様。あそこです」
「ん?あぁ、やっとか」

五日ほどかけて、やっと着いた水鏡塾。
水鏡さんは、私塾を開いてるのだ。
ちなみに、本来なら数週間かかる距離を五日で来た俺達は異常らしい。
誰も気にしてないことだから、どうでもいい事なのだろう。

「水鏡先生!いませんか!」
「はいは〜い。あ、夜空さん!それに沙箕も来てくれたんですね♪」

花が咲くような笑顔で出迎えてくれた美人は、水鏡さんだ。
そう言えば、美人美少女にしか会ってないな。
男はもう諦めたとして、おばちゃんぐらい見たいな。
水鏡さんの私室に入れてもらい、今回の用件を伝える。

「水鏡さん。それで、今回来た理由なんですが……」
「はい、任せてください!夜空さんの為なら、なんだってしちゃいますから!」
「ありがとうございます」

と言う訳で、水鏡塾の生徒の勉強を見ることになった。
琥珀達は、特訓の特別メニューを出しておいた。
それぞれにあった特訓方法なので、しっかりと長所を伸ばせるだろう。


◇◇◇◇◇


「はわわ!【雛里】ちゃん、有名な劉豹様だよ!」
「あわわ!あ、挨拶しないとダメだよね!?どうしよう【朱里】ちゃん!」
「ほわわ!二人とも落ち着いて!兄様じゃなかった、劉豹様はとっても優しい人だから、しっかり挨拶しなきゃダメだよ!」
「沙箕、この二人は?」

沙箕と一緒に散歩していたら、軍師であろう二人組みの少女に出会った。
沙箕の知り合いらしく、はわあわ言っている。
三人は仲が良いんだな。

「あ、あの、わ、わたしゅ、【諸葛亮】と言いましゅ!」
「ほ、【鳳統】でし!」
「そうか。知っているみたいだが、俺は劉豹だ。まあ、よろしくだな」
「「ひゃい!」」

とりあえず、警戒心?から取り除かないとな。
沙箕は二人と話があるらしく、どこかに行った。
一人になってしまったが、そのままうろつく。
教え始めるのは明日から一週間だから、暇だ。
フラフラしていたら、白雪を見つけた。

「おや先生、御暇なのですか?」
「あぁ、することが見つからなくてな」
「では、私と将棋でもしますか?」
「そうだな。じゃあ、やるか」
「はいです」

暇潰しに、白雪と将棋をすることになった。
白雪はボードゲーム、結構強いんだよな。
頭が良い上に頭の回転も速い。
油断してると負けるな。

「では、私が先攻でいいですか?」
「大丈夫だ」

白雪との勝負が終わったら、何しようか。


◇◇◇◇◇


白雪にギリギリ勝って、またウロウロする。
やることが無いと、ホント暇だな。
家にいる時は弟子達の修行やらをしたり、母の仕事を手伝ったり、する事が多いからな。
む、次は琥珀と愛音を見つけたな。

「あ、師匠!」
「夜空様」

軽く手を上げて応える。
どうやら模擬戦をしていたようだ。
森に入る一歩手前の場所だ。

「師匠。弓を使う相手と戦う時、師匠ならどうしますか?」
「矢を掴んで、逆に弓を使うかな」
「流石です師匠!」
「予想通りと言えば予想通りですね」

意外と出来るもんだぞ?
近くに立て掛けてあった弓を取り、二人と向き合う。

「やるか?」
「是非!」
「よろしくお願いします」

琥珀を矢で木に縫い付けたり、愛音の盾を矢でハリネズミ状態にしたり、意外と暇潰しになった。
疲労困憊で倒れている二人に手を振り、歩き出す。
部屋に戻る途中に、資料室の様なものがあったので入ってみた。
白雪が本を読んでいた。
集中しているので、俺が入ったことに気付いていない。
後ろに立って、何を読んでいるのか見てみる。
兵法書の様だ。
相変わらず勉強熱心だな。
俺も適当に本を取り、読むことにする。


◇◇◇◇◇


気が付いたら夕方になっていた。
読みふけってしまったらしい。

「先生、居るなら声を掛けて下さい」
「ん?あぁ、すまん。随分集中していたようだから、話し掛け辛くてな。そう言えば、何で兵法書を読んでたんだ?」
「むぅ……ならいいです。将棋の参考にならないかと思って見ていたのです。珍しい兵法書だから読んだというのもありますが」
「そうだったか。まあ、程々にしておけよ?明日は忙しそうだからな。どうせなら、一緒に飯でも食うか?」
「はいです!」

白雪を連れて、晩御飯を頂く事になった。
折角なので、俺が何か作ることにした。
肉の塊があったので、肉焼(ステーキ)にでもして出すことにした。
とても好評だった。
この土地の女性は、肉が好きなんだな。
恋も肉が好きだった。
まあ、何でも食う子だったが。


◇◇◇◇◇


「……ここまでで聞きたい事は?」
「雨が降った時はどうすればいいんですか?」
「待ち伏せされていた場合はどうなるんですか?」
「良い質問だ。その場合は―――」

子供達に、軍師として必要な知識を教えている。
ここの生徒の中では、諸葛亮と鳳統が一番理解力があるようだ。
スカウトしたい所だが、今回は教える事だけが目的だ。

「―――となる訳だ。わかったか?他に質問は?無い様だな。では、半刻ほど5人1組になって、500の兵を率いて2500の兵を倒す策を考えろ。地形などは自分達で考えて構わない。難しく考える必要は無い。始めろ」

俺がそう言うと、話を聴いていた子達が動き始める。
諸葛亮と鳳統の所には、誰も行かない。
多分、優秀過ぎるから会話についていけないためだろう。
何時の世も、天才は理解されないからな。
折角なので、二人の近くに立つ。

「えっと、ど、どうしようか?」
「あわわ……と、とりあえず、地形から考えよう」

俺が近くにいるから緊張しているようだ。
でも、その程度で能力を発揮できないなんて、有り得ないだろ?



そんな感じで、三日ほど過ごした。

-5-
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